空観方程式

「色」と「空」の一体化によって可視化され、相互作用で共感・共鳴が生じ、新たなる思いや生命力が実体化される。

正しさや快適な環境は幸福と関係しない

2024年09月02日 | 読書・TV感想
動物学者ジョン・B・カルフーンの行った実験「ユニバース25」は、
ネズミに好きなだけの餌と水を与え、快適な環境で育てたら
どういう社会をつくるか? という実験だった。(1968~)

JBカルフーン博士の実験
Universe25
 
私たちの生活は衣食住が保証され、
至る所にコンビニとスーパーがあり、
冷暖房は完備され、非常に快適だ。
ネズミたちにも同様に非常に快適な環境が用意された。
ネズミにとってのパラダイスが実験施設ユニバース25だった。

 しかし実験はおよそ人間の想像を超える経過と結末を迎えた。
パラダイスのはずのユニバース25で、すべてのネズミが殺し合い、
やがて子供を産まなくなり、全滅したのだ。
同じ実験を25回繰り返しても結果は同じであった。




ネズミの実験は、いくら正しくて快適な空間であっても、
移動しなければ(閉鎖空間内では)変化が生まれない。
その結果、絶滅を迎えるというものだ。

人類はアフリカ大陸から各地に移動することで
進化を繰り返した。
特にホモ・サピエンスは
国家や貨幣、神という虚構を共有する能力を
(突然変異という)進化によって獲得したことが
大きく寄与したとされる。
例えば
守護神の共有によって大集団での役割分担が可能となり
一体感の共有によって、適材適所による効率的な
組織運営が可能となったとされることだ。
やがて
ホモ・サピエンスが地球上で最強の生き物となり、
ネアンデルタールをはじめとする多くの種族は
途絶えてしまうこととなった。




進化は環境の変化によって育まれる。
生き延びるには
新たなる秩序や創造・改革改良が必要なのだ。
「同じところに居続けたのでは争いや育児放棄によって
ネズミ同様の結果、絶滅を迎える」のではないか?

人間の意識も同様であって、
双方が正しいとする一極集中のような
いつまでも同じ意識のままでは、
虚構の共有に齟齬が生まれ、争いが生まれる。
例えば保守とリベラルの対立のように。
一人で生きるのであれば争いは生まれないが、
問題は多くの人間が共助・役割分担による
集団社会の中で生きる場合だ。
虚構の共有といった一極集中のままでは
危険であるということかもしれない。

社会組織の移動を繰り返すことは困難であるため、
争いを避けるために日常での試行錯誤が必要だ。
そこから生まれる虚構共有以外の意識変化が必要
ではなかろうか。


空観方程式では
対立ではなく重ね合わせの状態での思考だ。
例えば動的平衡状態のようなものだ。
生きるために壊すという思考である。
壊すことで生命を維持する。
解体と構築とを繰り返すことで新たな秩序生み出す点だ。

鎖国制度の下においても我が国は
武士道と呼ばれる組織・秩序を守ってきた。
自由や平等の観念が犠牲となるけれど、
士農工商、本家分家の区別を守ることで
対立が生まれることを避けてきた。
しかし進化の法則と同様に、産業革命のような
黒船来襲による外部環境が変化を促し
選別・淘汰の試行錯誤により、従来の身分制度を一掃し、
解体することで
新たな国家秩序を生み出した。

正しく快適な秩序を壊すことなく、
維持しようとすることの方がむしろ危険である。
だから生きるとは、幸福とは、
積極的でも能動的でも共通して
「試行錯誤を繰り返す」ことなのかもしれない。



参考1
TVドラマの中でも、
変化によって新たな秩序が生まれることを
取り上げている。



参考2
求める幸福のかたちも、幸福を手に入れる方法も人それぞれだ。
しかしながら著名な哲学者のアランやラッセルに共通しているのが、
外に目を向けて意識の変化を求めることだ。
じっとしたままでは幸福になれない。
幸せになるために「外に目を向ける」とアランが言う。
また、ラッセルも
不幸になるのは自分の内ばかりに目を向けて主観的になっているから。
そして幸福になる方法は、外に目を向けて“客観的に生きる”ことだと唱えた。
主観的なとらわれ(感情主体の偏桃体思考)から逃れ、試行錯誤の繰り返しで
心のバランス(スロー思考とファースト思考)を保つのを助けてくれる。




八王子方向の雷と虹


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