弥右衛門の暇つぶし

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アインシュタインが残した言葉

2021-09-04 11:31:00 | 行動、直観、駆動
今日はあの人、アルベルト・アインシュタインの日本滞在記の話をメモします。アインシュタインの滞在記についてはいろいろと取りざたされてますが、個人的には彼の西洋人としての日本人観察力の正確さに感服してます。西洋人には日本特有の
「和もって貴しとなす」、この概念は理解できないのですが、見事に言い当ててます。そのほか日本が西洋の文化模倣、傾斜いく姿を憂いてます。すでに彼の訪日から100年の歳月がたってますので、今となっては何としようもない無念な思いもします。
以下は先輩方の書籍「アインシュタインの旅行日記」の批評と彼の日記、手紙抜粋です。

アインシュタインは、雑誌・改造社が企画した日本講演旅行を承諾し、1922年11月17日から12月29日まで約一か月半日本に滞在している。1922年10月8日、妻のエルザとともにマルセーユで日本郵船の北野丸に乗船した。 彼がまだ香港から上海に向かう船上にいた11月10日、1921年度のノーベル物理学賞が彼に授与された。
日本到着前の船中日記には「国家イコール宗教と言う不気味な連中」、「日本人の心理を理解するのは困難」などと譲疑や皮肉を記している。が、その後の日本での滞在はでかれの印象は激変する。
12月27日、帰国寸前に息子への手紙には「日本人のことをお父さんは、今まで知り合った民族よりも気に入ってます。物静かで、謙虚で、知的で、芸術的センスがあって、思いやりがあって、外見にとらわれず、責任感があるのです」と最大級の賛辞を書いてます。
余程同行した人の人柄がよかったのか、また会った人たちがみな素晴らしい人達だったのでしょうか。

「日本には、われわれの国よりも、人と人とがもっと容易に親しくなれるひとつの理由があります。それは、みずからの感情や憎悪をあらわにしないで、どんな状況下でも落ち着いて、ことをそのままに保とうとするといった日本特有の伝統があるのです。
ですから、性格上おたがいに合わないような人たちであっても、一つ屋根の下に住んでも、厄介な軋轢や争いにならないで同居していることができるのです。この点で、ヨーロッパ人がひじょうに不思議に思っていた日本人の微笑みの深い意味が私には見えました。
個人の表情を抑えてしまうこのやり方が、心の内にある個人みずからを抑えてしまうことになるのでしょうか? 私にはそうは思えません。この伝統が発達してきたのは、この国の人に特有のやさしさや、ヨーロッパ人よりもずっと優っていると思われる、同情心の強さゆえでありましょう。」
 

「自然と人間は、一体化している」
日本人の「個人の表情を抑えてしまうこのやり方」のために、アインシュタインは日本滞在中も、その心の奥底に入り込むことはできなかった。

「人間同士の直接の体験が欠けたことを、芸術の印象が補ってくれました。日本では、他のどの国よりも豊潤に、また多様に印象づけてくれるのです。私がここで「芸術」と言うのは、芸術的な意向、またはそれに準じ、人間の手で絶えず創作しているありとあらゆるものを意味します。
この点、私はとうてい、驚きを隠せません。日本では、自然と人間は、一体化しているように見えます。…
この国に由来するすべてのものは、愛らしく、朗らかであり、自然を通じてあたえられたものと密接に結びついています。
かわいらしいのは、小さな緑の島々や、丘陵の景色、樹木、入念に分けられた小さな一区画、そしてもっとも入念に耕された田畑、とくにそのそばに建っている小さな家屋、そして最後に日本人みずからの言葉、その動作、その衣服、そして人びとが使用しているあらゆる家具等々。
…どの小さな個々の物にも、そこには意味と役割とがあります。そのうえ、礼儀正しい人びとの絵のように美しい笑顔、お辞儀、座っている姿にはただただ驚くばかりです。しかし、真似することはきません。」
 
「和をもって貴しとなす」とする世界で、人びとは自然とも和して生きてきたのである。
たしかに日本人は、西洋の知的業績に感嘆し、成功と大きな理想主義を掲げて、科学に飛び込んでいます。けれどもそういう場合に、西洋と出会う以前に日本人が本来もっていて、つまり生活の芸術化、個人に必要な謙虚さと質素さ、日本人の純粋で静かな心、それらのすべてを純粋に保って忘れずにいて欲しいものです。
 
科学技術の進展から、人類は核兵器を持ち、地球環境を危機に陥れてきた。アインシュタインが賛嘆した人間どうしの和、自然との和を大切にする日本人の伝統的な生き方は、いまや全世界が必要としているものである。

如何でしょうか。江戸末期から明治にかけて日本を訪れた西洋人は押しなべて日本人の精神性を褒めた立ててます。渡辺京二さん著書、「逝きし世の面影」は当時の日本に滞在した西洋人の滞在記、手紙などを集成した本で、そのなかで当時の日本がどう言う国であったかを西洋人の観点から浮き彫りにしてます。「この国の文明が、人間の生存をできうる限り気持ちの良いものにしようとする合意とそれに元ずく工夫によって成り立っていたと言う事実」これがあったと渡辺京二さんは指摘してます。戦後、ややもすると多くのインテリ層が日本嫌いの態度を取る傾向の中、アインシュタインの言葉を始め、西洋人から見た昔の日本のありようについてもっと、理解を深めなくてはと思ってます。

9/04,    2021          弥右衛門


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