20190729
台風が接近、行き過ぎるまでの時間をどうも持て余しそうな予感がしてきた。7月の月末を控えての数日に何をしようか、どんなことに時間を使うことにしようか、そんな考え事をすることにした。もう一度、退職後の5年間を振り返ってみようと思った。5年前に何を志して定年後を過ごそうとしたのか。
まずは組織の枠から抜け出たかった。決して嫌いではなかったが少し鬱陶しくなっていたことはたしかだ。学校卒業後、新卒入社からの37~38年間、会社での上下・先輩後輩・横関係・チームとしての小組織の中で生きてきた。いろいろ教えていただいた先輩もいる。元上司もいる。手を焼かされた後輩もいた。その関係を打ち破り退職後は一匹狼になろうとしました。
これまで長い間取り扱ってきた商品群、稼ぎの中心にあった商品、競合会社の状況、自社や競合の株価、新商品のCMなど。退職しても気になることはあるが、自分が何をしてもできることは限定的で、商品の購入程度しかできない。
畑を始めるにあたっては、生産者が胸を張って「安心・安全」を声高に云い切れる作物を栽培したかった。スーパーマーケットの野菜売り場に並ぶ野菜では満足できない人たちに野菜を提供していきたい。生産者自身や家族が「おいしい」と云って喜んで食べる野菜だ。防除のための農薬を使い「自分が食べるわけではないので」と言い捨てる生産者も見たことがある。最近はキャベツに農薬を1回だけ使えばあとは防除の手間は掛けなくてもいいという農薬が登場したという話も聞いた。そういった野菜ではない。家族と笑って「美味しい」と云い合いながら食べる野菜が良い。
しかし農薬や化学肥料を使わずとも美味しく食べられる野菜を作る事だけが目的ではなかった。生き方・考え方で現役時代に比べもう少しゆったり穏やかに暮らせる環境にもあこがれた面がある。その時に参考にした暮らし方について本から参考にしたいものを記録していた。
久保田豊和氏の「畑仕事の十二か月」という本に書かれている”暮らし方”についてのガイドというか、提案を今一度読み返してみた。
<シンプルな暮らし>
■朝は日の出とともに起き、夕日とともに家路につく。
■月の満ち欠けで季節を知る
■旬の野菜と魚を食べる
■多少高くても良いモノを買い、長く大切に使う
■晴耕雨読
<シンプルな畑とは>
■使い切る収量を考え、適正規模で栽培(作り過ぎない無駄にしない)
■閉じられたエリア内で野菜などの栽培を行う(持ち込まない・持ち出さない)。すべての動植物を畑の環境の中で育てる
■土の中で分解しない農業資材は使用しない。
■化学肥料を使用しない。
■適地適作
■輪作で畑に多様性を育む
■炭素(有機物)の土・植物・空気を巡る循環を目指す(持続可能な畑)
■土・植物・動物の調和のあるバランスを目指す
まだ実現していないものも、具体的に方法もイメージできていないものもあるがその方向を目指すこととする。
こういった作業や野菜の世話をする中で、現役時代は忘れていた余裕を持った暮らしに憧れる。「足るを知る」生活というものを少しでも味わいたいものです。