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新しい時代を生き抜く子供に育てるには その3

2018年07月02日 | 教育改革

AIという言葉が一人歩きしています。21世紀に入って、


私たちは、AIの亡霊につきまとわれることになりました。

 

AIで思い出すのは、スピルバーグ監督の映画のタイトルです。


その映画とは、AIが積載された人ロボットの話です。


交通事故で失った息子の代替えとしてAIロボットが注文されます。

最初は大事にされるのですが、あることをきっかけに


いずれ捨てられることになります。

 

ロボットは、放浪の旅に出るのですが、

 

つらくて切ない結末が待っています。

 

ピノキオとオーバーラップさせているところが魅力です。

 

そこにファンタジーのもっている温かい視点も感じられます。


SFが好きな人にはお勧めな映画です。おっと、今回は映画の紹介ではなく、 


教育のお話です。今日は昨日本屋で見つけた「AI vs. 教科書が読めない子どもたち 」


をベースにして、お子様を育てる上で役に立つお話をするつもりです。

 

この本の著者はあの東大の問題をロボットに解かせることを目的に

立ち上がったプロジェクトのリーダー、新井 紀子氏の著書です。

 

東ロボ君のプロジェクトは頓挫してしまったそうです。

東大の問題を完全に解ききることができないので、

研究は中止になってしまいました。

その結果を受けて、彼女はAIが人間を超えることはないと

言い切っています。

 

AIが人間を超える瞬間のことをシンギュラリティ(特異点)

というのですが、それは起こらないと断言しています。

東ロボ君が失敗したからと言って、非科学的に断言するのは、

科学者としてはいかがなものでしょうか。

 

今年の就職戦線では、かつての人気企業であった

都市銀行などは軒並み募集定員を減らしています。

実際、融資の担当者は、AIを用いれば仕事を劇的に

減らせることは自明の理でしょう。

かつての就職したい企業ベスト10入りしていた銀行は

今、採用人数を劇的に減らしつつあります。

 

 

ソフトバンクは、年間数万人の就活のエントリーシートの

判定をAIを用いてフルイにかけるそうです。

まさに人間の運命をPCのプログラムが

決めてしまう時代になってしまったのです。

もちろん二次面接からは人事部の人間が担当するそうです

 

また、会社の日報をつねにAIが監視していて、

離職率の高い人を事前に把握するそうです。

日報のちょっとした問題点は人が読んでも

気がつかないそうですが、AIが読むと

日報の文章の小さな揺れを検知するそうなのです。

 


中国やロシアでは、将来のサイバー戦争に備えて、

AI技術者を数千人規模で採用しています。

サイバー戦争になったとき、あるいは無人偵察機の管理や

戦場での戦闘分析等をAIで処理する

技術者を鍛え上げているそうです。

恐るべし、AIです。

 

このように、現実の社会ではすでにAIは

当たり前のように採用されていますし、

それが人間のレベルを超えるとか、超えないとか

関係なく、試行錯誤しなかがらどんどん使っていくうちに

あたらしいAIの使い方というものが、広がっていきます。

 ただ、素人の私たちにとって、AIというのは、全く亡霊のように

つかみ所がなく、想像ができません。

 

並みいる将棋のプロを打ち破ったAIのプログラム開発者も、

もやは、自分の作ったプログラムであるにも関わらず、

AIがどのようにプロの技師に勝つのかは、予想もつかないそうです。

いわば、AIが一人歩きし始めたのです。

じつは、AIプログラムというのは、自立型になっていて、

数万通りのプロの戦い方のデータをインプットされてはいても、

あくまでも、それを下敷きにして、常にもっとも勝率の高い

次の一手を生み出していきます。

 

私たちは、いつの間にかこんな時代に生きていたのです。

単に、便利便利だと思って普通に使っていた携帯や電子機器や

スマホやマイカーにどんどんAIが入ってくる時代です。

そのうちに私たちの職業まで奪ってしまうのではないかというのが

昨今の暗い話の一つです。

 

いやいや、AIごときに、そんなに簡単に私たちの仕事を

奪われたたまるものかと、だれもがそう思っています。

本当に安穏としていていいのでしょうか。

私見ですが、この10年、20年はまだまだ

AIの浸透は緩やかでしょうが、いずれ

特定の仕事がなくなってくる可能性は

あります。

 

しかし、高度な専門性や、

人の温もりや高度なコミュニケーション能力を

必要する仕事はなくなりません。

例えば、経営者、看護士、医者、教師(塾講師)、研究者、技術者、

プロスポーツマン、警察官、消防士、弁護士、アーティスト、パティシエ、

料理人、キャビンアテンダント、プログラマー、営業職、

第一次〜第六次生産者 インフラ製造や、従事者etc.

 

いずれにしろ、人と関わることにやりがいを感じたり、

特殊な才能をもっている人が今後生き残っていくだろうと

思います。あらゆるモノの生産者は競争は激しいですが

、AIに取って代わられることは絶対にありません。

仕事に貴賎はありません。どんな仕事であっても

それが、長期間継続してできる仕事で、やりがいをもって

できるなら未来永劫とまではいきませんが、おそらく数十年単位では

大丈夫でしょう。

 

上記の職業をざっと眺めてみると、

やはり、専門性とコミュニケーションが大切だということや

独自の生産を生み出せる技術をもっていることが大切です。

 

専門性を極めること、それは人より何倍も集中して取り組めること。

自分なりにいろいろ工夫して取り組めることが必須です。

このような人を育てるには、小さな子どものときから、

独自性や個性を尊重して教育することが

いかに大切かわかります。

 

 

人として、いつも穏やかで人と仲良くお話ができること。

自分の言葉で自分の言いたいことが言えること、

また人のお話をしっかりと聞いて、理解できること。

言葉の真の意味をたくさん知っている子ども、

アンテナをいつも張り巡らしていて、

いろんなことに興味と好奇心を持っている子ども、

そういう子供は間違いなく、伸びてきます。

 

最近のロボットは適当な会話をしてくれます。

またアップルが開発しているsiriやアマゾンのalexaなども

人間とのおしゃべりをかなりな精度をもって

できるようになってきました。

 

しかし、人間と同じようにお話が発展するかというと、

そうはいきません。

これはロボットの知能を

開発している人の共通の問題点なのですが、

フレームワークの問題が常に大きな壁として

立ちはだかります。

 

フレームワーク問題とは、

決められた単一の作業しかできないという

ロボットの悲しさです。

お掃除ロボットはお掃除しかできません。

 

お掃除ロボットにおしゃべり機能はいりません。

また、私たちは彼らに?期待もしません。

そこがお掃除ロボットの限界です。

 

つまり、決められた範囲内なら、

人工知能はその決められた仕事に対して

人間の何万倍ものスピードと精度で対処できます。

 

しかし、彼らは我々人間にはなれないのです。

将棋のAIプログラム等はまさしくそうです。

閉じられた作業にはAIはめっぽう強いですが、

汎用的な仕事はできません。

 

つまり、AIは確かに便利ですが、

便利を超えることはできないのです。

「AI vs. 教科書が読めない子どもたち 」にも、

書かれていましたが、AIで作ったブラームスもどきの

音楽は確率論でメロディーの次の音符を選択しているのですが、

最初に聞いたときはそれらしい音楽に聞こえても、

2分以上聞いていると、聞くに堪えないメロディーが

延々続くので、気分が悪くなるそうです。

 

結局、AIはプログラムされた通り、数学的に音符を選択はできても、

古今東西の大作曲家のパッション(情熱)は数値化できないのです。

真似はあくまで真似です。芸術に模倣は大切ですが、

アウフヘーベン(注釈1)がなければ、ただの猿真似です。

そんなものはなんの価値もありません。

一笑にふされて終わりです。

 

さて、子供たちが大人になる過程で、AIの洗礼をうけて、

仕事を失ってしまわないようにするにはどうすればいいか

答えがでてきたようですね。

 

AIができない分野において子どもを鍛えることです。

まず、ピアノやバイオリン等の楽器に取り組ませる。

スポーツをする。

読書をして、言葉の知識や理解の幅を広げながら、

いろんな世界があることを知る。

同じ日本人でも、

発想力や行動力のある人とふれあう。

世界を自分の目で見つめ、何が問題なのか

深く考える。

これらは、AIにとってまったくお手上げの世界です。

 

お子さんとご一緒にこの広い世界を楽しんでいきましょう。

   

注釈1 

ヘーゲル弁証法の基本概念のひとつ。

あるものを否定しつつも、

より高次の統一の段階で生かし保存すること。

  

次回は

子育ては、大人の言葉(メッセージ)が大切 についてお話しします。

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
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