延岡というまちをアーカイブ化していくには。

延岡というまちについての記憶を考えていく。

平和の塔、記事コメントについて。

2015-10-13 05:26:08 | Weblog
平成27年10月12日の宮崎日日新聞「平和の塔、石材返して 中国住民、宮崎県へ要求方針」という記事の中でコメントしましたが、紙幅の関係でどうしても短くなっているので、記者さんにお話した内容をここに記しておきます。

・日本はユネスコのハーグ条約(武力紛争の際の文化財の保護に関する条約)・文化財不法輸出入等禁止条約などに批准していて、国内法も整備されてきている。条約以前のWW2期の問題とは言え、道義的な責任があり、なんらかのかたちで対処する事は求められるだろう。

・一方で、宮崎県はこの塔を東京オリンピック前後にあらためて「平和の塔」として位置付け、貴重な文化遺産を中核とした公園整備を行なってきた経緯がある。特定の石材をそこから取り除く事は、文化遺産そのものの破壊にもつながってしまう。また、これまでの民間の調査があったとしても、使われている個々の石材が本当に「相手方の言う文化遺産」にあたるのかどうかや、建設経緯にかかる記録類等の調査を県として今一度きちんと行う必要がある。欧米各国でも返還に応じていないケースが多く、今回の場合、そもそも先方に返還請求の権利はあるのかという問題もある。

・何といってもこの問題は、宮崎県がこの塔を「平和の塔」と銘々しながらも、それを単なる観光資源として扱うだけできちんと戦時中の問題に関して、県としての明確な位置付けをはかってこなかったツケではないかと考えられる。いずれにしても国際問題になり勝ちであり、国内の同様の文化遺産にも影響を及ぼしかねないので、県有財産であっても独断・拙速は避けなければならない。



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