
我が家の近くのマラソンコースです。
折り返し地点を過ぎた所なので、ランナー達の顔にも疲労が・・。
今年のホノルルマラソンで、すごい人に出会いました。
『義足のランナー』(文芸社)として知られる、両足義足の
島袋勉さんです。
私はご本人に出会うまで知りませんでしたが、
日本ではテレビでも紹介されたことがあるらしいです。
ひょんなことから、お友達に、安岡正篤師中村天風師についての著書で知られる
神渡良平師の講演会のお手伝いを頼まれました。
そのとき友人から、主人と私に、ゲストをホテルまで迎えに行って欲しい、
と頼まれ、車に乗せたのが島袋さんと、その妹、栗原智美さんでした。
笑顔のすてきな人だなぁ。
彼に最初にお会いしたときの印象です。
そして、短パンを履いて堂々と義足を見せて歩いている島袋さん。
ご本人曰く、日本でも長いズボンを履かず、義足を出したままでいるそうです。
理由の1つに、
とにかく、義足は不安定で、吹いている風が急に止まっても倒れ、
後ろからちょっと触られただけでも倒れてしまうそうです。
いつも
竹馬に乗っているような状態だとおっしゃっていました。
島袋さんは、5年前、鉄道の踏切事故で両足を切断、さらに記憶、視力の障害を負いました。
痛い、痛い、と嘆いていたとき、母親に
「その痛さの中から学ばなければ、ただの馬鹿だね」と言われました。
義足で100メートル走をしているシドニーの人の写真を見て涙がポロポロ流れたそうです。
苦しくてもあきらめないで最後までやり続けようと思うことが大切。
人間はやる気になれば何でもできる。
夢や希望、目標を持つことで前向きに明るく生きられる。
やりたいことがある人は輝く。
そして、
ホノルルマラソンへの挑戦を考えたそうです。
「なぜホノルルマラソンだったかというと、タイムリミットがないということにまず魅力を感じたんです」
と屈託のない笑顔で語るご本人。
今年はバンクーバーでも走ったそうです。
1回目、初めてのホノルルマラソンとき、タイムは12時間を越えたそうです。
完走者はビデオに写されると聞いていた島袋さんは、その時みんなに迎えられ、
華々しくゴールをきる自らを楽しみにイメージし、走り抜きました。
が、ゴール地点では暗いのですでにアーチも外され、
ビデオもその他の設備も片付けられていて、人影すらまばらだったそうです。
島袋さんは、
「次回はビデオに絶対写りたい!と誓いました」
と、また笑顔で話されました。
走っていると義足に当たる足の部分がどうしても痛くなり、
途中何度も
義足を外して足をマッサージするそうです。
そんな時、
「自分が止まっている傍らを普通にに歩いて追い越して行く人の姿を見るのが悔しいんですよ」
とずーっと冗談ぽく笑顔で話す島袋さん。
「島袋さん、走っている時、もうだめだ!もう辞めようよう!と思わないんですか?」
彼は、
「常にゴールをする自分をイメージして走ってるんです。」
とさりげなく・・。

今年のゴール地点。
ゴール直後にシャワーを浴びるランナー達。(写真左)
完走者にはレイのプレゼントが。(写真右)
そんな
ポジィティブ思考の彼ですが、
初めてのホノルルマラソンで3キロ位走り始めたところで、
「何でこんなことしてしまったんだろう・・とすごく後悔した」
と笑いながら、正直な気持ちを語ってくれました。
いよいよ、今年
3回めのホノルルマラソン。
目標は
8時間!
私たちはお友達何人かでゴール地点で今か今かと島袋さんを待ちました。
タイムはすでに8時間を越えていましたが、
しばらくすると松葉杖を前後に大きく動かしながら一生懸命走るゴール寸前の島袋さんの姿がありました。
そして
ゴール!
みごと
完走されました!
私達は彼の元に駆け寄り
ハグをして完走を喜びました!
お疲れ様でした!島袋さん!
今年もビデオに写れてよかったですね。
あなたに出会って
沢山の感動と勇気を頂きました。
あまりの嬉しさで肝心なゴールの瞬間の写真を撮りわすれてしまいました。
ゴール直後で苦しいにも関わらず、笑顔の島袋さん。
右で嬉しそうに義足を持って微笑んでいる妹の智美さん。
後ろはサポーターで参加された、神渡良平師。
皆さん完走されました。
彼は今、会社経営をしながら、
1日3回各地の小中高生たちに講演をすることもあるそうです。
「夢をあきらめない」という演題で講演を続け、
子供たちに
希望を持たせています。
今回、島袋さんにお会いして、
超人的な強さを持っている人というよりも、
ごく自然で、
言葉では言い表せないくらいのさまざまな
心の葛藤があったにも関わらず、
苦しい体験を、ありのままに、飾らず、時には冗談交じりで話してくれるとても人間味のある
暖かい方だと思いました。