yabanjin-soulのTシャツ魂

ロック魂を手描きで表現するyabanjin-soulのたわごと・ひとりごと

中原中也「湖上」

2008年01月17日 | アートイラスト

Tyuya_kojyou  「ポッカリ月が出ましたら
  舟を浮べて出掛けませう。
  波はヒタヒタ打つでせう、
  風も少しはあるでせう。

  沖に出たらば暗いでせう、
  櫂から滴垂る水の音は
  昵懇(ちか)しいものに聞こえませう。
  ---あなたの言葉の杜切れ間を。

  月は聴き耳立てるでせう、
  すこしは降りても来るでせう、
  われら接唇(くちづけ)する時に
  月は頭上にあるでせう。

  あなたはなほも、語るでせう、
  よしないことや拗言(すねごと)や、
  洩らさず私は聴くでせう、
  ---けれど漕ぐ手はやめないで。

  ポッカリ月が出ましたら、
  舟を浮べて出掛けませう、
  波はヒタヒタ打つでせう、
  風も少しはあるでせう。」

いや~、良い雰囲気ですよねえ。

この詩は死後出版された「在りし日の詩」に収められてる詩なんだけど

なんか、いろんなことを乗り越えてきた後の静寂感というか、

嵐をくぐり抜けた後のぬくもり感というか、

激しい感情を経験した後の慈しみ感というか、

そんな感じの慈愛にあふれた詩ですなあ。

「昔 私は思つていたものだつた
 恋愛詩なぞ愚劣なものだと

 今私は恋愛詩を詠み
 甲斐あることに思ふのだ」

と、中也本人が別の詩でうたってたけど

人を愛するという気持ちも

ヒトの立派な感情の一つであるからにして

ホント、まったく愚劣ではありませぬぞよ。

ただ好きだとか、そんな感じだけだと

ちょっと、辟易しちゃうけど

いろんな経験を乗り越えたあとの

こういった感情は

すごく大事なことのように

感じまする。

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コメント (2)
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