山少年の山日記

いつまで経っても山男になれないオイラです

雪の稲村ヶ岳

2011年04月04日 | Weblog

       奈良県大峰山脈北部(1726m)
穏やかな晴れ間 雪の稲村ヶ岳 が見たくて

と   き  2011.2.27

天  候   

メンバー  
(5名)

交通手段  マイカー

オイラは3度目の稲村ヶ岳(無雪期ばかり)だがメンバーにはこの方面は
未踏がいて稲村までは無理としてもせめて大日山の氷の壁までぐらいは
行きたくてこのコースを決行することにした。

だが、雪が多くて危険を感じたら即撤退のつもりだった。
 
                       車を洞川温泉に駐車    8:30
         
                            五代松登山口    8:51             
歩き始めにアイゼンの故障者、スパッツを忘れてきた者がいて今年は大雪
だからこれはヤバイ!と感じて「稲村を止めて他にしよう」と提案したが
「アイゼンは紐があれば..」というので予備の靴紐を提供して解決、スパッツは
それほど潜りこまないから大丈夫と言っているから行くこと事にした。
                                      、  
         
                                    9:44
        
              杉林の中は楽しくルンルン進む。10:33

暫らくしたところで オイラの苦手な左斜面のトラバースだ。 
それも狭い足踏み面も斜面に平行して傾き滑りそう、
転げたものなら...  と想像して怖くなってきた。
そして今日の仲間には日頃そんなに歩いてなく雪山の経験の殆ど無い者もいる。

これから先はこんな所が連続するだろうと予想して「やっぱり今日は引き返そう」と言った。
「何が怖いのョ~ こんなところ!」 と自慢げに自信の有るメンバーに嘲笑らわれる。

 くそ! と思ったのが悪かった。

そこを通り過ぎると後はまたルンルンで楽だったが法力峠を過ぎた
辺りから右手の谷底が見えないぐらいの急斜面を横切るトラバースの連続だ。   
               
         
        画面左はこの角度で谷底までの急斜面が続く。  11:25
        踏みしめているところは鎖の上辺りだ。
           
急斜面(壁状)には雪も積もらず鎖が
見える。写真の所は鎖があるから安全だが、、、
殆ど鎖の埋まっているところばかりだ。
                         

         
          ところどころ鎖のポールが頭を出している。
今来たところを引き返すのは下りになるからもっと危険だ 
帰りはピストンせずにレンゲ谷回りで帰ろう。こうなったら稲村小屋まではどうあっても行くまでだ!。

自分の力量も考えずに 冬の稲村ヶ岳を選んだオイラの勉強不足を悔やみ
ながらどうか皆無事に!  と祈る思いで進む。 
                                           
    
 やっとのことで稲村小屋に着く。12:50
 小屋の一階は雪で埋もれていた。 時間は予定時刻より1時間少し遅れての到着だ。
 到底 稲村へは登れる時間は無い ここで昼食にして稲村は諦めることにした。 

小屋前には3人連れの男達が稲村ヶ岳から下りてきて昼飯を食っていた。
その中の年長のオッちゃんが自慢げに「飯前に登ってこいや 上は良かったぜ~」
と しつっこい 「時間がないんや!ここで充分や」と応えてもまだしつっこい。
時間があってもオイラはヒヤヒヤの連続でここからの帰りのエネルギーすら危ういのに...。
未だなお ぺらぺら喋くり 自慢の多い男にだんだん
腹立たしくなって
煩いな~ オッちゃんは死神か!」と言葉を返した。

山男なら「今日は危険だった。この時刻からでは遅いから止めときナ」と注意を促すのが筋だろうに。

男の喋りは本当に見っとも無いな~と我が身にも言い聞かせた。
やがて男等は下山していった。

そこで我々も遅い昼食を済ませた。13:30
帰りのレンゲ峠への大峰山上ヶ岳からの
尾根コースを見に行くとトレースは見当たらない。
え~~あのコースをピストンしかないのか メンバーが「トレースが無いから諦めてピストンにしましょう」という。 
仕方なくあの怖いコースを戻る事にした。

引き返し暫らくゆくと後ろから下山してきた一人の男が「今日の大日のトラバースはこの俺でさえ怖かったよ」
と言いながら追い越して下っていった。あの死神がしつこく誘っていたのが納得できた。

良かったね、もし時間があったらヤバかったかもね。
と思いながら恐る恐る引き返す。
そのときだ  経験の浅い一人が バランス崩して尻餅 そこは谷側に手摺があって
その下を滑り台みたいに潜り抜けかけたが手摺のポールに捉り難を逃れた。
それからも何度も「怖い 怖い」と怖がっていて 危ないところへ
連れて来た と後悔しながらの下山だ。

さ~次がいよいよ オイラの滑落シーン」 

その場所は稲村小屋と法力峠の中間点辺りだったと思う。
来るときも壁みたいな崩れそうな足場。
ズルズルと草交じりの斜面でオイラともう一人が渡る時には斜面の足場が崩れてなくなっており壁には
掴み所もないから少し戻って上を巻こうとして
斜面を攀じ登りかけて手ごろな木の根元を掴み体重を掛けて上がろうとした時 
ボキッツ と木が折れた後ろ向けにあっと言う間もなく雪の急斜面を痛くも無く
快適に転ろげ落ちている自分に気付くとっさに手足を一杯広げてやっと止まった。

前に山仲間から斜面で滑落して手足を広げて止まったと言う話を聞いていた事を
瞬間に思い出しての実行だった。

上から「キャ~ッ 山少年が滑落した~ 」と泣き叫ぶような声が聞こえる。

止まってからもズルズルと滑り出す。姿勢をうつ伏せ状態に整えて靴先で
蹴り込みやっと安定して下を見るともう少し下ではもっと急傾斜で下は見えない。
ズーと下では雪渓が左にカーブしてその先は見えない。
恐怖で足に震えが走る。まるで地獄を覗いた様な光景だ。

誰かが助けようとして足場を固めながら下りだした。
「来るな~ 危ない! オイラは大丈夫!」と断った。 

一息入れて登り易いところを見定めて立ち上がりかけたら仲間が傍までやって来てくれた。

あ~助かった!滑落した跡を眺めたら15m~20mはあったようだった。
「今の光景 誰か撮ってくれたか?」と聞いたら
「そんな暢気なこと言うて」と皆に叱られたよ。
せめてその滑り跡を写真にすることも忘れて  今となったら惜しい気がするよ。

やっとのことで母公堂に下山  16:55 辺りは薄暗くなりかけていた。
あの死神のそそのかしに乗っていたら餌食になっていたかも...。

洞川温泉で冷えた体を温める。
滑落の時に左膝に少し打ち傷と右腕にアイスバーンでの少しの摺り傷だけで
助かった。
雪の斜面だったから怪我が無かったのが不幸中の幸いだった。

今回の山行きでは多く反省させられた。

◎ 時期と行き先の選定 (我が器量を知ること バランスの悪さ)
◎ 危ない!と感じたら誰から何と言われようと即引き返す勇気を持つこと!
◎ 基本の三点支持
◎ 枯れ木には注意を!

数えかけたら限が無い 
あ~やっぱり 何時まで経っても山男になれないオイラか...