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この岳に生きる

「この岳に生きる」とは僕の所属する山岳救助隊の記念誌の題名です。 北アルプス飛騨側で山と共に生きている僕の見た風景です。

また夜。

2011年07月19日 | 山岳救助

夕べも遅くから、レスキュー。

そんなに長い距離ではなかったのが救いだった。でも、重たかった!(失礼)

遭難された方や、パーティーの救助要請の判断が的確でなかったり遅かったりすることが多いように思う。 判断が遅れて遅れて僕たちの夜出動が以前より増えてきている。

自分が山の中で今、陥っている状況を冷静に判断して救助を要請することを、ためらってはいけない。

安易な要請も中にはあるが、無理をしてさらに大きな事故に繋がりかねない。

夜になるとレスキューする側にもリスクが増える。

山岳会などはその辺のガイドラインがしっかりしていると思うが、セルフレスキューはしっかりしてほしい。


2011-07-01 16:58:12

2011年07月01日 | 山岳救助

P1080829 雪が薄い箇所もあり危険。

先日、レスキューで行った時は夜だったので周りの様子が全く分からなかった。

現在の様子をちゃんと見ておこうと思い、登ったところが良く見える所まで行ってきた。

やはり今年は雪が多く、毎年雪崩の発生するところでは標高が低いところでも雪渓がたっぷりだ。

雪渓を登ってみたら行く先に穴が開いていた。薄いところに乗って崩壊したらひとたまりも無い。あの時は暗くて分からなかったが今考えると怖いものがある。

最近雨ばかりなので雪もドンドン溶けているので注意が必要だ。

P1080828 ワサビ平小屋。

帰り、今日から小屋開けの準備をしているワサビ平小屋を、のぞいたら二代目のタケちゃんがいたのでしばらく話し込んでしまった。

営業は10日からだそうです。

いよいよ夏山が近づいてきた。なんだか慌ただしくなるなあ。


真夜中のレスキュー

2011年06月28日 | 山岳救助

2011062800240001 暗闇で見ると怖さ倍増。

昨夜、午後8時頃山の中で動けなくなって救助を求めている登山者がいるので助けに行って欲しいと電話が入った。

こんな時間からですか!?外は本降りの雨が降っているが行くしかない。

警備隊員のS村君と二人で行く事にした。遭難者は怪我は無いが雨が酷く、テントが浸水してきたとかで救助要請してきたという。

午後9時、登山開始。もちろん真っ暗闇。雨も強い。登山道もほとんど川状態。正直勘弁して欲しい。

登るにしたがい、雪渓が出てきた。登山道が無い。昼間なら何てことなく分かるのだが、ガスも濃いのでほとんど分からない。GPS持ってきて良かった。それを頼りに進むが途中、藪漕ぎとなってしまった。こんな時間に雨の中藪漕ぎなんて初めてである。S村くんと二人、励まし合いながら何所にいるともハッキリ分からない遭難者を捜したが、上部はまだ雪が多くその都度GPSを頼りにするしかない。

2時間ほど登ると風も出てきた。すでに全身びしょ濡れ。早く見つけたい。ホイッスルや大声で呼びかけながら捜した。S村君が雪を踏み抜いて靴が完全に浸水して泣きが入った頃僕の目の前に光の筋が見えた。見間違いかともう一度確認したら間違いなかった。おった!S村くんと僕は俄然気合が入る。少し藪を漕いだところに遭難者はいた。

良かった!分かっていたが怪我は無いかと問いかける。大丈夫だ。充分歩けるので保護しながらGPSのトラックを忠実に辿って下山する事にした。今回はGPS様様様である。

半分くらい下ったところで応援の二人の警備隊員と合流。仲間は本当にありがたい。安心するがまだ気が抜けない。2時間ほどで指導センターに着いた。

帰宅すると時刻は午前2時。

厳しいレスキューだったが無事終えてよかった。

2011062800310000 ヘッドランプだけが唯一の灯り。


今日もパト

2011年05月08日 | 山岳救助

2011050810330000 独標下部。このあとホワイトアウトになった。

今日も2日連続で西穂パトに行ってきた。今日はベテラン隊員のmatuさん、若手のホープshouta、いつものhoriさんと僕の4人。horiさんは昨日も行ってくれている。この人も山が大好き。

今日は晴れ予報だったが山荘から上部は28日ほどではないが風が強かった。稜線に出ると雪が降ってきて吹雪いてきた。ガスも出てきて一瞬でホワイトアウト。おかしいなあ。晴れてくるはずなのに。

なんだか冬チックで嬉しいが、登山者は山頂から降りてきた二人だけなので僕たちも無理をせず戻る事にした。

どうやらロープウェイも風でしばらく止まったらしい。僕たちも下りで乗っていたら途中で止まってしまった。

2011050811000000 時折みえる青空は綺麗だった。

風は強かったが丸山付近では登山者が10名ほどいた。山ガールッポイ人もいた。初めて見た。寒そうでした。

いつものように山荘の方々に挨拶をしてコーヒーを御馳走になった。御馳走様でした。

春山警備も終わるが静かで事故のなかった良いGWだった。

皆、お疲れ様でした。


2011-05-07 20:10:17

2011年05月07日 | 山岳救助

2011050710530000 独標までの稜線。

今日も西穂パトへ行ってきた。いつものHORIさん、カミー君と僕の三人である。

今日は前回と違って風も無く暑いくらい。10時に山頂駅を出て、ピラミッドピークまで行ってきた。

明日で春山警備は終わる。静かなGWでよかった。

2011050712260000


西穂パトロール&ジム

2011年04月28日 | 山岳救助

2011042813090000_52011042811130000_32011042820200000  山頂駅の雪の回廊

GWの春山警備が今日から始まった。初日の本日、雪の様子を見にパトロールに行ってきた。メンバーは我山岳救助隊の精鋭、horiさんとミット。朝から下界はの新穂高は小雨が降っていたが山頂駅は雪が降っていた。ガスも濃く見通しは悪い。

今年は2000m以上の中腹付近の雪が多いと思う。ロープウェイ山頂駅の雪の回廊もまだまだ健在だった。全く雪の無い都会から来た人が見れば驚くだろう。

今日は天気も悪かったので登山者は少なめだった。山荘の方に挨拶を交わしてコーヒーを頂いた。いつもありがとうございます。

山荘から上部は烈風が吹き荒れていて危険だったので丸山手前で引き返した。

トレーニングにもならなかったが雪の状態を把握する事ができた。GWに西穂へ登る登山者に少しでもアドバイスができるように自分の目で確かめてきた。

夕方からは子供たちを連れて最近通っているクライミングジム、ハイマウントさんへ行ってきた。息子は二回目で少し慣れてきた。娘も初挑戦だったが楽しそうに登っていた。horiさん一家もきて楽しそうだった。同じく救助隊の若き精鋭のshowtaもトレーニングに来ていた。showtaはとても上手かった。僕も少しは上達したかもしれない。でもまだまだ。明日からしばらく忙しい日が続くが今日は充実した休日となった。


春山偵察

2011年04月21日 | 山岳救助

GW前。4月21日現在の北アルプス飛騨側の様子を見てきましたので載せます。

岐阜県警山岳情報岐阜県北アルプス遭難対策協議会も合わせてどうぞ。

積雪はほぼ例年並ですが、2500m付近の中腹は多いように思います。雪崩も起きていますがここ2.3日の降雪でデブリは隠れていました。セッピが発達しているので崩壊したブロック雪崩に要注意!

P1070262_2  西穂高岳の稜線。スキーできるな。

P1070287 一番右のピークが西穂山頂。西穂西面。

P1070283 除雪中の穂高岳山荘。おーいUJ君!元気かー?!

P1070280 涸沢岳西尾根。蒲田富士付近は大きなセッピが。

P1070305_2 涸沢岳西尾根のセッピ。

P1070288 左俣谷から弓折岳の様子。山スキーには楽しそう。でも雪崩に注意!

P1070327 抜戸の稜線のセッピ。いつもの通りに張り出してます。

P1070335 錫杖岳。北面。

P1070307 槍ヶ岳飛騨沢下部。ここもスキーで滑ったことがある。雪崩にはどこでも注意!


ビーコン講習会

2011年02月23日 | 山岳救助

P1060487 電波の出かたの特性を知る 。

今日は雪崩ビーコンの講習会に参加してきた。ピープスを取り扱っている代理店の方と、白馬の山岳ガイド方の二名が講師であった。

最新式デジタルの物からアナログ式の物。1本アンテナから3本アンテナの物。そして各メーカーの物。それぞれの特性や操作の仕方など事細かく教えて頂いた。メーカーやアンテナの形式によって最初に反応する距離が様々である。今まで知らなかったことが沢山有り本当に内容の濃い講習会だった。

P1060492 4mの高さにビーコンを設置しての探査。

午後からは2班に別れ、実際にビーコンを雪の中に埋め探し出す訓練を行った。

雪崩に埋まった人を生きて救出できるタイムリミットは15分だそうである。

ビーコンを4つ埋め全部探し出すまでに10分少々であった。

何回も繰り返し探し出す練習を行ったがやるたびに要領が良くなりスピードは上がっていった。やはり練習は大事である。

バックカントリーにスキーやボードに行くのにビーコンは今や常識である。しかし、その操作や電波の特性を知って使いこなせるには相当の練習が必要である事を改めて実感した。また、プローブの行い方や二次雪崩の対策など雪崩の現場のレスキューの方法をみっちりトレできて有意義な講習会だった。

最低でも一年に一回は訓練したい。


冬山偵察

2010年12月17日 | 山岳救助

P1060231 槍ヶ岳付近より穂高方面。

快晴の今日、年末向けて北アルプス飛騨側の状況を見てきました。

積雪状況は例年並。

岐阜県北アルプス山岳遭難対策協議会岐阜県警山岳情報と合わせてこれから山へ入られる登山者の方へ少しでも参考になれば幸いです。

P1060234 抜戸岳から弓折岳付近。

P1060243 槍ヶ岳、西鎌上部、飛騨沢。

P1060258 穂高岳山荘。

P1060262 奥穂高山頂付近。西面。

P1060267 ジャンダルム。

12月17日現在の様子です。年末はこれよりさらに雪は増えるでしょう。


山の会議

2010年11月22日 | 山岳救助

2010112222260000_2  会議が始まる前の様子

今日は年に一回の

「富山・長野・岐阜三県山岳遭難防止対策連絡会議」

が開催されたので出席してきた。この会議は今年で52回を数え隣接する三つの県の遭難対策協議会が毎年持ち回りで開催されている。今年は我遭対協での開催年となった。

高山市内のホテルで行われて協議会長である市長をはじめ、総勢100人を超える大きな会議になった。

会議では各県の山岳遭難の発生状況や概況が発表され内容の濃いものとなった。長野や富山は岐阜より遥かに遭難件数が多く救助活動も大変である。

会議の後は懇親会が開かれたがこれまた大宴会であった。同じ北アルプスを有する他の県の方とお話するのも刺激になっていい。

しかし僕はいつもの山仲間のO森君や怪物SS木君と冬に向けての山行の話ばかりしていた。この人たちとの山の話は本当に楽しい。この冬も宜しくお願いします。

来年は富山で開かれます。