延岡というまちをアーカイブ化していくには。

延岡というまちについての記憶を考えていく。

寺社と地域社会にとっての文化遺産は維持できるのか。

2015-08-03 06:52:00 | Weblog
人口減少によって寺社の住職・神職がいなくなり、地域コミュニティでこれらが守られてきたが、これも困難になってきているという状況がある。

文化庁編1970『文化財保護の現状と問題』p.34には、「山中の無住の社寺等では防災管理上きわめて憂慮すべき問題があるので、これらを含めて有形文化財全般についての管理体制の整備と防災事業の充実が今日における最も重要な課題の一つ」という文章があって、この問題は高度成長期には既に発生していたという事が理解出来る。

この45年間、弱小官庁である文化庁や、孤立しがちな自治体教委の文化財担当・学芸員等は厳しい中で予算・人員を獲得しつつ、調査を行い、保護につながる手立てをとってきたと考える。しかし、やはりそれは不完全で、特に現状のような自治体のさらなる統廃合の可能性が出てきている状況ではなんともしようがない。

昨今では寺社経営の点から統廃合という方向性が強くなりつつある。下記の『中外日報』の記事は詳しい。

http://www.chugainippoh.co.jp/rensai/jijitenbyou/20150130-001.html

我々は地域コミュニティの存在と文化財の保全が切り離せない問題にあるという事は既に理解している。この立場に立てば、我々はかつて南方熊楠が行なった神社合祀反対と同じように、寺社の維持を世に訴えていく必要性がある。

そしてその一方で、維持すらかなわない寺社においては、「引き取り手」をどうするか、を考えていかなければならない。合祀先であるはずの近隣の寺社すらも、昨今では厳しい状況にある。宗教系大学の博物館や県立クラスの博物館にはキャパの問題、市町村クラスの博物館では、そもそも施設を維持できるのかという問題すらある今日なのだ。