明日香の細い道を尋ねて

生きて行くと言うことは考える事である。何をして何を食べて何に笑い何を求めるか、全ては考える事から始まるのだ。

マイナンバーの活用

2020-04-02 19:29:45 | 今日の話題
(1)基本的な疑問

マイナンバーは個人を識別する背番号である。この番号に色々な個人情報を紐付けして一元管理しよう、というのがマイナンバー制度の基本である。だから政府は、マイナンバー制度を使って「どういう事をどうする」のか、国民に示さないといけない。国民の協力が不可欠な作業なのだし税金も相当使うわけだから、かける費用と目標を明示し、その実施方法についても議論すべきである。マイナンバー制度は一体何のためにするのか、いくつかメリットはポロポロ出てきているが果たしてそれだけが目標なのか、政府や関係官庁は「ゴールの青写真」をどうして示さないのか、それが基本的な疑問である。
安倍政権は、国民に説明をするという一番大切な事をおろそかにする、そういう政権のようである。国民を馬鹿にしているのか、それとも表面で言っていることと内心で思っている事が違うのか。私は、なんでも虚心坦懐に説明し続ける事で国民も政府の役目を勉強し、ハイレベルな議論ができる国民へと進化してゆく、それが民主主義だと思っている。議論すると意見がまとまらず収拾がつかなくなるという考えは、議論の仕方を小学校・中学校で徹底的に練習しないから出てくる考えで、日本の義務教育の最大の欠点である。
何より最初に、マイナンバー制度が「最終的に何を目指して」いるのか、国民はそれを安倍政権に問うべきであり、政府はその質問に誠実に答えるべきだ、と思う。

(2)ロードマップ

マイナンバー制度についてゴール設定が国民の間で合意できたら、ロードマップを作成する。1年や2年でできるものではなく政府が変わっても続けないといけないので、ゴール設定は国民投票で決定したい。しかし日本人の議論アレルギーは根深いものがあり、そもそも議論ができない国民なんじゃないかと思うくらいである。私は、すべて教育のせいであり、国民性といったものに結論づけるのは早急であると思っているが、とにかく国民投票でゴールが設定できるものとして、実施までの手順を順番に書いてみたい。

a. ゴールの設定をする。

b. 個人と全部の企業に番号を割り振る。

c. 戸籍・住民票・不動産登記・結婚・免許・権利関係・その他の台帳及び付帯事項を、マイナンバーで一元管理する。

d. 入出金データと科目の設定する。日付・時間・店舗・科目・品目・数量・価格・クレジットカード番号・消費税・備考といったテストデータを公務員ベースで実施、一年かけて蓄積し分析修正して確認してゆく。この作業は国民に公開する。

e. プライバシー対策を同時並行して研究する

f. 集積したデータをもとにコンピュータで青色申告を作成し、課税資料のチェックを行う

g. 海外との取引を含めたシステムを構築し、テストランを実施する。

h. 同時並行して税法を簡素化し、分かりやすく国民が自分でチェックできるレベルにする。

i. すべての動作が上手くいくと確認がとれたら、国民にやり方の最終版を周知する。

j. 全国の全店舗・全省庁・全役所に専用端末を設置する。

k. 新会計年度の1日から実施する。

以上のような感じでやってみたら如何だろうか。5年位でやれたらいいと思う。とにかく慎重に確実に実施する事である。今の安倍政権のマイナンバー制度への取り組みは、全くチンプンカンプンで何をやろうとしてるか分からない。分からずにやれと言う、やり方が逆である。私はこれで日本という国のあり方を根本的に変えるぐらいの気持ちでやったらいいと思うのだが、はたしてどうなるか。

(3)プライバシー

プライバシーを守る基本は3つである。

1. 預金を引出す、勝手に支払う
2. なりすまし契約、なりすまし犯罪
3. 個人情報の脅迫、嫌がらせ
これらを防ぐことがプライバシーを守ることである。

方法は、マイナンバーでは何も出来ない、ということである。つまり、世の中に出回る番号はマイナンバーではなく他の番号にするのである。例えばクレジットカード、本人確認も口座番号もクローズドで完了し、保険も掛かって長い運用の歴史がある安全なカードである。会社勤めをしている人なら保険証番号という手もある。勿論、運転免許証でも良い。プライバシーを確実にするというのなら、全く新規に「マイナンバー変換用番号」を8桁くらいで作っておき、本当のマイナンバーはその変換用番号を使って取り出すことにすれば、一般の人の目に触れないで効果的である。要は、マイナンバーを使用しなければ、プライバシーを気にする必要もないわけである。マイナンバーは管理に必要な「情報処理上の台帳のキー」であって、普段の生活の場で使う必要は全然無いと思う。

つまり、普段は変換用番号を使い、必要な機関が許可されてルールにのっとり使用する、という方法が良いと思う。当然、個人情報をマイナンバーで直接見るのではなく、マイナンバーを使ってサーバーに問い合わせるとサーバーがワークエリアに必要事項をロードする仕組みで、作業に必要とされたこと以外はサーバーが返さないし、問い合わせる内容は役職ごとに決まっていて、担当者の本人確認は瞳孔照合かなんかすれば心配ないであろう。どっちみち今でも個人情報など筒抜けなのだから、今更心配しても始まらない。一元管理と言っても一箇所に集めるわけではないので心配無用、ここはセキュリティの専門家に任せるのが一番である。
ただし何度も言うようだが、マイナンバーを使うのは管理のためだから、社会で犯罪に使うのは無理である、という事は確認しておきたい。

(4)マイナンバーの運用

a. 個人情報を管理。
戸籍・住民票・不動産登記・印鑑証明・運転免許証・保険証・その他本人確認の必要がある種々の書類を一元管理する。それぞれの番号は一個ずつマイナンバーに紐つけられて一元管理するので、例えば運転免許証を交付される場合、従来であれば氏名・生年月日・本籍・現住所などの個人情報を申告するが、マイナンバー制度では「本人確認写真」を所定のコンピュータ端末から印刷して貼り付ける。写真を取り出すのは本人が操作して画面に出し、印刷添付は運転免許交付機関が行う。マイナンバーと写真とが一対一で対応していれば、そのマイナンバーが持っている個人情報は、その「写真の人」の個人情報であることになる。 写真と台帳データの一致が証明されれば、目の前の人と写真の一致は「見れば分かる」のであるから、本人確認は完了である。一般的な証明のレベルであれば充分であり、さらに何かのダブルチェックは面倒なだけで効果は変わらないのじゃないか。ひとつの事を完璧に行わなければ、チェックを増やしても精度は上がらないと思う。とにかく本人確認しなければならない機会は、何かの契約をする時であり、我々の場合はスマホの契約などが身近であるが、写真を証明するだけで済むのだから店員にも住所を知られる事なく契約が完了するので、むしろプライバシーは強化されると思う。

b. 収入と出費を記録する。
まず、全ての収入をマイナンバーに記録する。これは現金の受け渡しをやめれば簡単だ。全部銀行振込にするだけである。もちろん、夫婦間・親子間の貸し借りも口座移動する。とにかく入ってくるお金全部を銀行で処理し、銀行は日付・口座番号・科目・金額など必要事項を財務省のサーバーへ送る。財務省はマイナンバーに変換して入金する。これも二重化である。
また、全ての出費をマイナンバーで記録する。これにより、個人レベルで青色申告をコンピュータ管理出来る。これはクレジットカードを使うのが最適である。クレジットカードは変換番号によってマイナンバーと紐つけられており、日時・店舗コード・科目・品目・数量・価格・消費税など、必要項目がデータ化されてカード会社と財務省のサーバーに記録される。これも二重化することで安全な運用が保証される。一億二千万人の日常的な買物を全部記録すると大変なデータ量になる、と心配するには及ばない。日本政府の資金力はたかがサーバーごときでビクともしないから安心していい。
「現金はやめる」というのは私の以前からの意見だが(過去のブログ記事参照)、お店側が機械を揃えてくれれば使う側は何の問題もない、と個人的には思っている。どのみち軽減税率を適用するのにマイナンバーを使おうとするくらいだから、読み取り機械を全店舗に設置するのは大歓迎だろう。これにかかる費用は税金でまかなうのが結果的に早道である。機械と言っても、単なるカード読み取り機である。すでに殆どの店には置いてあるからそれほど手間はかからない。なおカードはやたらと種類が多くて手数料が馬鹿高い。デビットカード式の即時引き落としがオススメである。因みに全銀行・全カード会社対応の読み取り機を開発して貰いたいものである。

c. タンス貯金やヘソクリ
これは諦めてもらうしかない。全部銀行に預けてもらう。夫が妻の口座残高を知りたいと思っても、自分で教えない限り分からないのであるから自己責任でお願いしたい。ただし、どうやってヘソクリをするのか、全部カードで買物して現金がないのだから無理である。何にしても隠しておくことがマイナンバー制度では不可能なのだから諦めるしかないだろう。残念だと思う人は、生き方を治すことをお勧めする。

d. 納税
実に簡単である、何にもしなくても税金が引かれている。口座は国に管理されているのだ。でも、やましい事がなければ何て事はない。勿論間違いは何にでもあるからチェックは必要である。会社も同じく、月次決算などしみったれた事は言わなくても、何時でも利益計算から納税額まで勝手に計算してくれる。税務署が死ぬほど苦労して出している税額を、あれよあれよと言う間にコンピュータが計算してくれるのだから願ったり叶ったりじゃあアーリませんか。人に知られたくないとか誤魔化そうとする人が反対さえしなければ、達成出来るのである。皆さん、少しは考えても良いのじゃないですか。


PS:まだ少し書き足りないので、続きは次回にしようと思う。ちなみに、世間では横浜マンション杭打ち事件で持ちきりだが、自分で確かめられないものは買ってはいけないという戒めである、と取りたい。これからは人口が減り家が余るのだから、いっそ賃貸が時流にあった選択だと言える。買ってしまった人にはお気の毒だが、気楽に住処を変えて生きて行ければ最高である。家に限らず何でも買わずに美術館や喫茶店で見ていれば、死ぬ時もゴミ屋敷にならずに綺麗に死ねる、そんな事を考える今日この頃です。それではまた来週、ごきげんよう。

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