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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

「どうしてこうなっちゃったかなあ」と誰もが自分のことを振り返りたくなる逆再生ラブストーリー『ちょっと思い出しただけ』

2022年03月04日 21時48分01秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:14/38
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★☆☆

【ジャンル】
ラブストーリー

【原作・過去作、元になった出来事】
映画『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)に着想を得て作られた、
クリープハイプの『ナイトオンザプラネット』(2021)という楽曲に、
松井大悟監督が触発されて作られた。


【あらすじ】
2021年7月26日。
ステージ照明の仕事をしている佐伯照生(池松壮亮)は、
誕生日の今日もダンサーに照明を当てている。

一方、タクシー運転手の葉(伊藤沙莉)は、
ミュージシャンの男を乗せてコロナ禍の東京の夜の街を走っていた。
途中でトイレに行きたいという男を降ろし、
自身もタクシーを降りると、
どこからともなく聴こえてくる足音に気づく。
その足音は、ステージで踊る照生のものであった。

時は遡り、2020年7月26日。
照生は部屋でリモート会議をし、
葉は飛沫シートを付けたタクシーをマスク姿で運転している。

また1年遡り、
誕生日を迎えた照生は、
昼間は散髪屋で伸びた髪を切り、
夜はライブハウスでの仕事を終えた後に、
行きつけのバーで友人らと飲んでいた。

同じ頃、居酒屋で合コンをしていた葉は、
煙草を吸いに店の外に出たところで見知らぬ男から声をかけられ、
話の流れでLINEを交換することに。
葉のアイコンを見た男が「猫飼ってるんですか?」と尋ねると、
葉は「今は飼ってないけど」と返し、
続けて「向こうが引き取ったから」と呟く。
彼女がLINEのアイコンにしていた猫は、
今も照生が飼っているモンジャだった。

時は更に1年、また1年と遡り、
照生と葉の恋の始まりや、
出会いの瞬間が丁寧に描かれていく。
不器用な2人の二度と戻らない愛しい日々を
“ちょっと思い出しただけ”。

【感想】
オーソドックスな、
とてもオーソドックスなラブストーリー。
ダンサーの男性とタクシー運転手の女性という
珍しい組み合わせではあるけど、
『花束みたいな恋をした』(2021)のように、
いい意味で何の変哲もないラブストーリーではある。
ただ、話の進み方がとてもオシャレというか、
印象に残りやすい構成なのがよかった。

◆1年ごとに時を遡っていく流れがエモい

スタートは、照生と葉がすでに別々の道を歩んでいる世界。
この2人、何かありそうには見えるけど、
このときはまだ何もわからない。
そこから、1年ずつ7月26日(照生の誕生日)を遡っていく。

実は2人は付き合っていた。
いっしょに笑ったりケンカしたりした日々。
ケガで踊れなくなった照生の苦悩。
何を考えているかわからない照生に不安になる葉。
そうやって時を遡っていく過程で、
彼らの間に何があったのか、
何をきっかけに出会ったのかがわかる仕組み。
最後まで観て、
ようやく物語冒頭のエモさに気づくのだ。

物語って、「○○した」から「こうなった」というように、
行動した結果が次々に示されていくけど、
この映画は逆。
「こうなった」、なぜなら「○○した」からというように、
理由の部分が後からわかってくる。
途中までは、あまり話に大きな抑揚のない展開に
面白さを見出しづらかったんだけど、
いろいろ理由が明かされていくことで
どんどん物語に引き込まれていった。
まるで過去にタイムスリップしていくような感覚は面白い。

ちなみに、あらすじを読むと
1年ごとに遡るっていうのがわかるんだけど、
本編ではけっこう注意して観ていないとわかりづらい。
遡っていることはわかっても、
1年かどうかっていうのは、
シーンが変わった冒頭の照生の家にある時計を見るか、
セリフの節々に出てくる
「誕生日」っていうキーワードでしか判断できないから。

◆自然すぎるイチャつきがすごい

別れてしまった照生と葉。
でも、かつてはものすごいラブラブだった。
あまり感情を表に出さないものの、
内に秘めている想いが強い照生。
形や口にしてくれない彼に不満はあるものの、
照生のことが大好きな葉。
この2人が照生の部屋で
イチャつくシーンがとにかくすごい。
変にオーバーでもなく、
ロマンチックでもなく、
なのに妙にドキドキしてしまう2人の自然なイチャつき。
これは池松壮亮と伊藤沙莉の演技力のなせる業じゃないかなって感じた。

◆そんなわけで

内容自体は本当に普通のラブストーリーなんだけど、
どんどん逆戻りしていく構成と、
メイン2人の演技力によって、
とても面白い作品に仕上がってた。
クリープハイプが歌う主題歌もよかったので、
ぜひ映画館で観て欲しい。




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