ワイワイ菜園~たんじゅん農法試行中

たんじゅん農法全国世話人のSさんと自宅が近い事からたくさんの事を教えていただき、それを咀嚼しながら畑作業に取組んでいます

本;植物に操られる

2018-05-10 06:00:00 | 晴耕雨読

20180509

晴耕雨読したくなる天気が続く。5月に入ってからの9日間で、雨が観測されなかったのは3日間だけ。なかなか畑に出てという具合にはいかない日が続く。雨が降らない日もボランティアがあったり、町内会の用事(除草剤散布)もあり、思うように畑に出られないと嘆くのは「人間基準・自分基準」だね(笑)。

この日も雨が上がった午後になって西の畑に行ってみると・・・。

雨が続いていたが、緑肥(ソルゴー)はまずまずですかね。少し畑が緑で覆われたっぽくなってきた。少し水溜まり状態になっている。

そしてジャガイモは

なんだなんだ!病気か?

雨が上がったら、ちょっと鶏糞を入れてみるかな?リン不足かも。

さて読み始めていた本ですが、正式には「植物はヒトを操る」(毎日新聞社)いとうせいこう氏と以前キリンビール植物事業部にいたという世界的育種家で2004年に北米で育種家を表彰する「ブリーダーズカップ」の初代受賞者だという竹内大学氏の対談形式の本です。

どうしても我々は、自分中心・人間中心で物事を考えがちだ。しかし別の視点からの見方を想像してみるとこれまで考えてもみなかった、物事の見え方ができるようになる。それは時に、天動説が地動説になったりする。Sさんは「人間基準と自然基準」といい、我々に俯瞰的なモノの見方を以前から提唱している。

この本は、植物の方向から人間を見てのモノの見方をやはり紹介してくれている。動物園の動物が檻の中から「今日はどんな人間が外を歩くのだろうか」と人間観察をしているようなそんな楽しさがある。


本;根菜

2017-12-19 06:00:00 | 晴耕雨読

20171218

この時期となると畑の作業は一段落、暇な時期となる。ある人は春からの畑の栽培計画を立てたり、種の手配に入ったり・・・。皆さんそれぞれだと思われます。

私はと云えば、果樹などの世話をしたり、秋に取り入れていたゴマを取り込む作業をしたりと半端な作業を行っています。新年を控え今年中に済ませる仕事もあれこれとあり、そんなことで右往左往している。

こんな時期だからできる事をと、作物の本などを読み返してみて今年の反省などを行ってもいます。

見出し画像の本、「家庭菜園レベルアップの本 根菜①」(農文協)を読み始めている。もちろん慣行農業の本なので肥料や防除の記事も多い。しかし作物の特徴や癖などについても貴重な記事もあり参考になる。

「この巻に収録したダイコン・カブ・ニンジン・ゴボウ・ビーツは芽生えと同時に真っ直ぐ伸びる主根が肥大する野菜です。これら直根型野菜は特に最初が肝心です。たとえばダイコンやニンジンは、芽生え後1ヶ月前後の本葉4~5枚の頃に、肥大する根部の形状や素質が決まってしまいます。生育初中期にスムーズに素直に育てることが直根型野菜のポイントです。」と本の冒頭に書かれています。

化学肥料や防除をどうするという説明もあり、Sさん曰く「地動説」の立場で書かれている本ですが、肥料などの部分を除いて、書かれている内容は参考になる事が多いというのが私の印象です。

これを読めば、間引きニンジンを移植することがどういう事なのか、意味も合点がいきます。今夢中で読込んでいるところです。また先人の知恵とも云える内容について、更には私の畑でのニンジンの様子も含めて改めて記載したいモノです。

課題の雑用も一段落しましたので、寒い中ですが少しずつ畑の作業も再開したいものです。


本を読んで。自分は野菜をどうしたいのか

2017-11-10 06:00:00 | 晴耕雨読

20171109

余り安い食品を求めていると消費者にとって不利益な事になる可能性があるという話をしている本がある。見出し画像の「激安商品の落とし穴」(山本謙治著)に書かれたメッセージだ。

安いもの求める消費行動 ⇒ 販売価格を下げようとする店舗への圧力 ⇒ スーパーのバイヤーの販売力を笠に着た買い叩き ⇒ 生産者へのコスト削減圧力 ⇒ 生産者の生活が再生産できない、儲からない、後継ぎがいない ⇒ 生産者が居なくなる 本当の野菜が栽培できなくなる

とこういった話らしい。皆さんはどう思われるでしょうか。

著者・山本謙治氏は毎週末の早朝、NHKラジオで農畜産物や水産物を全国から掘り出して季節の野菜等を紹介しているので、よく放送は聞いていたし、ファンでもあります。

私は退職後、農業を志向した。肥料・農薬使用の慣行農業では上記のサイクルに巻き込まれ、結局農家の犠牲の上に野菜を出荷するような事になるのはある程度想定できた。しかしこの現状の原因を消費者の安い食品を求める心理事情に求めるのはちょっと筋が違うのではないかと思う。

確かに消費者には全く責任がないとは云えないかもしれないが、資本主義の競争原理が働く中で、矛盾が生産者のところに集まってしまっている状況もあるだろう。しかしそこには農協の問題もあり、市場が縮小する中で右肩上がりの目標を掲げ続ける商習慣、売上が未達なら値下げしてでも客を引張り合う姿があるし、値下げ分を納入業者に納価見直し(コストダウン)として飲ませる姿もあり、それをまた飲んでしまう業者もある。単純な生産者・販売業者・消費者の関係だけではないし、後継者が出ないのは農家だけではなく、利益が無くなる販売業者も同様の事が云えるのではないだろうか。

私は自分で育て、安心して食べれる野菜を栽培するために畑を始めた。量産できるようになれば、自分の栽培方法を理解してくれる方に分けても良いと思ってきた。しかし今はまだ獲らぬ狸状態。とりあえず自分で自立して納得できる生育と味わいの野菜を栽培できる技術や土壌を実現したいところです。

私は自分自身や身近で問題や矛盾があれば、周りや消費者が理解していないためだという近視眼的な原因探しはどうも賛成できない。もっと工夫をして行くべきで、うまく行かないのは工夫が足りないからだと思うのです。著者が取り上げる農家さんは、補助金などを頼りにせず、様々な工夫をしてきたからこそ今まで継続できたとも云えるのでしょうが。

本では、消費者が求める「新鮮でおいしく、安全で、しかも安い食べ物」には矛盾があり、新鮮・美味・安全にはコストがかかり、安くはならない という。当然です。だから高い野菜になる事を訴えていく、安い野菜は何か理由があることを消費者は薄々でも判っている と思う。しかし安くて買える野菜なら、多少形や鮮度に問題があってもそちらを買う消費者の心理にも強いものがある。だからこの野菜はこういう事情で高いのですという説明が何としても必要でしょう。それ抜きで横に並べていたのでは安い野菜にだけ手が伸びるのはこれも当然でしょう。更に安い野菜を求めるニーズが強ければ、遺伝子組み換えで強い農薬にも耐えうる野菜などは手間もかからないから安く市場に出てくることになる。もう店には遺伝子組み換え野菜が並んでいるかもしれない。

だから自分で栽培し、農薬はもちろん、化学肥料も使わない安心して食べられる、野菜本来の味わいを持つ野菜に魅力があるわけです。私はそのための畑作り・土づくりを、野菜を栽培しながら進めている最中です。望むような野菜ができるようになれば、畑も少しは広げて販売もしていきたいですが、農薬や化学肥料で栽培した野菜とは価格が違うのは当然だと思います。何も表現せずに並べていたら手を伸ばしてもらえない野菜だから、販売する際には徹底した説明と差別化が必要だと考えます。理解頂けないようなら自分や家族が食べる分だけの栽培にとどめます。残ることのない、必要な分だけの栽培です。

とはいっても畑ができてからの話ですが(笑)。

海外に農業指導に行った若者の話ですが、上手に野菜栽培ができるようになった現地の人に「面積を増やせば更に多くの野菜が収穫できるのになぜ畑を広げようとしないか」と問うと、「自分が食べる部分があればいい」と云い、原野を切り開くようなことはしなかった。という話を聞いたことがあります。良い話だと思います。自分だけ美味しい野菜をというつもりはありません。他人様に喜んでもらえれば嬉しいし、一人でも多く味わってもらいたい。できてしまった野菜を買い手を求めて売りさばくようなことはしたくないという意味です。

如何でしょうか?先日読んだ本の感想から、思わぬ方向へ話が脱線してしまいました。


2017-10-22 08:30:30 | 晴耕雨読

20171022

このところ雨が続きます。畑のブログはこの日もお休み。

10月に入って22日目ですが既に雨を観測した日数は13日。明日も台風21号で大荒れの天気予報が出ています。明日も含めると14/23となり半分以上が雨。畑の作業は進みませんし、お日様が懐かしくなってきます。前夜Sさん宅で稲作反省会と称して集まりましたが、参加したプロ農家の方が、稲刈りができなくて困っているという話がありました。さもあらんです。

さて台風はまっすぐ当地、掛川・静岡方向に狙いを定めたかのように向かって進んできます。朝の段階で南大東島東280kmの海上というので、沖縄から東に四国から南の海上位置から静岡に向かって進んでいるようです。

夜から未明にかけてこの辺りを通過するという確率が高いそうです。(画像はtenki.jpより借用)

選挙も期日前投票を済ませ、この日は何もすることもないので本と撮りためたビデオを見るようなそんな一日となりそうです。

見出し画像は今手元にあり読み返したり、これから読もうと思っている本です。

「激安食品の落とし穴」山本謙治

山本謙治こと「ヤマケン」さんは、土曜日朝のNHKラジオで様々な農産物中心に食材の話をしてくれているので、毎週楽しみに聞いているのです。その彼が書いた本。消費者は安い食材を求める意識が強いがその行動が様々な弊害をもたらしているという様なスタンスで書かれた本です。

「自然が教える農業のお手本」読み直し

もう少し読み進んだらまた機会を見つけてブログにもアップしたいですね。


無農薬への関心の高さ

2017-09-09 21:00:00 | 晴耕雨読

20170909

無農薬・無化学肥料へのこだわり

①無農薬

何故農薬使用を嫌うのか、化学肥料の使用に抵抗があるのかについてはいろいろな考え方やこだわりがあると思います。感情的に生理的に嫌う方もいるでしょうし、こういう根拠でなるべく自然に近い野菜が良いという考えをお持ちの方もいるのでしょう。

先日読んだ本(見出し画像の「無農薬・有機のイネづくり」)にもそこに触れた部分がありましたので少し整理をしてみたい。この本の主張は一つの意見ではありますが、私としてはとても共感できるものでした。

コウノトリという鳥がいる。赤ちゃんを運んでくる鳥として有名ですね。調べますと兵庫県の県鳥だといいます。国の特別天然記念物だそうだ。昔は日本中どこにでもいる鳥だったそうですが、今から50年近く前に野生下で絶滅したといいます。絶滅の際の最後の生息地は兵庫県の北部、豊岡だったそうで、この地域の住民が中心になり様々な手を尽くしたようです。しかし飼育コウノトリの死亡、産卵からふ化の難しさなどで絶望的だった時期もあったといいます。しかし県や文化庁の支援も受け事業を進めたりして、ハバロフスク(ロシア)から贈られた6羽のコウノトリ幼鳥から子孫100羽(2002年)に増やすことができたといいます。

その後、2005年から放鳥を開始。2007年には野生下でヒナが孵ったのを確認、2012年には野生の親同士からヒナ誕生。野生のコウノトリは県境を越え、更には日本海を渡り韓国にまで飛来するという事で、50年前の状況に戻りつつあります。その経緯などは兵庫県立コウノトリの郷公園HPに記載があります。

なぜコウノトリはかつて絶滅したのか。1961~71年に大量に使用された除草剤PCPが決定的だったというのが定説です。もちろんこの薬剤が直接コウノトリを絶滅させたわけではありません。鳥のエサが田圃の耕地整理などで少なくなったこともあるでしょうが、絶滅に影響する原因は毒性の強い除草剤の使用だったのです。

この除草剤は田圃でイネ生長の障害となるヒエ(水田雑草)防除のためこの時期に全国で田圃に散布されました。イネは枯れずにヒエが枯れるという薬剤は当時待望の農薬だったのでしょう。しかしこの薬剤により田圃で生育する小動物に毒性物質が取り込まれ、さらに小動物を食べるドジョウ・タニシという食物連鎖上位の動物に取り込まれます。最終的には食物連鎖の頂点の動物に蓄積・濃縮が進んでいくのです。前述コウノトリの郷公園HPには「コウノトリは,世界で極東地域にのみ生息する大型の肉食性鳥類であり,湿地生態系の食物連鎖の頂点に位置する頂点捕食者です.日本在来の動物であり,大陸との断続的な遺伝子交流を行いながらも,日本列島の生物群集のなかで進化してきた」と紹介されています。

大変強い毒性を持つ除草剤PCPにより田圃や小川のドジョウ・ナマズ・ウナギ・フナ・コイなどは毒性を蓄積したり死んだりしました。その魚類を食べていたコウノトリからは高濃度PCBが検出され、直接死ぬこともあるのでしょうが、ヒナが孵らなくなったといいます。

この本によれば、PCP以降(1971年以降)使用されてきた毒性の弱いCNP剤にもPCB・ダイオキシンが含まれているといいます。ダイオキシンの量は微量であるから影響は少ないという主張もあるようですが、「環境ホルモンとして生殖細胞にも悪影響を与え、精子数の減少という形で人類の未来を奪おうとしている」とシーアコルボーンの著書「奪われし未来」で伝えられ、除草剤を使わないイネづくりが広まったといいます。

赤ちゃんを連れてくるというコウノトリの絶滅に関する話が、生殖への影響を危惧させ、人類の未来に影を落としています。少子化は先進国では一つの流れになっていますが、こうした流れから精子数量の減少が影響し問題が少子化という形で顕在化しているのではないかという心配をする人も少なくないでしょう。

今回の話は、除草剤とイネ、コウノトリの話ですが、その他の薬剤で病気になった、体調がよくないという農家さんは昔から多かった。農薬とその他作物・農業従事者の関係もいろいろな事があります。いずれにしても、イネの雑草退治と省力化の期待をして使用し始めた除草剤が、除草剤不使用のお米への関心を高めたことは事実でしょう。除草剤も一面では有効な事も結果として除草剤や農薬忌避への流れへとつながったと言えるのではないでしょうか。

除草剤だけではなく、便利な薬剤(害虫や病気を抑止できる化学製品)は一方ではデメリットも大きいと認識した方がいい。特に虫がつく、病気が発生するという症状だけを除去しようとする方法は気を付けた方がいい。根本的な原因を見つけ出して、その対策をする必要があると思います。しかしそれは面倒で根気のいる作業です。それを簡単にする薬剤があれば飛びつくことになるのです。人間の場合も同じ。高熱が出て大変な時も熱を下げることにスポットを集めすぎると、何故高熱が出たのかを考えようとしない、本当はそちらの対策こそが必要なのに・・・。

これまでの薬剤・農薬と野菜作物の関係はそういう部分がとても気になるところです。

同じような流れで、化学肥料も考えてみたいがその件はまた次回に。