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酒と音楽とPC

血は酒で出来ている(某声優談)。他の趣味はPC組み立てるのと音楽聴くのしかない。

Itzhak Perlman The Complete Warner Recordins 1972-1980他

2018-06-20 13:53:43 | 音楽

今回手に入れたものは

・Itzhak Perlman The Complete Warnaer Recordings 1972 - 1980 B-C

・R. Strauss 英雄の生涯、町人貴族組曲 ラトル / ベルリン・フィル A

・R. Strauss 薔薇の騎士 カラヤン / フィルハーモニア管 A

いつものように録音評をS-Cでつけてある。パールマンは決して悪い録音ではないが、アナログ全盛期の録音としては高く評価はできない。リマスター次第でもっと良くすることは可能なはずだ。本来EMIのデジタル初期よりはマシな録音のはず。ヴァイオリンだけ聴いているとフェラスの古い録音と大差なく感じる。もちろん、オーケストラ部分はフェラスだと混濁するのに混濁しないという違いはあるが、カプソンやテツラフと比べると不満だらけのレベルである。CD音源との比較になるが、チョン・キョンファのデッカ・デジタル初期録音より悪いといいったところか。ラトルはまあ、ワーナーのハイレゾとして標準的なレベル。意外にも良かったのはカラヤンの古い薔薇の騎士。お値段も安いとあっていい買い物だろう。初期ステレオと思えば上出来なレベル。

さて、内容に触れると、ラトルの英雄の生涯はラトルのベルリン時代としてももう古い録音と言って良い。この頃がラトルの一番さえなかった時代ではないだろうか。ベルリン・フィルはこの曲に向いたオーケストラだと思うが、パッとしない。R. シュトラウスの管弦楽曲の多くはよく言われるように飲み屋でオヤジのホラ混じりの自慢話を拝聴するようなものなので大げさであればあるほどいい。こんな曲を真面目にやられても白けてしまう。真面目にやればやるほど派手になってしまうショルティのような特別な人はともかく、ドホナーニやセル、ブロムシュテットの演奏はクソ真面目すぎる。アシュケナージはスケールが小さいとか、大方の演奏が不満だらけになってしまう。予想通りラトルもクソ真面目派に属する。こんな曲の細部を掘り下げたって何も出てこない。マゼールのようにホラ混じりの大芝居(バイエルン放送響)、譜面遵守派でも、「すべて書いてあるとおりにやった。この曲に下手な抑制など必要ない。」という感じの剛直なライナーが素晴らしい。マゼールのクリーヴランド盤もこの系譜だろう。ベームもR. シュトラウスでは私が大嫌いなコチコチに固くて重厚な音を生かしていい演奏になっている。ただ、録音が古いのでベーム盤の固い音を聴くのは余計につらい。英雄の生涯だけは比較的新しいウィーン・フィルとのものであるが、やはりベルリン・フィルとの録音ほどではないが、固いという印象を受ける。カラヤンの「金ピカ」もこの曲に合っているのだから良いではないか。評価の高いケンペやプレヴィンは地味すぎる。これらの演奏はC. クラウス、E. クライバーから継承されてきたウィーン世紀末の退廃の香りを残した洒落た演奏、なのかもしれないが、ウィーン世紀末を意識できる聴き手が現在どれぐらいいるのだろうか。「ソ連の演奏」が次第に忘れられていきつつあるように「ウィーン世紀末」もその時代を生きた人々の死と共に消え失せてしまうものなのではないか。そういえば、「ソ連の演奏」と切っても切れない関係にあるロジェストヴェンスキーがなくなったのだという。合掌。ロジェストヴェンスキーとコンドラシンのショスタコーヴィチ交響曲全集はソ連の演奏の金字塔である。ロジェストヴェンスキーにはショスタコーヴィチのバレエ音楽と劇付随音楽をもっと録音してもらいたかった。

パールマンの録音は26時間分に達する。それで8000円程度なのだからコスパ的に文句ない。ただし、例によってこれは「全集」とは程遠い。パールマンは当時のアメリカで最高クラスの人気者だっただけにセミ・クラシック、ジャズ、民謡の編曲の類を大量に録音しており、それがほとんど欠落している。80年まで、との注釈があるが、それでも全然足りていない。コンプリートを目指すのであればCDの全集(77枚)の再発を待つしかない。81年以降のデジタル時代の録音もそのうちハイレゾのボックスセットで出てくるのであろうか?

まあ、それを除いても凄まじい数の録音である。これが僅か10年足らずで録音されている。他に並行してRCA、グラモフォンとの仕事もあったはずだから録音だけでもいかに多忙だったことだろう。当時はまさにスタジオ録音の時代であり、パールマンの時代だったのだ。少年時代にエド・サリヴァン・ショーで人気を博したのが象徴的なように肉体的ハンディを背負っていながら明朗、闊達、楽天的でどこまでも明るい音楽。ただ、そう書くと褒めているように聞こえるが、日本語には「おめでたい」という揶揄を込めたあまりにもパールマンの音楽に適切な言葉がある。一方、ドアーズのモリソンはサリヴァン・ショーで反社会的歌詞をそのまま歌ったことを咎められ、「サリヴァン・ショーは卒業した」と捨て台詞を残して二度と出演することはなかった。同時代の人気者でもパールマンとモリソンはネガとポジのような関係だ。ドアーズのライヴ録音が最近日の目を見ているが、スタジオ録音と歌詞が全く違うのだという。もちろん、スタジオでは婉曲に表現した部分が直接的でエグい歌詞に変わっているのだそうだ。

さて、パールマンに話を戻すと、どれを聴いても大抵はいつものパールマンである。その変わらなさぶりにある意味安心してしまう。カラヤンやビートルズのように自分の中にあまりにも当たり前に存在しているこれらの演奏にはなかなか手が出なかった。自分の中に所与のポジションを既に得ているものをあえて買うのには勇気がいる。ただ、ヴァイオリン曲のスタンダードとして大きなボックスを持っておくべきだと思ったし、その役割にふさわしいのはパールマンだという気がして買うことを決断した。独自の世界を持つハイフェッツはその役割に似つかわしくない。ミルシテインやシェリング、オイストラフならいいのかもしれないが、古すぎるし、彼らには大きなボックスセットがあっただろうか?

しかし、演奏家に向いてない曲までやらせるというのはどうなのであろう。退廃、苦悩、憂鬱と言った要素はパールマンや同輩のズカーマンの資質にはあまりないのである。向き、不向きにかかわらずパールマンはヴァイオリンの人気曲をほとんどを録音させられているのだ。ハイフェッツの全集に現在ではあまり演奏されなくなった曲が大量にはいっているのは予想できるが、パールマンのボックスもそうだとは予想していなかった。特に編曲モノは忘れられかけていてタグ打ちが結構たいへんだった。クラシックに流行り廃りはないという人がいるが、明らかに間違いである。びっくりしたのはヴァイオリン二重奏曲の多さ。ヴァイオリニストのファンなら演奏会でお馴染みの曲が大半なのかも知れないが、録音されるのは稀のはずだ。作曲者もバルトーク、プロコフィエフ、ショスタコーヴィチ、ブリテンといった大家も多く、堪能させてもらった。同じような録音をカプソンやテツラフがやってくれないだろうか。F. P. ツィマーマンやレーピンでも良い。あまり売れないだろうから人気者のパールマン(とズカーマン)だからできた、という事も言えるのだろうが。所謂名曲に結構欠落があるが、その多くは80年以降に満を持して録音されている。なのでベートーヴェン、サン=サーンスの3番、プロコフィエフ、ストラヴィンスキー、ショスタコーヴィチの協奏曲あたりが聴きたければ80年代のボックスセットが出るのを待つしかない。

これだけ沢山のタグを打つとついでに昔書いたタグが検索されて曲を思い出すという効果がある。Roonなんかを導入している人にはお馴染みであろうが、ついでに引っかかる検索で忘れていた録音を思い出すのだ。これはCDであれば絶対にあり得ないことであり、ネットワークやPCオーディオの醍醐味の一つではないだろうか。

このボックスセットでは聴いた範囲ではショーソンのポエムが素敵だった。珍しい組み合わせでもあるマルティノンのサポートが良いせいもあるのだろう。この演奏はいつもの楽天性一点張りではなく、詩情にあふれている。もちろん、パガニーニのカプリース、ヴィエニャフスキの協奏曲における技巧も見事。ブルッフの2番(素晴らしい美音!)、スコットランド幻想曲、ツィゴイネルワイゼン、ツィガーヌ、カルメン幻想曲のような曲はパールマン向き。ただ、パールマンの演奏はどれを聴いてもやはりほとんど変わらないのだ。チャイコフスキーもバルトークも同じように聴こえてしまう。技巧的には文句ないし、完成度も高いよく出来た録音、なのだろうが、この次に何があるといったワクワク感はほとんどない。テツラフやハイフェッツ、チョン・キョンファ、クレーメルとの決定的な違いはそこにあるのだろう。テツラフやクレーメルの再録音はどこがどう変わっているか、期待して聴くことになる。しかし、パールマンやズカーマン、ヨーヨー・マ、エマニュエル・アックスの再録音になにか変わるような要素があるだろうか?これらの人たちはとても上手いのに録音が売れなくなっていったのは再録音をしても「どうせ何も変わらないだろう」という予想がついてしまうからではないだろうか。

*書いた後に気がついたことであるが、パールマンの人気の凋落は非常に急速に起こったことのようだ。1990年代の書籍を見ても既にパールマンについて書いている人が稀になっているのだ。辛うじて見つけたのは渡辺和彦氏の書籍ぐらいだろうか。音友の名盤選などにもほとんど入っていない。肉体的ハンディと持病を持つ人なので体調の悪化もあって実演、録音の機会も減っていたというのもあるのであろうが、それにしても早い。この時点でもより古い世代であるハイフェッツ、オイストラフ、フランチェスカッティ、シェリング、ミルステインの評価はそれほど下がっていないのだ。名盤選に入りやすい所謂名曲にあまり向いていない演奏家だったとも言えるのだが、あまり精神性とか哲学だとかそういったものが問われないエンターティメント作品や技巧を優先した曲ですらパールマンが全く評価されないのには違和感を覚える。同門で似たような音楽性を持つズカーマンも以前ほど顧みられなくなっているが、彼は1990年代以降もベートーヴェンのソナタ、バルトーク、ベルクの協奏曲等の一般的に精神性を問われる、とされる作品で逆説的に持ち味の音色の明るさや楽天性を高く評価されている。パールマンは実は不遇なのかも知れない。そういえば、国籍、音楽性、容姿等、共通点が多いと感じるジェイムズ・レヴァインが最近怪しくなってきている。デュトワ同様、妙な問題を起こしてしまったこともあるとはいえ、その変わらなさから人気が落ちてきているのは同じ傾向ではないだろうか。

さて、最後に薔薇の騎士について。これも私にとってはもう古い録音で今更買う必要はない、というジャンルに分類されていた。カラヤンも薔薇の騎士もそれほど興味があるわけでもなく、ただ、安いということでR.シュトラウスのオペラを久しぶりに楽しむか、という感じだった。

ところがどっこい、全盛期カラヤンの魅力は半端ではなかった。フィルハーモニア管がウィーン・フィルのように鳴っているのである。最初はフィルハーモニアであることを忘れていてオケをウィーン・フィルと思い込んだほどだ(カラヤン新盤と混同したのであろう)。フィルハーモニア管という持ち味が全く異なるオーケストラからウィーンの音色を引き出した若き日のカラヤンの才能には脱帽するしかない。そういえば、フルトヴェングラーも近い時期にこのオーケストラを使ってトリスタンを録音しているのであって、新旧二人の偉大な指揮者のライバル意識とそれを利用して二人を上手く操るレッグの姿が思い浮かぶ。結局レッグは権謀術数にも長けていたカラヤンに寝首をかかれるのであるが・・・。E. クライバー晩年のデッカ録音も残っていて、そちらは本物のウィーン・フィルであり、より正統な演奏なのだろうが、この録音を確実に凌駕していると言えるかどうか。そしてカラヤン新盤はウィーン・フィルを得るも若き日の覇気は失われていたように思う。オーケストラも豊穣の音色を失いつつある時期であった(82年)。

本来、シュトラウスの音楽は上手すぎる上に芯が醒めていて音楽なんてこんなものよと言われている気分になる。プロコフィエフ、ブリテンと共通する匂いである。この嫌味さが最も出ているのがプロコフィエフのキージェ中尉であって、私はこの曲が嫌いで仕方がない。それでもプロコフィエフにはヴァイオリン協奏曲、ロメオとジュリエット、スキタイ組曲というかけがえのない音楽がある。ブリテンにはピーター・グライムズと戦争レクイエムがある。そうした嫌味さを払拭する傑作である。R. シュトラウスには何があるだろうか。やはりオペラということになるのだろうが、サロメは露骨なウケ狙いが鼻につき、エレクトラは真摯な音楽ではあっても原典のギリシア悲劇が暗すぎて常用する気になれない。やはり肩の力が抜けた薔薇の騎士とアリアドネなのだろうが、こうなるとまた前述の嫌味さが鼻についてくるのである。そんな嫌味さをカラヤンが醸し出す豊穣の音色が中和してくれる。それが永遠の名盤である所以なのだろう。

晩年のメタモルフォーゼンや4つの最後の歌は第二次世界大戦の敗北で失われるであろうドイツ伝統文化への挽歌であって素晴らしい。だが、シュトラウスはドイツ文化の終焉は悼んだが、ナチスの罪や犠牲者については全く無頓着であったらしい。そう考えるとこの人は最後まで変わらなかった人なのかも知れない。

 

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ネルソンスのショスタコーヴィチ交響曲集他

2018-05-22 14:28:23 | 音楽

本当に安くする気があるのか疑問を持っていたが、ワーナーの2枚分で1枚の値段だったアルバムが軒並み値上げ。ラトルのカルメン、フィデリオ、グレの歌あたりが3500円台に。これならちっとも美味しくない。やっぱり契約条件の問題か、単純なミスだったのだろう。BR-KlassiksやRCO、Signumにも似たようなケースがあったので今後値上げがないか心配である。

これでワーナーも安くなくなり、あまりにも高かったソニー系列が若干値下げしたので再び値段が横並びに近くなった。それでも若干ワーナーがメジャーの中では安めで旧譜のボックスセットは圧倒的に安い。ボックスセットはハイレゾの恩恵があるかどうか疑問な古い録音であることを考えると、ハイレゾは安くしないという方針を国内メジャーは固めたのだろう。

少々値上げされたとはいえ、2xHDレーベルはDSDであることを考えるとまだ安価である(2.8MHzで1600円ほど、5.6MHzで1811円)。オリジナルのNaxosやOndineより安い良心価格とは言える。ただ、最近クラシックでは全くカタログが増えていない。本家を見ても増えていないので今後2xHDのアルバムが増えるかどう疑問がある。NaxosやOndine、Chandosは着々とカタログを増やしている。Signumは本家は新譜を出しているのだが、日本ではドノホーのショスタコーヴィチ、アシュケナージのラフマニノフ以降新譜が出ていない。LSOレーベルがが日本ではカタログから消えたが、Signumもそうなるのではないかと心配だ。2xHDはジャズの売上が良いので消える心配はないが、クラシック部門が切り捨てられそうで怖い。

まだ世に出ていないライヴ盤を発掘して高音質化して売るという2xHDのジャズ部門のやり方は新しいハイレゾの商売方法を開拓したと言ってよいのだろう。ただ、音自体は元が元だけにこれをDSD化したからハイレゾと言われてもちょっと困る代物だ。もちろん、良心的に高音質化が図られているが、古いライヴ録音では限度がある。ジャズ部門では完全なオリジナルの新譜(Holly Cole等)も出しており、相当儲かっている様子ではある。

セールで安くなっているのでネルソンスのショスタコーヴィチを買ったが、その他に何枚か買おうと思ったら本当に欲しいものがない(苦笑)。値上げされてるものは買いたくないという心理も働いて初めての1枚オンリー購入。しかし、いつもなら数十枚の候補の中から絞り込むというのに・・・。本当に値上げというものは購入意欲を削ぐ。僅かであっても安かった時代のイメージはなかなか抜けないのである。

ショスタコーヴィチ 交響曲第9,5,8番、ハムレット組曲他 A. ネルソンス / ボストン響 B

音質はイマイチでした。グラモフォンなので解像度重視じゃないだろうと想定はしていましたが。ただ、ボストン響のサウンド自体がシャープとは程遠い代物なのでよく感じないのかも知れません。個人的にボストン響の演奏で心から感動したことがありません。以前は北米のオケで最もドイツ的なオーケストラと言われていましたが、小澤征爾音楽監督時代にその伝統も途切れたと思います。おそらくこれが原因であちらでは小澤時代は暗黒時代のような評価がされることが多いようです。

しかし、予想はしていましたがゆる~いショスタコーヴィチです。まあ、今のボストンではこれしかやりようがないのかも知れません。ネルソンスとしては木管を目立たせ綺麗に繊細に鳴らさせて差別化を図っているようですが、ショスタコーヴィチでそれをメインにやられても、というところでしょうか。おとなしい金管、仄暗い弦と完全に箱庭に入ったショスタコーヴィチ。Naxosのペトレンコもそれほどいいオケを使っているわけではないわけですから、迫力が皆無なのは指揮者の責任もないとはいえないのでしょう。小澤時代以降ボストンで一番評判が良かった指揮者は確かハイティンクですが、ハイティンクならこのオケから上手くトロみを引き出すことができそうです。しかし、ハイティンクもショスタコーヴィチでは甘いだけの演奏はしないので今のボストンでショスタコーヴィチをやるのは厳しそうです。特に8番はムラヴィンスキー / レニングラードとショルティ / シカゴという極め付きの演奏があるのでそれ以上の演奏を望むのはこのオケと指揮者でなくてもなかなか難しいのかも知れません。

グラモフォンの企画とはいえ、ネルソンスのカラーがもっと出るまでショスタコーヴィチを録音するのは得策ではなかったような気がします。小澤征爾 / ボストンのショスタコーヴィチも良い印象がなかったです。小澤征爾の水彩画のような繊細で薄いサウンドに特化してしまったオーケストラですから他の指揮者は辛いでしょう。ましてショスタコーヴィチはね。マーラーを録音しても小澤盤に近いサウンドになってしまいそうですが。しかし、ネルソンスが就任してもう3年経ってるのにこれかぁ。ネルソンスは他のオケでは結構いいのにね。そういえば、ネルソンスはゲヴァントハウスにも就任したんだっけ。両方掛け持ちできるのかなぁ。前任者のシャイー自体がスカラ座と掛け持ちできないからゲヴァントハウスを切り捨てている(突然の病気理由キャンセル後離縁)わけで・・・。こちらは円満退社っぽいけどヤンソンスも結局コンセルトヘボウを切り捨てたわけでライヴ録音の機会が増える今後は負担も大きくて大管弦楽団の掛け持ちは厳しそう。聴衆としても同じ指揮者の同じ曲ばかり出る傾向になってちょっと困惑気味。ヤンソンスのRCOとBR-Klassiksは曲が被りすぎてた。録音時期も近いし。

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長くなったのでクラシックはこちらで

2018-05-11 22:24:15 | 音楽

ラトルばかり買っているが、ラトルが好きなのかはよくわからん(笑)。ラトルが録音点数が多いがゆえに安く売られる機会が多いということもあるのだろう。今回買ってみた春の祭典は録音が今一つに聴こえた。ラトルのワーナー・ハイレゾ録音は概ね音が良いのだが。解釈もなんか若い頃のほうがシャープだったような気がしなくもない。以前買ったハイドン交響曲集はラトルの解釈は軽快で良いのだが、ベルリン・フィルの分厚くて重たいサウンドがハイドンの楽しさを激減させていた(笑)。正直、ベルリン・フィルでモーツァルトやハイドンといった古典派交響曲や序曲を聴きたいとは思わない。バレンボイムのモーツァルト弾き振りもベルリン・フィルの重たーいサウンドが気になってピアノを楽しめなかったのを覚えている。

ラトルは海の新録の方もあまり良い印象がない。牧神だけは良かったように思うが。またしても遊戯が入っていて舌打ち。ブーレーズが好んで録音したからみんな録音するようになったのかはわからないが、ドビュッシーの管弦楽の曲の中でも魅力に欠ける曲だと思うのだが。退屈でしかも長い。これを入れるぐらいなら聖セバスチャンの抜粋や春、幻想曲でも入れてくれたほうが嬉しい。

クリスタ・ルードヴィヒのワーナー録音集はクレンペラーとの大地の歌がまるまる入っているというだけでも買い。他にマーラーの管弦楽付きの歌曲、大家の有名歌曲はかなりはいっていて2枚分にも満たないお値段だ。ただし、録音は50年代-60年代初頭のものなのであまり期待してはいけない、というか、はっきり良くない。やはりリマスターと言っても限度があるのだろう。目玉の大地の歌は比較的良好なのが救い。ただし、CDで持っている人がハイレゾ化目当てで買うほどの音質ではないと思う。それとまたせこい話だが、CDの全集と比較すると欠落が見られるのが残念。コンプリートしたければCDを買ってほしいというのがワーナーの方針なのだろう。本音を言えば他所より安くしているのだから二重に買ってほしいのだろうか。

BR-Klassiksのチャイコフスキーのスペードの女王は以前も書いたが3時間ほどで2500円と非常にお買い得。指揮も現在一番人気がある指揮者であろうM. ヤンソンスとなれば買って損はなかろう。私はこの曲をよく知らないので楽譜をダウンロードして予習しようと思ったら・・・ショスタコ同様キリル文字の嵐で絶望(笑)。ロシア語がチンプンカンプンだから対訳見ててもどこがどこやらよくわからないのだった。チャイコフスキーだから旋律美は見事だが、話がプーシキンとあって生真面目な話にならざるを得ず・・・。オペラが悲劇にしろ、喜劇にしろ下世話な話に満ちているのはちゃんと理由があるのだな、と納得した次第。ヤンソンスは名門ロイヤル・コンセルトヘボウを切り捨ててバイエルンに骨を埋めることにしたが、それもあってか、演奏時現地はかなり盛り上がっていたようだ。私は語学力の低さから乗れなかったが(笑)。

デヴィッド・アーロン・カーペンターは82年生まれという新進のヴィオラ奏者。Ondineからワーナーに引き抜かれたばかりらしい。来日があったようでそのときに全アルバムが多少安売りされたようだが、私はその時このMohterlandの内容をよく見ておらず、買いそこねてしまった。買った時は四季を題材にしたアルバムのみが安売りされていた(もう終了した)。四季のアルバムもヴィヴァルディとピアソラ、現代作家の四季にまつわる作品を対比させるという面白い企画で悪くない、と思って買おうとしたら下に見えていたMotherlandが目についてしまった。変なお題をつけているから最初は気づかなかったが、バルトークとウォルトンのヴィオラ協奏曲、ドヴォルザークのチェロ協奏曲のヴィオラ編曲版に現代音楽の作家であるアレクセイ・ショーの作品を交えるというとても魅力的なてんこ盛り企画でその上指揮も大野和士とユロフスキと魅力たっぷり(ショー作品はD. パリーで話題的に少し落ちる)。2枚分で1枚の値段だから安売りでなくてもコスパは良い、と買ってしまった。録音も良好で非常に楽しめるアルバムだった。ドヴォルザークは流石にチェロのほうが良いと感じたが、カーペンターのヴィオラは美音だ。バルトークはオーケストラはスケッチのみの状態から弟子が補筆した作品で取り上げないヴィオラ弾きが多い中、師匠のズッカーマンの録音もあるせいか、果敢に取り組んでいる。少なくともヴィオラ部分は真筆なのだからもうちょっといろいろな演奏を聴いてみたい曲だ。ウォルトンは言わずと知れた現代の傑作。例によって力強い作風でカーペンターの美音も見事。ショーは期待してなかったが、黙ってれば古典派、初期ロマン派といっても通用しそうな聴きやすい曲揃いでいい買い物をしたと思う。

シューベルトとドビュッシーの室内楽はカプソン兄弟目当て。ドビュッシーはカプソン以外も新進のソリストクラスを集めたアンサンブルだ。カプソン弟はイケメンとあって女性人気が高いようだが、正直、若手チェリストではJ. ウォルトンの方が好みだ。ドビッシーはカプソン兄が意外に目立たず。他の人も一流揃いだから特別扱いされなかったのか(笑)。カプソンのファンとしてはちょっと肩透かし。まあ、現代のアンサンブルですから昔のように一人が目立ってはいけないのだろう。しかし、買った後でOndineレーベルで恐怖のテツラフ四重奏団!のシューベルトというものが出ていて試聴したらとても良かった。ちょっとカプソン買ったのを後悔。まあ、テツラフ四重奏団は高いんだけどね。しかし、テツラフはカルテットでも急速冷凍演奏なんだなー。すごい。ついでに妹さんもいるしね。

P. ヤルヴィに触れるのを忘れていた。同時期に買ったゲルギエフのロメジュリとスラットキンのラフマニノフには軽く触れたので書いたつもりになていたようだ。P. ヤルヴィはメインで録音するレーベルがCBS、RCAとあって到底ハイレゾ新録を買う気になれない。たまにSignumやロイヤルPo自主レーベルで出ていたりしたのだが、駆け出しの頃の演奏だったり、曲に馴染みがなかったりしてよくわからない指揮者に分類してしまっていた。関東に住んでいる人であれば実演でP. ヤルヴィはよく知っているだろう。N響の主席にもなっていることだし。最近ではヨーロッパのメジャー・オケの定期演奏会でもよく見かけるようだ。この場所から関東、関西まで演奏会に出かける気にはなれないし評論家の中野氏みたいに評価保留のままで行こうか、と思っていたら突然ワーナーからラフマニノフの新録が出ていた。しかも、オケはパリ管。録音では珍しい組み合わせでもあるし、収録時間的にもCD2枚分(収録は交響曲第3番、交響的舞曲、岩)、多少高かったが買ってしまった。少し前にスラットキン / デトロイト響の交響曲第1、3番を2xHDレーベルで買っていたし、比較にも丁度良かった。スラットキンの方はリヨン国立での良くないイメージを払拭する快演だったのだが、ヤルヴィの方は・・・。またしても結論が出せなかった。悪くはないような気がするのだが、かといってラトルやプレヴィン、スラットキンを凌ぐ演奏かというと?実演を聴かないと真価がわからないタイプなのかも知れない。まあ、CBS、RCAにある大量の録音を買えばわかるのだろうが、そこまで金を掛けるような興味は今の所湧いてこない演奏家だ。

追記

P. ヤルヴィの最新録音(ブルックナー交響曲第1番と第2番)はDSD2.8MHzで3100円になっていた。以前のflac 24bit / 48kHzで3800円、DSD2.8Mhzで3700円と比較すると安くなってきたが、3000円以上のプレミアムな価格設定するなら5.6MHzであるべきだと思う。DSDだけでなく、flacのアルバムも価格改定が入ったらしく、1枚3200円になっているものもある。それでも高いが。ワーナーみたいに1番と2番で1アルバムという形なら3000円超えでもある程度納得できるのだけど。ワーナーはDSDに否定的な感じだが、ソニー系列(CBS、RCA)はどうやら積極的らしい。ユニヴァーサルはその中間、というか客の様子見をしている感じだ。値段も揺れ動いている。グラモフォンの最新盤、A. ネルソンスのショスタコーヴィチ交響曲 第5、8、9番は時間的に2枚分以上、flac 24bit / 96kHzで1枚分のお値段。ついでに今は評論家の麻倉怜士氏の推薦盤のセールとかいうよくわからない企画で2600円。2枚分のハイレゾで多分海外で買うより安いのではないか。個人的にボストン響とショスタコーヴィチの相性が良いとは思えないが。

flacとDSD、MQAのどれが今後のディファクトスタンダードになるのかはよくわからないが、価格は次第に下がると思いたい。麻倉怜士氏は評論家と言うよりやってることが広告代理店の社員としか思えず、科学的根拠に乏しいオカルトチックなことも口にしたりするので個人的には評論家の中に入れていないが、どんな理由にせよ安くなるのは良いことだ(笑)。

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最近セールがないので(笑)

2018-05-11 20:16:04 | 音楽

新学期と連休はe-OnkyoやMoraのセールが連続してやってくるだろうし、金が足りなくなると覚悟していたのだが完全な肩透かし。こうなるとあまり本意ではないものの、海外から買うしかないのだろうか。国内のアーティストの貴重な発信源でもあるし、国内の店は出来れば潰れてほしくないのだが・・・。今の売上ではアニメに特化されてもやむを得ないのかも知れない。まあ、海外の相場を知ってる人なら2倍の価格で買おうとは思わないよね。私のようにせっせと調べ上げて海外とあまり変わらないか、安いもののみを買ってる人も多少はいるのであろうが。

安売りされていたのはボサノヴァ、映画のサントラ、ワーナーの一部、イタリアン・ジャズ、バッハと言ったところ。今はジャズ・ヴォーカルが加わっているが、如何せん種類が少なすぎる。ワーナーの安売りも極めて少数だった。バッハのセールは値引率は悪くないのだが、元がユニヴァーサルやRCAの国内盤忖度価格なのでセールしてても海外よりずっと高いという状態。その上2xHDには値上げが来てしまった。まあ、今までがオリジナルより安い状態だったので設定価格が安すぎた、という判断なのだろうが、オリジナルは海外の1.5~2倍の値段なのであるから本当なら2xHD(DSD1アルバム1500円)がまっとうな価格設定だったのだ。ワーナー、Chandos、Ondineは内外価格差が比較的小さい(1アルバム2000~2800円相当)が、それでも高い。Ondineオリジナルが2xHDのリマスター盤より高い状態でOndineからクレームがついたのかもしれないが、e-OnkyoやMoraが1アルバム2500円で売ってるほうがおかしいのだ。ましてやユニヴァーサル、RCAの3800円とか4200円は論外以前の問題だ。1アルバム5800円のものすら出現している(苦笑)。他のメジャーレーベルが下げる気がないから下げる必要を感じなくなったのかワーナーも最近はちょっと値上げに走っている。円盤よりコストが掛からない上に円高で上げる理由はなにもないように思えるのだが。サーバー管理とサイト管理程度で人件費だって知れている。皆海外価格を知っている今の世の中で昔のボッタクリ商売が通用すると思ったら大間違いだ。

ただ、最近では1アルバムのCD容量縛りからようやく解放されてきていて実質数アルバム分の内容で1アルバムの値段というものも増えてきている。これは歓迎すべき流れなのだろうか。単にe-OnkyoやMoraの契約方式の問題という意見もあって今後本当に安くするつもりなのかどうかはまだまだ見極めが必要なのだろう。私は概ねそんなのばかり選び抜いて買っているが(苦笑)。

ドビッシー 海、遊戯、牧神他 サイモン・ラトル / ベルリン・フィル A

シューベルト アルペジオーネ・ソナタ、ドビュッシー チェロ・ソナタ他 G. カプソン / バーレイ A

ドビュッシー ソナタ、ピアノ三重奏曲 Bettrand Chamayou S

ストラヴィンスキー 春の祭典、ミューズを率いる若きアポロ他 ラトル / ベルリン・フィル B

チャイコフスキー スペードの女王 M. ヤンソンス / バイエルン放送響他 A

クリスタ・ルードヴィヒ The Complete Recitals on Warner Classics C-B

Motherland(バルトーク ヴィオラ協奏曲、ウォルトン ヴィオラ協奏曲他) デヴィッド・アーロン・カーペンター / 大和和士、V. ユロフスキ、D. パリー S

Trionometry Trionometry A

Trinacria アンドレア・ベネヴェンティーノ C

Silentium フランチェスコ・ネグロ・トリオ B

Seven ディーノ・フランコ・ピアーナ七重奏団 B

Anamnesi ラファエル・ゲノヴェーゼ・トリオ A

Golem ガブリエレ・コーエン B

うーん。もっと買いたかったな。例によって内容でなく録音状態で点をつけている。最後の方はいずれも安売りしてたALFA MUSICレーベルのイタリアン・コンテンポラリー・ジャズ。こんなに買う気はなかったのだが、めぼしいクラシックの安売りがなかったためつい増えてしまった。このレーベルはflac 24bit / 96kHzで音を統一しており、高音質が売りらしいが音はあまり良くない。一番売れたアルバムらしいベネヴェンティーノのTrinacriaにはノイズがあることを正直に認めており、そういう意味では好感が持てる。プレイの調子がとても良かったらしく、録音が失敗気味でも取り直す気になれなかったのだろう。紹介文には似ているらしい色々な現役プレイヤーの名前が上がっていたが、私にはチンプンカンプン(笑)。私がこのピアニストに似ているように思ったのはオスカー・ピーターソンである。本当に軽快で尻軽。しかし、その尻軽っぷりが快感になるタイプのピアニストだ。売れたのはよく分かる。今でもピーターソンのウィ・ゲット・リクエストはよく売れてるもんなあ。昔はピーターソンが好きと言おうものならジャズ好きの親父連中から軽蔑の眼差しで見られた気がするが重たいジャズが流行らなくなった今ではそんなこともないのだろう。

Trionometryは新進のジャズトリオだが、単にe-Onkyoで売れてるから気になって買ったもの。しかし、ジャズ好きは耳が良いね。これまたナイスなアルバムで音質もこのレーベルにしては上出来。しっかり試聴してみんな買ってるんだなぁ。クラシックやジャズで寄せ集め音源や古いアルバム以外のアルバムが売上上位に出てきた時はやはり要チェックだ。

他のアルバムはピアニストがコリアあたりのリリカルなプレイに影響を受けているらしく、透明だが今ひとつ、薄味に感じた。ピアノの音色は綺麗なんだけどね。Golemのコーエンはクレズマー・バンドの有名なサックス吹きらしい。クレズマーといえばドナドナしか知らないのだが、一曲目からドナドナっぽい哀愁たっぷりの旋律美で迫ってくる。その上に三曲目にドナドナも入っているので全編哀愁たっぷり。クレズマーはロマの音楽に似てると思っていたが、調べてみると担い手が東方ユダヤ人(アシュケナージ)というだけで発祥の地がバルカン半島からドイツにかけての地域ということで当然ロマやハンガリーの音楽とは影響を与えあっている。リストは実際にジプシー音楽を直接的な形では取り入れていないのでリストなんかよりよっぽどジプシー音楽っぽい。それがバルカンの隣の今やジャズ大国のイタリアでジャズと融合したというわけらしい。イタリアにはプログレ崩れのジャズマンがかなり沢山いるあたり、やはりジャズ大国になっている北欧に近い。あっちもプログレが盛んでジャズとの境界が曖昧だったんだろうから。現在、北欧、イタリア、日本(プレイヤーはともかく、聴衆の多さ)がジャズ大国であることは疑いない。

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プロコフィエフのロメジュリ

2018-03-07 15:24:02 | 音楽

以前はあまり好きな音楽ではなかったような気がするが、テミルカーノフの組曲盤、ゲルギエフの全曲盤を入手した。

最初に聴いたデュトワ盤(Decca)なんかはあまりにクール&メロウで映画音楽のように聴こえた記憶がある。実際は大変な難曲でオケの人は大変なようだからそれをクール&メロウに纏めるというのは大変な力量あってのものなのかもしれない。しかし、頭の中でこんな曲じゃないだろうってモヤモヤが燻っていた。

その後聴いたのがたしかミトロプーロス盤(CBS)。一部で人気の録音だが、確かにこの録音は迫力があった。ステレオ初期の割に音もいい。金管の迫力などデュトワ盤で薄められていた部分がむき出しになっていて一時期はよく聴いた。何故かメータ / ニューヨークPoの春の祭典のオマケに付いていたものでオマケのほうが圧倒的にできが良いなぁと感じたものだ。しかし、やっぱりステレオ初期の演奏で曲数も少ない抜粋版とあって、もっと音が良い全曲盤の音源を探していた。マゼール盤(Decca)が一般的に聴かれているようだがマゼールの録音ももう決して新しくない。ロイヤルPoの安箱に入っていたシモノフは迫力があってとても良かったが、やはり抜粋。

そんなときにSignumからテミルカーノフ / サンクト・ペテルブルクPoの演奏が売りに出されていた。ただし、これもロメジュリは抜粋版。この音源はどっちかというと録音される機会が少ない併録のシンデレラ抜粋の方が売りだったのではないだろうか。シンデレラはロジェストヴェンスキー盤ぐらいしか全曲盤を知らない。ロシアの昔の指揮者には全曲盤があるのかもしれないが。そのうち誰かロシアの若手が録音するだろう。ユロフスキやペトレンコ、ゲルギエフ辺り。案外ヤルヴィ親子かもしれないが。曲の方はロメジュリほど面白くなく、全曲盤が少ないのはムリもないと感じた。ただし、プロコフィエフは実力の割に不遇だったせいか、ちょっと捻くれた意地悪な作曲家で面白い部分を隠したり変な場所においたりする癖があるように思うので全曲盤を聴くまでは曲の感想は保留だ。ロメジュリのように豪華な料理、聴き所の塊ではないということだけはわかった。

テミルカーノフのロメジュリは期待通り迫力がある。現役の人では巨大管弦楽を鳴らすのが得意な指揮者の一人であろうから当然なのかもしれない。こうなると抜粋版なのが残念すぎる。Signumのオケものなので録音もイマイチ。そこでオケにちょっと不満があるもののLSOレーベルのゲルギエフ盤に手を出してしまった。Deccaにキーロフとの旧録音があるが、もうCDは買いたくないのと音質重視で新録の方を購入(LSOはいまいちな録音が多く、古くてもDeccaの方が音が良い可能性もあるのだが)。マリインスキー、キーロフ等、ロシアのオケのほうが迫力が出そうな感じがしていたが、その予想は大当たり。そもそも、ゲルギエフはいわゆる爆音系の指揮者だろうか?今まで聴いてきた録音の印象では爆音系とは感じられない。ロジェストヴェンスキーやマルケヴィチのようにオケや時期によって変わるカメレオンなのかもしれないが。聴いた範囲では最初に聴いた録音であるデュトワに近い感じで少々うっちゃりを噛まされてしまった。LSOの割に録音はいいし、オケもとても綺麗に鳴っているのだけれど・・・。綺麗でロマンティックな演奏が好みであればデュトワとゲルギエフは決してハズレの録音ではない。単に私の求めていたものと違っていただけだ。

今後ロメジュリは爆演系の全曲盤を探してうろつくことになりそうである。昔の録音を漁ればいくらでもありそうだが、今となっては録音が良いものという条件がつく。録音が良くてもヤンソンスやアバドあたりの優等生じゃ迫力不足。テミルカーノフ、ロジェストヴェンスキー、ユロフスキ、シモノフ、大穴でセーゲルスタムあたりの全曲盤に期待したい。今のところ、個人的ベストは直截、剛直、一刀両断のミトロプーロス、ついでメリハリ付けまくり、ケレン味たっぷりの演出上手シモノフ(やり過ぎ感あり)。それにしてもロメジュリ録音といえばチャイコフスキーばかりなのは納得行かないなぁ(笑)。

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