イラクで行われた選挙で、マリキ首相の支持基盤であるイスラム教シーア派が地すべり的勝利を収めた。イラク国民が選んだのだから外国からとやかく評するのはおかしいだろうが、これでまた中東は複雑な力関係になったと思う。そう単純な話ではないが、大くくりに見ればシーア派はイランに近い。歴史的にペルシャとアラブとの接点がイランとイラクの間だったものが、これでイラクもペルシャ側に取り込まれた形になるのではなかろうか、と心配する。イラク社会が安定し人々の生活が楽になれば、理念的な諍いは収まるだろうが、そうでなければまた火種になるだろう。本当に人間社会は難しい。