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河内国喜志村覚え書き帖

大坂の東南、南河内は富田林市喜志村の歴史と文化の紹介です。
加えて、日々の思いをブログに移入しています。

畑196 / 健気

2025年03月23日 | 菜園日誌

今日(21日)は全国的に暖かく、大阪も17℃の暖かさ。
だが、朝一で百姓仲間からlineメール、「やられた! 白菜400株! 全滅!」
犯人はヒヨドリ。
数百匹の集団で舞い降りて来て芯を喰ってしまうので商品にはならない。
カラスに次ぐ害鳥
我が畑でも、キャベツをボコボコにやられたことがある。
なんとも切ないが、朝の7時半から子ども見守り隊があるので、いつもの交差点へ。
「おはよう!」
「おはようございます!」
不安げだった1年生も、元気に挨拶できるようになった。

家に帰って朝食をとって畑へ。
ビニールハウスの中で冬越させていたホテイアオイが、なんとか緑を保って冬を越してくれ。
随分小さいが、冬の間、じっと寒さに耐えてくれたのだ。
キャベツの横には、こぼれ種のネモフィラが一株。
キャベツの大きな葉に押されながらも、負けるものかと花茎をもたげて次々と花を咲かせている。
弱音を吐かずに耐え忍んできたのだ。

ふとしたとき、困難を乗り越えて生きている存在に気づく。
逆境にあっても、弱音を吐かずに生きている存在。
健気(けなげ)な存在。
普段は気がつかないが、人間が自分の弱さというものを感じたとき、健気なものと共感し合うのかもしれない。
「そんなに気を落とすなよ。俺だって辛いこと乗り越えてきたのだから、大丈夫だよ」と勇気づけられる。
そして、健気に生きていこうと決心する。
人もまた健気な存在なのだ。

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畑195 / 百姓はつらいよ

2025年03月22日 | 菜園日誌

露地植えのエンドウが、ようやく伸びだした。
とはいえ、まだまだ30㎝くらいしかない。
ビニールハウスの中で栽培しているエンドウは、すでに実が付きだした。
二月から花が咲いたのだが、寒さのせいか、花が終わって実になりかけの頃にポロポロと落ちてしまう。
三月になって、ようやく実が大きくなり出した。
1・2・3・4・5……莢の数を数えて……50で辛んどくなってやめた。
実エンドウは、実が大きくなって、莢(さや)に少ししわができるまで、開花から30日ほどかかる。
今の様子だと、あと二週間もすれば収穫できるだろう。
露地植えだと五月の連休頃が収穫期だから、一ヶ月早く春が味わえる。
それに、去年はカラスにほとんど食べられてしまったが、ハウスの中は安全だ。
二年ぶりの豆ごはんを一足早く食べることができる。

自家栽培しているからなのか、スーパーのエンドウは高くて手が出せない。
なんであんなに高価なのかと、いつも思いながら横目で通り過ぎる。
だが、よくよく考えれば、栽培に半年もかかるし、一つ一つ手で摘み、一つ一つの萼(がく)を取る。
労力もさることながら、作業も実に邪魔くさい。
安くしたいが安くできない。
百姓もつらいよ。
それに、自然相手で天候不順による収量減というリスクを背負っている。
昨今の米不足や野菜の高騰で値段を見て驚く。
キャベツ400円、大根350円、エンドウ500円……。
なんとか安くと思うのだが、安くできない。
百姓はつらい。

実エンドウはまだまだだが、スナップエンドウは開花後20日頃なので、そろそろ収穫できる。
明日にでも採って酒のアテにするか……。
春キャベツもずいぶん大きくなって、あと15日といったところ。
全部で12株……。
去年は、この時期に800円という破格の値がついた。
もしも……収穫頃に一玉1000円だったら……12000円……売ってしまうか?
実エンドウも300g(約20莢)が400円なら……売ってしまおう。
スナップエンドウが100g(約10莢)300円なら……売ってしまえ!
百姓はつらいのだ!

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畑194 / 彼岸

2025年03月20日 | 菜園日誌

彼岸に入ったというのに昨日は雪。
ご先祖様も、さぞかし驚いておられるにちがいない。
 夜を寒み 朝戸を開き出で見れば 庭もはだらに み雪降りたり (万葉集:作者未詳)         
「彼岸過ぎても七はだれ」という諺(ことわざ)がある。
「はだれ」は「はだれ雪(まばだに、薄く積もった雪)」のこと。
彼岸が過ぎても七回は、はだれ雪が降る。
北海道や東北の春の遅い地方の諺だろう。

うってかわって今日は雲一つとてない彼岸の中日。
暑さ寒さも彼岸まで。
春の早い地方では、こっちの諺がぴったりだ。
ビニールハウスの中の椅子を外に出して、のんびりと日向ぼっこ。
この世かあの世か、此岸(しがん)か彼岸か分からない、ぼーっと時を過ごせる気持ちよさ。
あー、なまんだぶ、なまんだぶ……。
真東から昇ったお天道様が、真上を通り過ぎようとしている。
さあ、そろそろ帰るか……。
すると、ぼーっとしている爺様は死んでいるとでも思ったのだろうか。
大胆にも、イタチが一匹、目の前を通って行く。
イタチは、土の中の虫を食べるために土をほじくったりする害獣。
「この畜生め!」と、近くにあった鎌を投げつけようとした。
そのとき、畔を通りかかった隣の畑の人が「お彼岸やがな! 殺生はやめとき!」と言う。
イタチを見逃してやり、ふと思った。
お彼岸とはイタチのことだったのか。

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畑193 / 花は咲く

2025年03月11日 | 菜園日誌

3月になったのに雨やら寒波やらで再度の冬眠状態。
今日あたりから春めいてくるという天気予報。
そろそろ本格的に畑活に入ろうと6時半に外に出たが寒い。
外で飼ってるメダカの水槽をのぞくと薄氷がはっている。
バイクのサドルには霜が降りている。
大きな御天道様が昇ってきたのに温度計はまだ3度。
まだまだ冬か。
ならばもう一度穴暗に入っているとしよう。

のんびりするつもりでいたのに9時を過ぎたころから気温がぐんぐん上がってきた。
氷の解けた水槽のメダカが日向ぼっこに水面へ上がってきている。
慌てて畑へ行ってビニールハウスの中の温度計を見ると35度。
野菜だって熱中症になる。
ビニールをめくり上げて涼しい空気を入れてやる。
冬だか春だか夏だか分からなくなる。

しばらくして百姓仲間のLINEグループに「ジャガイモの芽が出た!!」のメール。
もう一人の仲間からも「わしとこも出た!!!」のおっさんメール。
やっぱり春か。
やっぱり畑へいざ行かん。
いやいや待て待て。
この時期は冬と春とのせめぎあい。
羨ましいのは解るけども焦るコジキは貰いが少ない。
ならばというので何時でも畑に行くことができるように家の周りの片付け。
プランターや植木鉢の土の入れ替え。
仕終えて元の場所に配置したが土だけでは何とも殺風景。
早く花を咲かせて春にしよう!
我が相方を誘って近くの道の駅へ花を買いに行く。
買って帰ってすぐに定植。
花が咲いた玄関先は少しは賑やかになって我が家の春の準備は完了。
 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ花を買ひ来て妻としたしむか(石川啄木)
花は人を慰めて優しくさせる。
まだまだ冬。
本当の春がくれば本当の花は花は咲く

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畑192 / はーやくこい

2025年03月05日 | 菜園日誌

昼過ぎに歩数計を見ると58歩。
昨日に続いて、今日も朝から雨。
赤い鼻緒のじょじょ履いて、おんも(=表)に出たいのだが、ままならない。

3時ころから、ようやく雨があがり、水筒に熱いコーヒー入れて畑へ。
殊更にするべきことはないから、ビニールハウスの中で、とりあえずのコーヒーをすする。
そして、おもむろにハウスの中の小さな畑の様子を確認する。
ナス・トマト・キャベツ・ブロツコリー。
まだまだ双葉だが、本葉が見えてくれば春になる。

春を迎える畑には、楽しみがたくさんある。
こないだまで、たよりげなかったレンゲの葉が、いつのまにやら青々としてきた。
こいつが、あの赤い花をさかせるのか。
露地だと気づかないが、ハウスの中だと、植物の成長の仕方がよく解る。

ほっほぉう……! キャベツはこんなふうにして玉をつくっていくのか。
花芽を包み込むように結球している。
外葉の白い葉脈は、人間の血管なんだ。

ダイコンは、なぜもこんなに根を太くするのだろう?
しかし、太腿を露わにして、なんとも色っぽい。

なーるほど……。
春になると、キャベツの玉はパカッと割れて葉を広げ、花を咲かせる。
ダイコンは、外葉が垂れて、中心部の葉が広がり、根の養分を使って花を咲かせる。
レンゲは、冬の間に、こっそりと葉を広げて大きくなって、花を咲かせるのだ。
歩きはじめた みいちゃんのように、みんな春を待っているのだ!

※清原ひとし 著『童謡画集 : やさしいおうた』,ゆりかご社,昭和27. 国立国会図書館デジタルコレクション 

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