goo blog サービス終了のお知らせ 

河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

旅21 / 老いの小文 六の④

2025年04月03日 | 旅日記

※①~③のつづきです。旅17から読んでください。

備前の旅も四日目、大阪に帰る日だ。
昼前に出ようと友人が言うので、それまで周匝の町をぶらぶらしてくるとウォーキングに出た。
山沿いに町まで向かう。
途中、道の真ん中に大きな樹がある。
石碑があって、髭が生えたような文字から「南無妙法蓮華経」だと読み取れる。
なにを祀っているのだろう?

近くで80歳くらいのお爺さんが竹ほうきで落ち葉を掃除している。
尋ねてみようと「おはようございます」と声をかける。
「でぇれぇ、さみーに、どけーいなれる?」
なんとなく解ったので、「町まで散歩です」と応える。
「ほーけ。わちゃー、歳とって、なーんもできん厄っけー者じゃーと、みながそげーなことゆーて、えれーいらまかしょる。せーじゃけー、厄っけー者じゃー言われんよーに、ちーたー掃除ぐれえーしよお思ーちゃって、こがーなこといるんじゃ。まーぼつぼつすましていのちゃ思ーてよ」
句読点無しにしゃべられると分からない。
適当に「たいへんですね」と言って、「この樹は、なぜ道の真ん中にあるのですか?」と尋ねた。
「◎△$♪83×¥●&%ね○!※ん□◇○▼※す△☆▲※ん◎★●で#△▲☆る=¥!けと゛>♂×よ&◎♯く£◎し△$♪×¥●ら&%#ん?!」
「そうなんですか」と適当にあいづちうって、礼を言って立ち去った。
後で友人に訊いたら、処刑場があった場所だという。


国道を越えると、周匝の古い街並みに出た。
「すさい」と読む超難読地名。
寛永9年(1632)に藩主池田光政が、家老の片桐長明に領地を与えて陣屋を構えさせた。
支配はすべて任され、周匝藩ともよばれたほどの、ちょっとした城下町になった。
なんとも古めかしい神社があって、その鳥居を出ると、ボーリングでもしたくなるような真っすぐな道が南に2キロほどつづいている。
帰って調べると、北へ50mほど行けば陣屋跡と八幡宮があるのだが、真っすぐな道にひかれて南へ向かった。
かつては、道沿いに武家屋敷や商家が立ち並んでいたのだろうが、今は新しい家が多く、街道という雰囲気はない。
300mほど歩いて、横に逸れ、国道に出て、もと来た道で友人宅に戻った。
7938歩、本日のウォーキングノルマを達成した。

11時前に友人宅を出発。
「つるや」という弁当屋で筍御飯弁当を買って、①で書いた有年の源左衛門さんの村に向かう。
車窓から見える川岸に植えられたソメイヨシノは、ちらほらと咲きだしている。
河原に生えた柳の鮮やかな緑に堪能しながら備前を離れ、播磨へと向かう。
有年の源左衛門さんの竪穴住居には昼過ぎに着いた。
岡山にいる間、何度もテレビで視た「 おかやま桃子」という白桃プリンのCМが感動するほど素晴らしかった。
CМが素晴らしいのだから、さぞかしプリンも美味しいにちがいないと二つ買った。
その一つを、新築の家から出て来た源左衛門さんに土産だと手渡す。
「こらーこら、けっこうなものを。おおきに、おおきに。さぶうものう暑うものうて、お天気でよかったですなぁ。ゆっくりと休んでいってくれてや」
来たときと同じ優しい言葉に触れて、来たときとは、うってかわった満開の桜の下に筵(むしろ)を敷いてもらって弁当を食べる。
来たときと同じようにコーヒーを淹れてもらい、古代と現代が入り混じったコーヒーを飲む。
桜の花とコントラストを成している青い空をぼぉーっと眺めて、この四日間をふりかえる。
「~のはずなのに」と、今までにさんざん期待を裏切られてきた「ハズの国 岡山」だったが、今回に限っては「~はず」は無かった。
なんとも有難いことよと思わず手を合わせた。

高速道路も渋滞することなく、実にスムーズに我が家に到着した。
友と別れて家に入る。
ちょうど孫が来ていたので、我が家の土産用に買った「おかやま桃子」をあげる。
嬉しそうに蓋をめくり、口に入れる。
そして、「いらんわ!」とテーブルの上に置いた。
美味しいはずなのに……、子どもの口には合わないのだろうか?
それより、畑が気になるので、着替えもせずに畑に向かう。
暑さで枯れないようにビニールハウスのビニールをめくって換気したまま大阪をたった。
それでも、暑さにやられているかもしれないかと心配だったのだ。
ハウスの戸を開けて中に入る。
みな青々としている……。
しかし……やられた!

エンドウがボキボキに折られ、豆を食べたあとの莢(さや)があちこちに散らばっている。
換気した隙間が広すぎて、カラスが進入したのだ……。
一足早く、美味しい豆ご飯を食べるはずだったのに……。


コメント (1)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 旅20 / 老いの小文 六の③ | トップ | 畑200 / 種まき »

1 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
お疲れさん (岡山友男)
2025-04-06 18:58:09
足、やっぱり縫われました!麻酔の注射の痛いこと!半端ない。しかも、麻酔が効いていない!なんかい、痛い目合わすねん!今回行ってみたら、いろんなところに血の跡がありました!フキふき
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。

旅日記」カテゴリの最新記事