ナオちゃんのお気楽生活

釣りとバイクが好きなオヤジが綴るお気楽人生

地バチ捕り

2008-09-29 21:08:41 | 日々の出来事
2~3日前の某国営放送で"ハチクマ"の特集をやっていた。"ハチクマ"とはタカの一種で、ハチを好んで食べることからその名がついたとされる。
中でも地バチ(クロスズメバチ)が好物らしく、その強靭な爪で地中の巣を掘り出し幼虫を捕食するのだという。
言うなれば、ハチクマは地バチの天敵ということになるが、地バチにはこの他にも恐ろしい天敵が存在していて、これはその天敵の一部始終を記録したものである。(なんかドキュメント風になってきたぞっと)

友人T氏から貰った(無理矢理寄越した?)ハチ捕り用煙幕


「地バチの巣を見つけたから捕りに来ないか?」と友人N氏から電話が入ったのは一昨日のこと。
N氏の実家では今稲刈りの真っ最中で、稲刈作業中に偶然地バチの巣を見つけたのだそうだ。
このことを地バチが大好きという別の友人T氏に話したところ、「地バチ!?それは何が何でも捕りに行け!俺のために!」と興奮気味でまくし立てる。
我が長野県では、昔より地バチを捕って食べるという食習慣があり、身近にも地バチを好物とする人間が多く、Tに至っては地バチが何よりも大好物ときている。
因みに、昭和天皇もハチの子(地バチ?)が大好物であったらしい?が、恐れ多くも昭和天皇と、庶民の代表のようなTの食嗜好が同じだというのも何か釈然としないが・・・
何はともあれ、「これを持って行け!」とTがオイラに寄越した(無理矢理!)のは、この"はちとり"と書かれたハチ捕り用の煙幕。
Tが仰るのには、「アナタ捕る人、ボク食べる人ってことで、よ・ろ・し・く!」だってよ。おまけに、「その"はちとり"使わなかったら返してね」だと、ホント、信じらんねぇわ!

     "はちとり"の煙幕で成虫を一網打尽!の図


オイラ?常々「ハチの子なんてぇのは人間の食いもんじゃねぇ!」と公言してはばからない人間だからして、勿論そんな気色の悪い物は食わない。否、食えない。
「じゃぁ何しに行くんだ?」とな? それが、困ったことに、オイラこういったお遊そびが大好きなんですな。それと、これはTのための人助け、ボランティアなのであります。
「アナタ捕る人、ボク食べる人」とのたまうTだが・・・不本意ながら、全く持ってその通りだから反論の余地は無い。「こりゃ旨そうだなぁ、へっへっへっ・・・」と、ハチの子を前にほくそ笑むTの顔が脳裏に浮かぶ。
「Tちゃん、ハチの子が捕れたら全部差上げるから、今度マツタケの秘密の場所へオイラを連れて行きなさい!」
あっ!そうそう、このTは、バイク仲間でキノコ採り大好き人間の男のことでね、例のマツタケ採り名人のTちゃんとは別人ということで、くれぐれも誤解なきように。

 N氏の、ハチクマ顔負けのツルハシ捌きが、ス・テ・キ!


稲刈り作業中であったN氏が手を休め、「そこそこ、そこに在る」と教えてくれた地バチの巣は、道路沿いの思いがけない場所に在った。
巣への入り口附近を目がけ、火の点いた"はちとり"を押し当てると、辺り一面白い煙がモウモウと上がる。その煙といったらそりゃぁ凄いもので、地バチのような小さなハチなどひとたまりも無いでしょうな。
「地バチちゃんスマン、アイム・ソーリー、一時気絶?するだけだと思うから少々我慢をして頂戴」
煙が治まるのを確認したN氏は、小ぶりのツルハシを使い、巣があると思われる場所を器用に掘り進めていく。ハチクマがその姿を見たら、「う~~~ん、いい仕事をしてますねぇ~人間にしておくのは勿体無い!」と驚くに違い無い。
巣は案外浅い場所に在り、ほどなく地中から取り出した地バチの巣は、思いもよらず小さな物であった。時期も少々遅かったようで、成虫が多く肝心の幼虫の数が少ないようだ。
間もなくこのちいさな幼虫は、フライパンか何かで炒られTの腹に収まってしまうんでしょうな。「ナンマンダブ、ナンマンダブ・・・チ~ン」

  地中から現われたのは、ちょっと小ぶりな地バチの巣


長野県の県南地方(伊那・飯田等、県の南部)では地バチ捕りが特に盛んな地域として有名で、地バチの巣を探し出す様を"すがれ追い"と呼び一種の風物詩ともなっているそうだ。
"すがれ追い"とは、カエルなどの肉片に真綿などの目印を付け、それを見つけた地バチが巣へ持ち帰ろうとするのを目印頼りに追っかけることをそう呼ぶらしい。
何時のことだったかは忘れたが、仕事仲間恒例の飲み会に伊那市出身のH氏が在籍しており、この"すがれ追い"の話題で大いに盛り上がったことがあった。
H氏「"すがれ追い"ってのは、野山を走り回らなきゃならんから、面白いけどえらく疲れるんだなこれが」
I氏「野山だろ?地バチは勝手に宙を飛んで行くからいいけど、草もあるし木も生えているわな、ひょっとして小川だってあるかも知れないよな?そんときゃどうすんだ?」
H氏「そんなことはハチに聞いてくれってなもんで、身の丈以上の草なんぞ真一文字に掻き分け、木にぶつかろうとも何のその、ハチを追って小川をエイヤーッと飛び越えて行くに決まっとるがねぇ!」
空にハチクマ、地上に人間、いやはや、地バチの世界も生きて行くのが何かと大変なようで・・・。

他力本願、命!  人気blogランキングへ