経産省方針 東電値上げ申請ずれ込み
3日に公表された政府の第三者委員会の報告書は、発電費用に利益の一部を上乗せして電気料金を設定できる「総括原価方式」そのものの問題点に言及した。
経済産業省は年内にも料金制度の抜本的な改正を行う方針だ。東京電力の料金値上げ申請は、制度改正後の年明け以降にずれ込むことが確実で、政府内の手続きを経て実際に値上げが実施できるとしても来年夏以降になりそうだ。
報告書は、東電が非公式に求めていた約15%の値上げの試算は示さず、値上げ幅を0%、5%、10%の3例に絞り、今後10年間の東電の収益と財務状態への影響を示した。
だが、望ましい値上げ幅については言及しなかった。この理由について下河辺和彦委員長は記者会見で、「徹底的に機構で議論すべきことだ」と述べ、今後の機構と東電の交渉に委ねるべきだとの考えを示した。
報告書は総括原価方式について、電力会社が申請した原価を経産省が適切にチェックできる仕組みになっていない点を改善すべきだと指摘した。下河辺委員長は、「長年にわたり問題を抱えたままで、(高い)料金水準を招いている」と述べ、制度の抜本的な見直しは避けられないと強調した。
首相官邸で報告書を受け取った野田首相も、「料金制度のあり方や制度面の課題などについても検討を始めたい」と述べた。経産省もこれを受けて、料金制度の見直しに着手する。
ただ、制度変更には年内いっぱいかかる見通しで、東電が値上げを申請できるのは早くても年明けになる公算が大きい。
値上げの認可手続きでは通常、原価や利潤が適正かどうか審査する公聴会を開くなど、認められるまでに4か月はかかる。このため、もし東電が年明け早々に値上げを申請したとしても、様々な審査手続きを経て実際に料金の値上げが実現するのは、来年夏以降になりそうだ。認められれば、東電にとって抜本値上げは1980年以来となる。
(2011年10月4日
読売新聞)
関連ニュース
・「【シネクラブ】新境地「ごく普通の男」 難しかった 岸谷五朗さんインタビュー」:イザ!
・
大企業製造 V字回復…車、供給網復旧で上昇
・
9月の米新車販売9.9%増…トヨタ、ホンダは苦戦
・導入審査代行