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愛国心と腐敗していく政治の間で葛藤する『KCIA 南山の部長たち』

2021年02月22日 01時41分21秒 | 映画


【個人的な評価】
2021年日本公開映画で面白かった順位:12/31
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★☆
      映像:★★★★☆
      音楽:★★★★☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【以下の要素が好きなら楽しめるかも】
韓国映画
サスペンス
アクション
史実
暗殺

【あらすじ】
1979年10月26日、
大韓民国大統領直属の諜報機関である
中央情報部(通称:KCIA)の部長キム・ギュピョン(イ・ビョンホン)が大統領を射殺した。
大統領に次ぐ強大な権力と情報を握っていたとも言われるKCIAのトップがなぜ?

さかのぼること40日前、
KCIA元部長パク・ヨンガク(クァク・ドウォン)が、
亡命先であるアメリカの下院議会聴聞会で、
韓国大統領の腐敗を告発する証言を行った。
さらには回顧録を執筆中だともいう。
激怒した大統領に事態の収拾を命じられたキム部長は、
アメリカに渡り、かつての友人でもある裏切り者ヨンガクに接触する。

それが、やがて自らの運命をも狂わせる哀しき暗闘の幕開けとも知らず…。

【感想】
あくまでもフィクションという体裁ではあるけれど、
これは現代韓国史を知る上で、
歴史的意義の大きい作品かもしれない。
なぜなら、この作品におけるパク大統領暗殺による影響もあって、
その後の『タクシー運転手 約束は海を越えて』(2017)と
『1987、ある闘いの真実』(2017)にもつながっていくのだから。
僕は本作を含めたその3つを三部作と捉えてもいいと思ってる。

独裁的な大統領による腐敗した政治を正すために"殺害"という手段を取った主人公。
大統領への忠誠や愛国心にあふれながらも、
現状をよしとしない正義感の中で葛藤する彼を演じた
イ・ビョンホンの演技は凄まじい。
決して感情を露にすることはないが、
表情や握りしめた拳などで
内なる心の動きを表現していたのは圧巻だった。

ひとりの力で巨大な力を動かすことはほぼ不可能に近く、
かといって誰かに相談することもできないまさに八方塞がりな状態。
それでいて、内部で敵対する人物も多い中で、
あのような行動を取った背景には、
彼の中にある愛国心や正義の心の強さがうかがえる。

「とはいえ、殺しちゃダメでしょ」と言うのは簡単だけれど、
彼の国を想う気持ちがいかに大きかったかということに、
少しでもいいから思いを馳せてみたい。
なんだかんだで平和な今の日本にいるとなかなか難しいかもしれないけれど。

そう、だから先に挙げた2作品と比べると、
一般市民が絡んでこず、
お偉いさんだけでわちゃわちゃしてる感じがあるから、
イマイチ共感しづらいところはあるんだけど、
それを踏まえても見ごたえはあるかな。

ちなみに、この映画を観るなら、
ぜひ『タクシー運転手 約束は海を越えて』と『1987、ある闘いの真実』も観て欲しい。
どちらも民主化運動真っ只中の韓国を描いた作品だけれど、
一般市民が軍や警察に虐げられているシーンが多く、
とても心が痛む反面、
隣に国でどういうことがあったのかを知れるいい作品なので。
両方とも観て泣いたよ、僕は。

日本だとこういう多くの民衆を巻き込んだ政治的な運動っていうのはなかなかないからね。
少なくとも最近だと。
だから、映画にもならない。
安保闘争を扱った作品とかあるのだろうか。

映画『KCIA 南山の部長たち』公式サイト|2021年1月22日公開

映画『KCIA 南山の部長たち』公式サイト|2021年1月22日公開|男はその日なぜ、大統領を暗殺したのか。イ・ビョンホン主演で贈る実録サス...

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