WILDnaLIFE :「ワイルドなライフ!!」

米国アイダホ州より英語トレーニングルームがお届けします。 http://www.eigotraining-usa.com

英語と日本語の対照作業

2015-03-30 | 日記
9日間の春休みが終わった。

私はといえば、どこにも行かずに今学期2本目の論文を書いていた。テーマは「外国語としての日本語」。

英語と日本語は全く関係ない言語なので「比較(compare)」ではなくて「対照(contrast)」することになる。これを「比較言語学」に対して「対照言語学」と言うそうだ。

対照言語学は主に第二言語の教授・習得のため、一方の母国語話者が他方の言語を習得するには何が必要かを浮き彫りにするのに役立つ、双方向的な二言語研究である、と言えば分かってもらえるだろうか。実は始めは私にも通訳・翻訳との違いが分からなかった。

そこでローサー教授に質問してみたところ「通訳・翻訳は技術であって二つの言語が堪能であれば基本的には十分なんだけど、対照言語学は学問なので二言語間で何が同じで何が違うのかを総合的に研究する」んだそうだ。物の本によると、「英語と日本語はかなり違うので対照研究にはうってつけである」とのこと。

そこで私が考えたのは「英語の5文型システムを利用して日本語を分析する」こと。これで一番よくわかるのは主語以降の語順がきれいに正反対になることだ。この語順の違いは、日本人が英語が苦手なことの一つの大きな原因である。

語順以外でも違いがある。例えば日本語の「あげる」「くれる」は英語のネイティブスピーカーには使い分けが難しい。英語では両方「give」になってしまうからだ。皆さんは違いを説明できるだろうか?敬語表現や男女の言葉づかいの違いなども英語にはない特徴のいい例だろう。

きれいな日本語に訳せればそれでよかった戦後しばらくの英語教育とちがって、現代の実用英語においてはスピードが要求される。例えばTOEICでは書いてあることを文末から前に戻って訳していたのでは到底間に合わない。リスニングにおいてはそもそも戻ることが出来ないので即アウトだ。後戻りしない工夫が大切なのである。

アメリカ人に対する日本語教育もさることながら、日本人の英語を単なる受験科目から便利なコミュニケーション・ツールに脱皮させるにには「対照言語学」の果たす役割は大きそうである。






静かな教室

2015-03-15 | 日記
9週目終了。もう春学期も後半に入った。

金曜日は例の講演会でのワークショップ。いつも20人弱の参加者だというのに当日は60人弱の満員御礼。そんなに寺子屋の写真が学生の興味を引いたのだろうか、あるいは日本人そのものが珍しい? と私。

"I'm sorry for the photo. It's very misleading. I don't plan to give any historical accounts on English education in Japan. I will just demonstrate how English grammar is taught in Japan utilizing this opportunity." 「誤解を招くような写真でごめんなさい。今日私がするのは日本における英語教育の歴史の説明ではなくて、現在日本ではどうやって英文法を教えているのかの実演です。」というふうに講演会は始まった。

ステージ1「5つの文型」、ステージ2「文の要素と修飾部分」、ステージ3「形容詞の補語用法」と講演は進む。この間と違って、誰も質問する者がいない。あまりに静かなので50分かけるつもりのところが30分で終わってしまった。

"Oh, we still have good 20 minutes. Let's do stage 4 & 5 then." 「ありゃ~。まだ20分も時間あるね。それじゃ、予定になかったけどステージ4と5もやってしまおうか。」と急きょ予定変更で中級編「3つの準動詞」「助動詞と相当句」も終了。ワンステージ10分という驚異的なスピードだった。

終了後、ダッジョン教授と学部長のトラウィック博士が近寄ってきて大絶賛してくれた。「すごいすごい。アメリカでは小学校高学年で似たようなことはやるけど、ここまで簡潔で論理的な説明はされた覚えがないよ。大学でペーパーを採点してると文法がヘンで理解に苦しむことがよくあるんだけど、そういう連中は君の講義を是非聴いたほうがいいな。」と学部長がいうと、「私たちが普段何気なく使っている言葉がこれほど記号で綺麗に分析できると実演されて改めて驚いたよ。まるで物理学の公式のようだね。機械的分析から実用的アプローチに橋渡ししているところがさらにいい。」とダッジョン教授。教授たちの評判は上々で一安心。

「でも、今日静かだったですよね?50分でステージ5まで終わるなんて驚きですよ」と言うと、「学生たちはあまり関心が無かったみたいだね。英語の構造の分析よりも多少いい加減でもそれを使うことに忙しいんだよ。」だって。じゃあなんで満員御礼?? その時ローサー教授が3つの授業で生徒に「ジュンイチの講演会に出席したものは追加で5点あげるよ」と言っていたのを思い出した。なるほど、そういうことか。ローサー・マジック、恐るべし…。

講演の依頼

2015-03-09 | 日記
8週目終了。

先週の水曜日、ローサー教授(日本語勉強中)が「ジュンイチさーん」と叫びながら満面の笑みで私のオフィスにやってきた(笑)。

"I'm looking for someone who can give a talk for the next department colloquium, so couldn't you do that? I liked your workshop 'five sentence patterns in English' you did for my class the other day very much."「 今、次の人類学部の講演会でしゃべってくれる人を探しているんだけど、やってくれない?この間の英語の5文型の話、とっても面白かったし。」

"If you can, send me a photo and abstract of your talk so I can cook up a flyer out them." 「もしOKだったら、チラシに使うから大体の内容と写真を僕にメールしてね。」と一緒にいた講演会担当のダッジョン教授。

"I think I can." と二つ返事で返事した瞬間、"Thank you! You saved my life!!" とローサー教授。どうやらその日頼まれていたのはこの人で、急用でできなくなってしまったという事らしい。本当にこの人は…。

とうわけで、今週の金曜日、再び英語の5文型の話を今度は人類学を専攻する学生のためにすることになった。後日使う教室を確認にいったところ、ちょうどそこにいたダッジョン教授が "I read your abstract, and I decided to send the flyer to the psychology department, too." 「要約読んだよ。あの内容から判断して、心理学部にもチラシを送ることにした。」とのこと。

心理学部? 私の書いた、"The attendees will be encouraged to pretend not to have the intuition in understanding English but think like 7th graders in Japan whose native language is the most distantly related to English." 「参加者の皆さんには、英語を理解する本能の全くない日本の中学生になったフリをしてもらいます。」というところに反応したのだろうか?英語学部とか教育学部でないのが面白い。

講演のタイトルは "Five Sentence Patterns in English: How Its grammar has been taught in Japan" 「英語の5文型:日本ではどのように英文法が教えられてきたか」。で、一緒に送ったのが上の寺子屋の写真(笑)。奥さんには不評だったが、アメリカ人の友達にはバカウケで「これなら何か勘違いして参加する学生もいるはず」だって。

話をよく聞くと、生徒ばかりか教授たちもほぼ全員参加するとのこと(ヒエー!)しかも心理学部まで…。はたまたどうなることやら。待て次号‼︎


某国の人達

2015-03-03 | 日記
7週目終了。(ブログ書くの忘れてました。すいません〈笑〉)。

この間ローサー教授の「古代ローマ」の授業で中間試験があった。

私はTAとして教授と一緒に試験監督。全問選択問題とマルバツなので開始30分もするとほとんどの生徒は答案を提出して帰っていきます。
頃合いを見計らって教授が「今週講演会がいっぱいあって準備でいそがしいから先に帰っていいかな」というので後半45分は私一人で監督ということに。

最後まで残ったのは3人の某国(国名は伏せます)の人たち。そわそわして、隙あらば携帯を見ようとする。
"It's against the rule. Please don't touch your cell during the exam."「規則違反だよ、試験中に携帯はいじらないように。」と私。

再三注意しても直らない。挙句に一人が "Can I change seats?"「席移動してもいい?」と訊く。"Yes, but WHY?"「いいけど、でもなんで?」の問いには "No reason."「別に」と答え、別の某国人のそばに。怪しすぎるのでその2人を至近距離で見張っていたら、今度は離れて座っていたもう一人が "I have a question." と手を挙げる。2人から目を離したくないので ”Come over here and ask."「こっちに来て質問して」と言うと”Never mind."「やっぱりいいや。」

どうやら一人がおとりになって他の2人にカンニングする隙を与えようとしているらしい。カンニングはこそこそやるものと思っていたが、なんたる大胆さ。その某国ではなんでも国王が学費を全額支給するとのことで、ほどんどの学生は不真面目である(笑)。でもここまで図太いとは思わなかった。

後日、教授に"These three tried to cheat to the last minute. They even have the nerve to do it right in from of a supervisor!" 「この3人は最後までカンニングをしようとしていました。図々しくも試験監督の目の前でですよ!」というと、”You know what? In their country, students get good grades just for attending classes. I would call it a cultural difference." 「知ってる?彼らの国では学生は出席率で成績が決まるんだよ。まあ、文化の違いだね。」と教授。

次の授業。教授が答案を返すために生徒の名前を一人ずつ呼んだ。驚いたことに、80人中12~3人いる某国の学生は一人も出席していなかった(すごいギャグ!私は心の中で大爆笑)。教授が出席を取らないのをいいことに彼らはテストの時だけ現れるのだろう。"We have kinda small number of students today. Hmm, then I'll give you guys 3 extra credits if you put your name on this sheet of paper."「なんか今日は欠席が多いな。う~ん、じゃあこの紙に名前を書いたものには追加で3点あげよう。」だって。

敵もサルものひっかくもの。教授も某国人対策は万全のようである。