やはりこれは普及の名作。
今回の『ファイナル・カット版』は通常版より29分長く、
特別完全版より20分短い形となっているけど、
撮影時のオリジナル・ネガフィルムが初めて使用され、
音声に劇場公開版のプリントマスターが用いられていて、
さらにIMAX仕様でデジタル修復されているというもの。
ベトナム戦争における狂気が伝わってくる映画ではあるけど、
改めて観ると、もはや「シリアスなジャングル・クルーズ」だなと思う(笑)
個人的にはこの映画の面白いポイントは2つ。
ひとつは戦闘シーンの圧倒的な映像。
ワーグナーの『ワルキューレの騎行』の音楽と共に攻めてくる
アメリカ軍の印象的な構成去はもちろんのこと、激しい銃撃戦、
ヤシの森をナパーム弾で一瞬にして火の海にするところなんかは
もう開いた口が塞がらないほどの迫力。
これCGじゃないからね、全部セット組んでやってるから!
もうひとつはこの戦争のアメリカ兵の狂気と雑さ。
サーフィンしたいからと敵地を一掃するキルゴア中佐(ロバート・デュヴァル)とか頭おかしいし、
指揮官がいないのに戦い続ける兵士たちの満身創痍感は常軌を逸しているとしか思えない。
しかし、終盤のカーツ大佐(マーロン・ブランド)のくだりは未だによくわからない。
優秀な兵士でありながら、現実に絶望し、思想が暴走、自ら独立国家を作るに至るのは
日本のゲームやアニメでもめずらしくない設定だけど、
具体的にどの点でそういう思想の転換が起こったのかがわからない。。。
そこさえ、明確になればいいんだけどな。。。
まあ、フランシス・フォード・コッポラ監督自身も
「何を伝えたいのか自分でもわからなくなった」と言ってるけど。。。(笑)
とはいえ、ベトナム戦争の恐怖や狂気を伝える上ではいい映画体験になってると思う。
そして、制作過程は混乱を極めたというのは有名な話。
・主演を務めるはずだったハーヴェイ・カイテルは撮影開始2週間で降板。
・代わりのマーティン・シーンも途中で心臓麻痺で倒れる。
・デニス・ホッパーは麻薬中毒でセリフを覚えられず。
・マーロン・ブランドの太りすぎかつわがまま問題。
・作ったセットが大型台風で崩壊。
これで撮影スケジュールも当初予定していた17週間から61週間に延び、
予算も1200万ドル3100万ドルに跳ね上がったとか。
ストーリーも大幅に変わったというし、そりゃ監督も心労で倒れるわ。。。
大ヒットして本当によかった。。。
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