畑に出たいのだが、ここ数日、通り雨が降る。
降るなら降る、降らないなら降らないの、なんともけじめのない天候。
菜種梅雨。
ところが、ナタネは、菜っ葉の種子という意味で、特定の品種として存在しない。
♪菜の花畑に入日薄れ 見わたす山の端 霞ふかし♪
ならば「ナノハナ」かと思いきや、ナノハナという植物はない。
ナノハナは、黄色い花をつけるアブラナ科アブラナ属の花の俗称だ。
ハクサイ、カブ、コマツナ、ミズナ、チンゲンサイ、キャベツなどのアブラナ科の花や実が、ナタネ・ナノハナである。
みな、この時期になると一斉に花芽をつける。
そして、雨が降り続く。
スーパーで売っている食用の花の蕾がアブラナ。
正式には西洋アブラナ。
花を食べるので花菜(はなな)とよび、葉を食べると菜花(なばな)という。
昔は種から油を採って行燈の燃料にしていたので油菜・菜種という名もある。
♪菜の花畑に入日薄れ~♪の「菜の花畑」は「西洋油菜畑」ということになる
昔はあちこちに菜の花畑があったが、明治時時代になって石油のランプが登場すると姿を消した。
菜種梅雨には、「催花雨(さいかう)」という別名がある。
花が咲くのを催す(もよおす=かきたてる)雨。
菜種梅雨が終われば、川沿いの土手が花におおわれる。
野生化したナタネ、ナノハナ、アブラナ、ハナナ、ナバナが一面に咲き誇る。
もうすぐ春ですね。
重いコート脱いで、ちょっと気取ってみるとするか。
※喜斎立祥『東京小松川菜の花』. 国立国会図書館デジタルコレクション