20151114
今日の空 ;雨が降ったり止んだりという天気です。
久しぶりに晴耕雨読をしたいと読み始めたのは「小さくて強い農業をつくる」(久松達央)です。ご存知の方も多いだろうがいろいろなマスコミで農業論を発信しておられる方だ。既存の農家を守るような政策や補助金による農業政策のようなものは返って今後の日本農業に悪い影響を与えるという持論を展開される。このあたり全く同感です。
特に今回おもしろかったのは後半のある部分。一部を要約・抜粋させてもらいますと
作れば何でも売れていた時代(戦後から高度成長期)には農業の労働生産性もずいぶん低く、農家のモチベーションUPが農業政策であり、食糧増産がその目的だった。その影響が強く残り、現在では大規模集約化を難しくさせている。当時の食糧増産は機械化などではなくマンパワーに依存する労働集約型農業を進めていた。モノが足りない時代には質より量に関心が行く。とりあえず何か食べたいという状態だ。この状態は経済成長時代を通じて長く続いた。価格がそこそこできれいに仕上がっていればよしという時代だ。ものを川上から川下に流す時代であり、その効率の良さが儲かる儲からないを分けてきた。
しかしバブル崩壊後、経済成長が鈍ると消費パターンは変わってくる。農産物が流れ着いた量販店店頭では消費者の選択が始まる。これまでの画一的にモノを市場に流せばよかった生産者は客の好みを考えた生産を求められるようになった。それまで重要だったレタスの形をしたレタスは売れなくなる、どこにでもあるレタスはどこででも買えるので買わない。この消費者の変化についていけないのが今の農業です。
なるほど納得の時代の流れ解説だ。長く食品業界にいると、この消費者の変化は強く感じたし、かつて作れば売れた、出荷すればシェアが上がっていったメーカーは頭の切り替えを急いだから今も生き残っていられる。このスピードに遅れるとどんな大きな会社でも5年後・10年後には社員を路頭に迷わせる可能性がある。
こういった危機感や切実感は旧来型の農業にはないし、不足している。