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だったけど、もはや自分の備忘録としての映画やドラマの感想しかないです。

メイン3人の圧倒的な演技力とタイトルに込められた意味に驚かされる『さがす』

2022年02月14日 19時48分52秒 | 映画

【個人的な評価】
2022年日本公開映画で面白かった順位:10/27
   ストーリー:★★★★☆
  キャラクター:★★★★★
      映像:★★★☆☆
      音楽:★★★☆☆
映画館で観るべき:★★★★☆

【ジャンル】
サスペンス
ヒューマンドラマ
犯罪映画

【原作・過去作、元になった出来事】
なし

【あらすじ】
大阪の下町で平穏に暮らす
原田智(佐藤二朗)と中学生の娘・楓(伊東蒼)。

「お父ちゃんな、指名手配中の連続殺人犯見たんや。
 捕まえたら300万もらえるで」。

いつもの冗談だと思い、相手にしない楓。
しかし、その翌朝、智は煙のように姿を消す。

ひとり残された楓は孤独と不安を押し殺し、
父をさがし始めるが、
警察でも「大人の失踪は結末が決まっている」と相手にもされない。
それでも必死に手掛かりを求めていくと、
日雇い現場に父の名前があることを知る。

「お父ちゃん!」

だが、その声に振り向いたのは
まったく知らない若い男だった。

失意に打ちひしがれる中、
無造作に貼られた「連続殺人犯」の指名手配チラシを見る楓。
そこには日雇い現場で振り向いた若い男の顔写真があった――。

【感想】
これはまたインパクト大の映画。
重く暗い雰囲気のサスペンスではあるんだけど、
予想だにしない展開に引き込まれるので、
事前情報を入れずに観るのがよいと思う!

◆ストーリーが進むほどタイトルの意味にハッとする

この映画、いろいろ思うところが多い作品なんだよね。
あまり書くとネタバレになってしまうので難しいけれど(笑)

突如行方不明になった父親を"さがす"娘。
それは、この映画の"ひとつの顔"でしかない。
観ていくとわかるけど、
"さがす"にはいくつかの意味が込められている。
さらに、現実問題として頭を抱えそうな事柄を扱っていて、
胸の奥をえぐられるような気持になり、
それだけでものめり込める要素足りえていると思う。

それは、父の失踪の真相と繋がるんだけど、
本当に心苦しい内容でね。。。
もうぜひその目で確かめて欲しいわ。
悲しくて苦しくて愛しい彼の隠された真実を。

◆"死こそ救済"という考えの奥深さ

『FF』というゲーム、
僕は大好きなんだけど、
そこに出てくる敵キャラって、
シリーズを通して死や破壊を"救済"と捉えてることが割とある。
特に『X』はその傾向が強いかな。
苦しみながら生きるよりは、
死んで楽になった方がいい。
そんな考えが、
この映画においても狂気を生む発端となっている。

指名手配されていた山内照巳(清水尋也)は、
連続殺人犯ではあるものの、
彼なりの主張としては、
この世界の死にたがっている人に救いを与えていただけという。

これは現実問題として、
単に「頭がおかしい」と一蹴できるものではないと、
個人的には思う。
生きる権利があるなら、
同時に死ぬ権利を認めてもいいのではなかろうかって思うこと、
これまでの人生の中でゼロじゃなかったので。
方法はともかく、
死ぬことで救われる人もいるかもしれないのに。
まあ、実際にそれを認めてしまうことによる
社会的・倫理的な問題があることは、
もちろん承知の上だけど。
観る人によって、いろんな意見が出そう。

ただ、彼は人を殺しながらも、
実は自分が一番死にたかったんじゃないかなって気がした。
終盤のクライマックスで、
そう感じる部分があったから。

ひとつ気になるのは、
彼がなぜそのような思想に至ったかということ。
そこは語られていないので、
ぜひ知りたいところではある。

◆メインキャストの壮絶な演技に注目

この映画はストーリーやキャラクターもすごくいいのだけど、
一番推したいのはメインの3人の演技だ。
突然姿を消す父を演じた佐藤二朗。
そんな彼を必死に探す娘を演じた伊東蒼。
そして、連続殺人犯を演じた清水尋也。

3人とも甲乙つけ難いほどの名演技なんだけど、
僕は佐藤二朗の演技に感銘を受けた。
主に福田雄一監督作品での
コメディな役どころのイメージが強いため、
『はるヲうるひと』(2021)に続く
シリアスな役はとても印象に残る。

さらに彼のね、
病気になった愛する妻とのやり取りがまた心が痛むんだよ。
生きる希望を失い、
自ら命を絶とうとすらする彼女を見て、
取り乱すときの彼の演技。
そのとき、音声だけ無音になるんだけど、
その演出がよかった。
音を無くすことで、
悲しみに打ちひしがれる表情や体の震えが
より際立っていたから。

◆そんなわけで

淡々と進む映画ではあるんだけど、
ダークな世界観に、
引き込まれるストーリー、
キャストの圧巻の演技力と、
見ごたえ充分なので、
ぜひ映画館で観て欲しい映画。

邦画ではあるんだけど、
どことなく雰囲気的に韓国映画っぽいなと感じるのは、
本作の片山慎三監督が、
あのポン・ジュノ監督の下で
助監督を務めたことも影響しているかもしれない。



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