延岡というまちをアーカイブ化していくには。

延岡というまちについての記憶を考えていく。

職人として生きていく道もある。

2010-09-28 04:55:42 | アート・文化

障碍者のための就労支援施設、例えば授産施設というと、クッキーやパン、農作物等をそこでつくり、提供していくというイメージがある。だが重度の発達障害よりも、アスペルガーや高次機能障害を持った人々が障碍者施設を利用する事が多くなった今日では、より本格的な就労支援が希求されているようだ。

病院や障碍者向けの施設では、障害者自立支援法が出来た事もあり、こうした施設の整備も整いつつある。

大分市の博愛病院では、芸術活動を実施するアトリエ、花卉栽培を行う中規模のハウス等の施設、さらにはそこそこ内装も整ったイタリアンレストラン等、あたかもそこで一つのまち-さらに言うならば観光地で併設される商業施設群にもその編成が似た-、いくつかの施設が機能していた。

一定の技術を修得させる障碍者向けの職業訓練は、時に健常者以上に最適化した適性を見つけ出す事もあろう。例えばアスペルガー患者の場合、特定の細かな作業を長時間集中し、さらに反復的に行うという分野に秀でている可能性もある。

近代以前の社会においては、彼らを包括して特定分野の専門職-すなわち職人-として育成していく制度があり、それが時には我が国の強固な技術を支える礎ともなったのではなかろうか。

それは職人の世界が、独特な非言語コミュニケーション(日常的な会話とは異なった、身体的なコミュニケーション)の世界を構築していた事からも推測が出来るかもしれない。

今、障碍者の自立を促進していくこうした仕組みは、近代以前にあった職人社会の一端を現代的な姿で再現しようとしているのかもしれない。


日本基層文化論叢という本に書いた。

2010-09-20 07:23:23 | 本と雑誌

Kisobunka 恩師椙山林継先生の古稀記念論集"日本基層文化論叢"(椙山林継先生古稀記念論集刊行会編 雄山閣出版 2010,08,31 ISBN 978-4-639-02147)に寄稿した。

先生は考古学・歴史学・神道学を専門とされ、幅広い知識と見識を持たれた方である。老若問わず、誰からも慕われる気さくな方であられる事から、執筆陣はとても広い分野、総勢で50人もの研究者になった。

全体でなんと650頁近くもある。これは編集大変だっただろうなと思いつつ、改めて先生のお人柄を思い知るのであった。

椙山先生の学問体系は、先生の師である大場磐雄博士の神道考古学であり、さらにはそれを発展させた祭祀考古学であるから、日本文化の基層を神道の基礎たる時代に求めている。そうした背景から、本論は次の5章で構成されている。

"第1章 基層文化の源流を求めて"では基層文化を構築するに至る、さらにベースである縄文・弥生時代の論考6編が掲載されている。

"第2章 神祇信仰の原点と古墳文化"では、カミに対する信仰のの基本が出来上がった古墳時代を対象とした18編と、本論集で最も多くの論文が掲載された。

"第3章 日本文化の形成と変容"は、現代まで繫がるカミへの祭祀が確立された古代以降の文献史と被る時代を対象としており、幅広い。特に神道学分野や民俗学分野の論考を中心にしている。

"第4章 現代における基層文化"は、現代社会おいてカミはどのように祭られているか、についての論考。社会学的分野とも重なった研究が含まれている。

"第5章 文化財の保存と活用を考える"は、文化財保存や博物館学分野の研究について。僕の文章"地域社会の再生という観点から電子化された博物館・図書館の資料の活用を考える"はここに含まれている。

特にこれまで実践してきて、学会や講演では何度も話してきた博物館・図書館資料の回想法への活用についてのテーマで、文章としてははじめてまとめてみた。ただ、上記の様に執筆者が多い為、一人ひとりの分量は少ないのでダイジェスト版的な所はある。

興味ある方はご一読を。

#ご購入頂ければありがたいですが、ちょっと高価なのでどうしてもという場合は連絡下さい。


えんぱくシンポジウム。

2010-09-15 06:31:51 | まちづくり

"えんぱく"と書いても決して顔料の"鉛白"の事ではない。漢字で書くとするとなら"延博"だ。

Enpakulogo すなわち、"延岡博覧会"の意味にあたる。

別府八湯温泉博覧会オンパクや、都城盆地博覧会ボンパクといった先行する着地型と呼ばれる観光をモチーフにして開催されるものである。コンテンツ型と言った方が判り易いかもしれない。スタートの駅からそこに帰ってくるまで観光名所を一足飛びの強行軍でめぐるパッケージ化された従来型のツアーとは異なった、目的地までは各自で来て、そこから先のコースを、より深く巡ろうというものだ。従ってまちあるきや体験型といった目的地を深く楽しめる、より充実した内容のコンテンツが設定される事が多い。

えんぱくもそういったコースがいくつも設定されており、僕は企画・案内人の一人として参加している。

916enpaku2010 このえんぱくのオープニングとして、シンポジウム(pdf)が開催される予定で、パネラーとしてえんぱくの魅力を語るという設定になった。明日開催なのだが、何を話すかまだちっとも考えていない。

まあ、なんとかなるだろう(笑)

#実は明日が授業初日なもんで、どうしてもそっちが優先に....。


パノラマで街をみる。

2010-09-07 18:20:03 | まちづくり

またまたtwitterで知り合った方の話だが、パノラマ撮影をなさっている山崎眞嗣さんが延岡にいらした折、実際のパノラマ写真の撮影と撮影した画像をつなぎ合わせて像を作成されるところを見せて頂いた。

パノラマ写真の多くは、自然景観のように開けた景観を撮影対象とする事が多い。しかしながら、まちなかのようなある程度限定された空間をその対象としてみる事によって、何か新しい街の景観・魅力を発見する事が出来ないだろうか、と考えてみた。

Pan01 撮影は超広角のレンズ(所謂魚眼レンズ)を使って角度を切って分割し、接合部分を選択して貼り合せる。水平さらに垂直にカメラを回転して撮影する訳だ。

ファインダーを覗き込む我々が、カメラの回転に従って一緒にまわっている姿が、傍からみると面白かったとは、うちの若い衆のコメント。

アプリケショーンを使って、画像を貼り付ける。この際像のひずみは当然修正してくれる。以前はここがやっかいだったのだが、VRによる空間表現も便利になったものだ。

出来た画像がこちら。


山下新天街

失敗だったのは、人影が入らないように撮影した事。これだとシャッター街なイメージが増してしまうような気が...。

むしろ、次のように人が沢山いる状態を撮影した方が面白い。

写真展"EYES ON ME"の会場の様子。

この次は駅を撮影してもらう事をお願いした。