![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/76/69/98d9480bc34dc9ba3d35c93652246208.jpg)
…ということで、子年を無事迎えられましたこと、おめでとうございます。かなり遅い挨拶ですが、しかしモンゴル式では10日ぐらいの遅れですね。要するに、干支の年が変わるのは旧正月なわけで、モンゴルでは今年も中国と1日ずれて2月8日が子年元旦でございました。
というわけで、モンゴルでの旧正月についてお話しましょう。
「運のいい人は子年が迎えられる」といいますが、十二支の始まりだから12年を越えてこれたという喜びなんでしょうね。もっとも、毎年何かしら縁起のいいキャッチフレーズはありますけど。去年の亥年は丁亥(火の亥)でしたが、モンゴルでは亥は猪じゃなく豚といい、「黄金の豚年」となるわけで、この年に生まれた子は親孝行で富と権力を手に入れる天才になるということで、去年は密かなベービーブームが起こりました。特に男の子がいいらしく、「黄金の豚年」に男の倅を世に迎えた親は喜びと未来への期待に満ちているでしょう。
しかしその年だけの何か、というのは全く根拠はないとは言えず、12年周期で自然現象などが繰り返される、などといいますから、それが人間の行動と因果関係にあるというふうに考えられますね。 モンゴルでは「申年の冬の大雪害」などがよく言われます。実際、私がまだ中学生だった1992年の申年の冬、大雪害が起こり、国中がパニックに陥ったことをよく覚えています。
さて、元旦。
たべものについては前の記事を見てくださいね。
また、大晦日については簡単な説明がここにあります
元旦の朝早く起きて、「足跡をつける」(初詣的な?)儀式を行います。モンゴル語ではムル・ガルガフといいます。
これは、新年の初めての外出という意味で、いい方向に進めば、新年の福を呼び悪を祓うことができるというものです。いい方向とは人それぞれ毎年違いますが、
これは8フルルという表によって決められます。
8フルルは五行思想の火、水、木、土、金に基づき、空、山、気を加えたもの。この世を表している。火から始まり男性は時計回り、女性は逆時計回りに年齢の数を数えて、その年の「行」を決めます。ちなみに年齢は“数え年”(年齢+1)です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/29/5a24ca99ff745b17ba288c7339745610.png)
“8行”のまわりに4つのいい方向と4つの悪い方向があり、「運」の方向へすすみ、「福」の方向から帰ってくるように時計回りに歩きます。途中その行に合ったお経を読んだり、「被害」の方向に何か投げたりします。例えば「火」に当たった人は東南へ進み、東北にマッチ(火)を点けて投げ捨て、南から戻ってくるということになります。
まあ、こんな表をいちいち見なくても、全国の新聞に生まれた年、男女で、どの方向に行ってどんなお経を読んで、何に気をつければいいか、また災害を避けるためにどんなお経を、お清めをお坊さんに依頼すればいいかまで掲載されているので、頭を悩ます必要はありません。最近はネットでも見られるようになったみたいです。見てみます?モンゴル語ですが…ここをクリック
そして一年中その「行」の戒を守らなければなりません。「火」の人は特に火災を注意し、赤い物を買わないようにする、「土」の人はむやみに土を掘らない、「金」は“鉄のもの”つまりナイフや武器を避ける、「空」の人は高い山に登ることを避ける、など。
ムル・ガルガフ はちゃんとやる人もいれば、儀式行わずにただ歩いて来る、また家族全員ではなく、お父さんだけで十分という家庭もいます。
そして、この行事を終わった後、家族の中で挨拶zolgoltをします。挨拶は、年下の人が年上の人の肘を軽くささえる感じで手を交わし「アマルバイノー」(お元気ですか)と挨拶して、年上が年下の頬や額にキスをします。キスと言っても唇と鼻を軽く付ける感じです ↓
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/51/36/4908a03556c9149e6751505b87be6da8.jpg)
しかし夫婦は2人で1人身と見るのでzolgoltしません。
家庭内の挨拶が済んだらお茶などを飲み軽く食べて、親戚のもっとも年寄りに挨拶に行きます。自然と親戚同士がお年寄りのところに集まることになります。
お年寄りに敬意を払って、挨拶の言葉を色々言い合います。その言葉とは 「昨年は人も家畜も元気ないい一年でしたか。仕事も成功し富も増えたことでしょう」と言った感じです。その時に、男性はhuurug嗅ぎ煙草入れを持っているのですが、それを互いに交わし、また他の家族にも回します。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/1a/99/d4ba9e0913dac0b20211953aeb6accbd.jpg)
こんなものですが、珊瑚や高価な石を使った、代々受け継がれた非常に高価なもの(車一台買えるぐらいとか)もあり、男の裕福さのある基準になります。煙草を嗅がない人でもアクセサリーとして持っているということです。
こうして、家族全員で親戚やお世話になった人などの家を挨拶して回り、3日ぐらい続きます。お客さんを迎えた家はお客さん全員(大人、子供同じく)にプレゼント(お年玉)を渡します。プレゼントは、お互いの関係にもよりますが、ハンカチ、靴下、女の人には口紅、子供にはおもちゃ、ペン、ノートと言ったちょっとした日常品から、お金など色々です。
迎えた家族は今度お客さんだった家族を訪問し、またプレゼントをもらいます。結局全員お互いにプレゼントをもらうということですが、お年寄りにはたくさんの家を訪問しまわる面倒をかけたくないために挨拶のときにプレゼント(ほとんどの場合お金)を手渡すことが多い。
お正月とはモンゴル人にとって、一見とっても面倒くさそうだが、親戚同士が年に一度集う重要な行事なのであります。
以上
というわけで、モンゴルでの旧正月についてお話しましょう。
「運のいい人は子年が迎えられる」といいますが、十二支の始まりだから12年を越えてこれたという喜びなんでしょうね。もっとも、毎年何かしら縁起のいいキャッチフレーズはありますけど。去年の亥年は丁亥(火の亥)でしたが、モンゴルでは亥は猪じゃなく豚といい、「黄金の豚年」となるわけで、この年に生まれた子は親孝行で富と権力を手に入れる天才になるということで、去年は密かなベービーブームが起こりました。特に男の子がいいらしく、「黄金の豚年」に男の倅を世に迎えた親は喜びと未来への期待に満ちているでしょう。
しかしその年だけの何か、というのは全く根拠はないとは言えず、12年周期で自然現象などが繰り返される、などといいますから、それが人間の行動と因果関係にあるというふうに考えられますね。 モンゴルでは「申年の冬の大雪害」などがよく言われます。実際、私がまだ中学生だった1992年の申年の冬、大雪害が起こり、国中がパニックに陥ったことをよく覚えています。
さて、元旦。
たべものについては前の記事を見てくださいね。
また、大晦日については簡単な説明がここにあります
元旦の朝早く起きて、「足跡をつける」(初詣的な?)儀式を行います。モンゴル語ではムル・ガルガフといいます。
これは、新年の初めての外出という意味で、いい方向に進めば、新年の福を呼び悪を祓うことができるというものです。いい方向とは人それぞれ毎年違いますが、
これは8フルルという表によって決められます。
8フルルは五行思想の火、水、木、土、金に基づき、空、山、気を加えたもの。この世を表している。火から始まり男性は時計回り、女性は逆時計回りに年齢の数を数えて、その年の「行」を決めます。ちなみに年齢は“数え年”(年齢+1)です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/29/5a24ca99ff745b17ba288c7339745610.png)
“8行”のまわりに4つのいい方向と4つの悪い方向があり、「運」の方向へすすみ、「福」の方向から帰ってくるように時計回りに歩きます。途中その行に合ったお経を読んだり、「被害」の方向に何か投げたりします。例えば「火」に当たった人は東南へ進み、東北にマッチ(火)を点けて投げ捨て、南から戻ってくるということになります。
まあ、こんな表をいちいち見なくても、全国の新聞に生まれた年、男女で、どの方向に行ってどんなお経を読んで、何に気をつければいいか、また災害を避けるためにどんなお経を、お清めをお坊さんに依頼すればいいかまで掲載されているので、頭を悩ます必要はありません。最近はネットでも見られるようになったみたいです。見てみます?モンゴル語ですが…ここをクリック
そして一年中その「行」の戒を守らなければなりません。「火」の人は特に火災を注意し、赤い物を買わないようにする、「土」の人はむやみに土を掘らない、「金」は“鉄のもの”つまりナイフや武器を避ける、「空」の人は高い山に登ることを避ける、など。
ムル・ガルガフ はちゃんとやる人もいれば、儀式行わずにただ歩いて来る、また家族全員ではなく、お父さんだけで十分という家庭もいます。
そして、この行事を終わった後、家族の中で挨拶zolgoltをします。挨拶は、年下の人が年上の人の肘を軽くささえる感じで手を交わし「アマルバイノー」(お元気ですか)と挨拶して、年上が年下の頬や額にキスをします。キスと言っても唇と鼻を軽く付ける感じです ↓
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しかし夫婦は2人で1人身と見るのでzolgoltしません。
家庭内の挨拶が済んだらお茶などを飲み軽く食べて、親戚のもっとも年寄りに挨拶に行きます。自然と親戚同士がお年寄りのところに集まることになります。
お年寄りに敬意を払って、挨拶の言葉を色々言い合います。その言葉とは 「昨年は人も家畜も元気ないい一年でしたか。仕事も成功し富も増えたことでしょう」と言った感じです。その時に、男性はhuurug嗅ぎ煙草入れを持っているのですが、それを互いに交わし、また他の家族にも回します。
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こんなものですが、珊瑚や高価な石を使った、代々受け継がれた非常に高価なもの(車一台買えるぐらいとか)もあり、男の裕福さのある基準になります。煙草を嗅がない人でもアクセサリーとして持っているということです。
こうして、家族全員で親戚やお世話になった人などの家を挨拶して回り、3日ぐらい続きます。お客さんを迎えた家はお客さん全員(大人、子供同じく)にプレゼント(お年玉)を渡します。プレゼントは、お互いの関係にもよりますが、ハンカチ、靴下、女の人には口紅、子供にはおもちゃ、ペン、ノートと言ったちょっとした日常品から、お金など色々です。
迎えた家族は今度お客さんだった家族を訪問し、またプレゼントをもらいます。結局全員お互いにプレゼントをもらうということですが、お年寄りにはたくさんの家を訪問しまわる面倒をかけたくないために挨拶のときにプレゼント(ほとんどの場合お金)を手渡すことが多い。
お正月とはモンゴル人にとって、一見とっても面倒くさそうだが、親戚同士が年に一度集う重要な行事なのであります。
以上