毎日モーツァルト!

モーツァルト初心者なので、モーツァルトの曲をたくさん覚えたい♪BS2の番組『毎日モーツァルト』の曲名を毎日?記録します。

◇音楽劇「牧人の王」 K.208 

2006年07月31日 | 夏の特別編
1775年 モーツァルト19歳の作品。
大司教の依頼で書かれた。
自分が王位継承者と知らず、羊飼いとして暮らす青年が主人公の祝典劇。
衣装も舞台装置もない簡単な演奏会形式で上演された。

音楽劇「牧人の王」 K.208 序曲より

指揮: ネヴィル・マリナー
演奏: アカデミー室内管弦楽団

音楽劇「牧人の王」 K.208 アリア「彼女を愛そう、生涯変わらずに」

ソプラノ: ルチア・ポップ
指揮: レナード・スラットキン
演奏: ミュンヘン放送交響楽団


 ~ モーツァルトと街① ザルツブルク ~

オーストリア中央部に位置する古都。
ザルツブルク(塩の砦)の名前の通り、岩塩を産出し、古くから交易で栄える。
中世以来カトリックの大司教が治める宗教都市だった。
教会の塔が立ち並ぶ姿は「北のローマ」とも称される。

【ザルツブルク大聖堂】
1756年1月27日に生まれたモーツァルトは、この大聖堂で洗礼を受けた。
モーツァルトが受けた洗礼盤は今でも使用されている。

【ゲトライデ通り】
大聖堂に近い繁華街ゲトライデ通りにはモーツァルトの生家がある。
現在は博物館として公開されている。
3歳でクラヴィーア(ピアノの前身)を弾き、3歳で作曲を始めたモーツァルト。
父レオポルトは息子の才能を見抜き、ヨーロッパ中を旅して演奏させた。

【レジデンツ】
ザルツブルクの政治と宗教を司る大司教の宮殿。
モーツァルトは13歳でザルツブルク宮廷楽団に職を得る。当時の大司教コロレドは倹約を重視し、音楽に対する出費を抑えていた。本格的オペラが書きたいモーツァルトはやがて大司教と対立するようになる。
25歳のときに大司教と訣別し故郷を捨ててウィーンに移住。モーツァルトは生涯ザルツブルクに複雑な感情を持っていた。そのザルツブルクは現在「モーツァルトの街」として栄えている。

【第125回】 オペラ「フィガロの結婚」 K.492 第4幕

2006年07月28日 | プラハ
1786年 モーツァルト30歳の作品。

第4幕 アリア「さあ 目をあけろ」
バリトン: トマス・アレン
指揮: リッカルド・ムーティ
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

第4幕 九重唱「みんな来い」
ソプラノ: キャスリーン・バトル  マーガレット・プライス
     マリアナ・ニクレスク  パトリシア・パーチェ
メゾ・ソプラノ: アン・マレイ
テノール: アレクサンドロ・ラミレス
バリトン: トマス・アレン  ヨルマ・ヒュンニネン フランコ・デ・グランディス

出演: 林望 (作家)

《イントロ》 オペラ フィガロの結婚 K.492 第3幕 「お受けください 奥方様」
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団


 ~ 熱狂のプラハ ~

第4幕 アリア「さあ 目をあけろ」

フィガロは自分の婚約者スザンナが伯爵に心変わりしたと思い込み、女性に対する不信の気持ちを堰を切ったように歌う。

“さあ目をあけろ 愚かな男たちよ よく見てみろ 女とはどういうものか!
女どもは魔女 俺たちを魔法で苦しめる 女どもは人魚 俺たちを溺れさせる
女どもはフクロウ 俺たちにツメを立てる 女どもは彗星 俺たちから光を奪い輝く
とげのあるバラ 美しいキツネ おとなしそうなクマ ずる賢いハト
人を欺き苦しませるのは お手のもの 平気で嘘をつき 愛など感じない 憐れみも感じない この辺でやめておこう 皆さんもうご存知のことだから”


第4幕 九重唱「みんな来い」

この曲はオペラのフィナーレ。
婚約者スザンナを理不尽に奪おうとする伯爵に、フィガロたちは罠をかけた。
伯爵はスザンナに呼び出され、逢引のために夜の庭にやってくる。しかし、現れたのはスザンナに変装した伯爵夫人だった。不実がばれた伯爵は、夫人に平謝り。

伯爵: 妻よ 許しておくれ
伯爵夫人: 私はあなたよりも素直です 「はい」と申しましょう
全員: ああこれで皆満足だ

伯爵夫人のとりなしですべて丸く収まり、全員の大合唱でフィガロたちの結婚式を祝う。

“欺きと浮気と気まぐれの1日 でも愛だけは満足と喜びに終わる
さあ楽しく踊ろう 花火を上げて 行進曲に合わせて楽しく祝おう!さあ皆で祝おう!”


1787年1月、モーツァルトは「フィガロ」人気に沸くプラハに到着した。
街中でフィガロの旋律を耳にして、モーツァルトは成功を実感する。

モーツァルトはプラハ滞在中、ブレッフェルド邸で開かれた舞踏会に招待された。
皆がフィガロの音楽に合わせて踊る様子がモーツァルトを喜ばせた。

スタボフスケー劇場でモーツァルトは自ら「フィガロの結婚」の指揮をし、熱狂した観客の大喝采に包まれた。

【第124回】オペラ「フィガロの結婚」 K.492 第3幕

2006年07月27日 | プラハ
1786年 モーツァルト30歳の作品。

第3幕 アリア「楽しい思い出はどこへ」
ソプラノ: マーガレット・プライス
指揮: リッカルド・ムーティ
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

第3幕 二重唱「そよ風によせる歌」
ソプラノ: キャスリーン・バトル  マーガレット・プライス

出演: フランチェスカ・ペダーチ (声楽家)


 ~ プラハ初演 ~

第3幕 アリア「楽しい思い出はどこへ」

このアリアでは、伯爵夫人が夫の不実を嘆きつつも彼を愛する気持ちを歌う。

“楽しい思い出はどこへ行ったの あの嘘つきの唇が誓った言葉はどこに消えたの
ああせめて いつも悩み 愛し続けている私の一途な気持ちが あのひどい人の心を
変えてくれる望みでもあれば”

この後伯爵夫人は侍女スザンナと組んで夫への仕返しを企む。
スザンナから誘うふりをして手紙で伯爵を夜の庭園に呼び出そうとする。
伯爵夫人はその手紙の文言をスザンナに伝え、書き留めさせる。


第3幕 二重唱「そよ風によせる歌」

伯爵夫人: やさしいそよ風が    スザンナ: そよ風が
伯爵夫人: 今夜は吹くことでしょう スザンナ: 今夜は吹くことでしょう
伯爵夫人: 松の木の陰に      スザンナ: 松の木の?
伯爵夫人: 松の木の陰に      スザンナ: 松の・・・木の陰に・・・
伯爵夫人: こう書けば伯爵ならわかるでしょう スザンナ: そうですね、おわかりでしょう
2人: きっとおわかりでしょう
伯爵夫人: そよ風によせる歌    スザンナ: やさしいそよ風が
伯爵夫人: 今夜は吹くことでしょう スザンナ: 松の木の陰に吹くことでしょう
伯爵夫人: あとはもうわかるでしょう スザンナ: そうですね、おわかりでしょう


1786年冬、「フィガロの結婚」のプラハ初演がスタボフスケー劇場で行われた。
一流の演奏家が集められた公演は、大成功を収めた。
「フィガロの結婚」はプラハで上演を重ね、ウィーンを上回るほどの人気を博した。
プラハの貴族や音楽家たちはモーツァルトに招待状を送る。
1787年1月、熱意に心動かされたモーツァルトはプラハへと旅だった。

【第123回】オペラ「フィガロの結婚」 K.492 第2・3幕

2006年07月26日 | ウィーン
1786年 モーツァルト30歳の作品。

第2幕 二重唱「早く戸をあけて」
ソプラノ: キャスリーン・バトル
メゾ・ソプラノ: アン・マレイ
指揮: リッカルド・ムーティ
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

第3幕 二重唱「ひどいやつだ」
ソプラノ: キャスリーン・バトル
バリトン: ヨルマ・ヒュンニネン

第3幕 アリア「ため息をついている間に」
バリトン: ヨルマ・ヒュンニネン

出演: 鮫島由美子 (声楽家)


 ~ アンコール ~

第2幕 二重唱「早く戸をあけて」

「フィガロの結婚」はそれまでのオペラと比べてアンサンブル(重唱曲)が格段に多く、劇の進行中、重要な役割を担っている。
この早口の二重唱は、伯爵の怒りを買い窓から逃げようとする小姓ケルビーノと、それを止めようとするスザンナとのやりとり。

スザンナ: ケルビーノ お願いだからやめて
ケルビーノ: 植木鉢をひとつふたつ壊すだけだよ
スザンナ: こんな高いところから飛ぶなんてやめて
ケルビーノ: 伯爵に見つかったら殺される!
        行かせて 火の中にでも飛び込むさ じゃあね!
スザンナ: 死んじゃうわ!ああ神様 やめてお願い


第3幕 二重唱「ひどいやつだ」

この曲はスザンナと伯爵の二重唱。スザンナは伯爵の逢引の誘いに応え、屋敷の庭で会う約束をする。それは浮気な伯爵をこらしめようという、伯爵夫人とスザンナの罠だった。
そうとは知らず喜ぶ伯爵。うそを通すスザンナ。2人の駆け引きが歌で表現される。

伯爵: 喜びで胸がいっぱいだ
スザンナ: (だんな様を騙して悪いけど、恋とはこんなものでしょう)
伯爵: では庭に来てくれるかい?  スザンナ: そうお望みでしたら
伯爵: 裏切らないね?  スザンナ: いいえ、裏切りません
伯爵: 来てくれるね?  スザンナ: いいえ!
伯爵: 「いいえ」だって?  スザンナ: いえいえ 参ります
伯爵: 来てくれるね?  スザンナ: はい
伯爵: 来ない?  スザンナ: はい!
伯爵: 「はい」だって?  スザンナ: いえいえ 参ります

うまくいくかに見えたスザンナたちの策略。しかしこの後、事態は振り出しに戻る。


第3幕 アリア「ため息をついている間に」

スザンナと逢引の約束をして有頂天になっていた伯爵だが、スザンナと婚約者のフィガロの会話を偶然耳にして不信を抱く。
この曲は従僕フィガロの幸せを許せないと怒る伯爵のアリア。

“ため息をついている間に召使いの幸福を眺めるのか 私の宝物はあいつのものになるのか 私の気を引いておきながら私への愛はないあの女が あんなやつと愛の手で結ばれていいものか
だめだ お前を幸せにはさせない 私に苦しみを与えた上に主人を笑い者にするなんて
そもそもお前にできるはずがない 
復習する望みだけが私の魂を慰め 私を喜ばせるのだ”

モーツァルト待望のオペラは人々の拍手に包まれ、歌が終わるごとにアンコールを求める声が響いた。

【第122回】オペラ「フィガロの結婚」 K.492 第2幕

2006年07月25日 | ウィーン
1786年 モーツァルト30歳の作品。
「フィガロの結婚は、自分の従僕フィガロの婚約者を誘惑する伯爵を、伯爵夫人と召使いが皆でこらしめようとする喜劇。

第2幕 アリア「愛の神様 慰めの手を差し伸べて」
ソプラノ: マーガレット・プライス
指揮: リッカルド・ムーティ
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

第2幕 アリア「恋とはどんなものかしら」
ソプメゾ・ソプラノ: アン・マレイ

出演: 桂小米朝 (落語家)


 ~ 愛のアリア ~

第2幕最初のアリアで、伯爵夫人は愛する夫の不実を嘆く。

“愛の神様 慰めの手を差し伸べてください 私の苦しみとため息に
  愛しい人を返してください さもなければせめて私を死なせてください”

メゾ・ソプラノが演じる少年ケルビーノは、年上の女性に憧れる恋心を歌う。

“恋とはどんなものかしら 知っているご婦人がた ご覧ください 
僕の心は恋をしているのでしょうか この感じがどんなものかお話します
僕には初めてのことで どうしたらいいか分からないのです 憧れの感情に満ちています
時には喜びに 時には苦しみに 凍ったかと思えばすぐ燃え上がり そしてまた一瞬のうちに凍ってしまいます 僕はどこかに幸福を求めています でもそれは誰が持っているのか どんなものなのか分かりません 心にもなくため息をつき 胸が高鳴り体が震え 昼も夜も心が安らぎません でもこの苦しみを楽しんでいるのです”

オペラ「フィガロの結婚」には、いくつもの恋愛模様が描かれている。
人々を陶酔させる美しい旋律で、モーツァルトはさまざまな愛を見事に表現した。

【第121回】 オペラ「フィガロの結婚」 K.492 序曲&第1幕

2006年07月24日 | ウィーン
1786年 モーツァルト30歳の作品。
原作はフランスの作家ボーマルシェが書いた話題の喜劇。
舞台は18世紀スペインの伯爵家。従僕フィガロの婚約者が主人の伯爵に誘惑されそうになり、騒動が巻き起こる。

第1幕アリア「もう飛ぶまいぞ この蝶々」は、「フィガロの結婚」を代表するアリアのひとつ。
軍隊行きを命じられ落ち込んでいる恋多き少年ケルビーノを主人公フィガロは蝶に例え、からかって歌う。

“もう飛ぶまいぞ この蝶々。昼夜かまわず飛び回り 女たちを悩ませるのも終わりだ。
さあ兵隊たちの中で ひげ生やし 背嚢しょって 肩に銃 腰に剣 襟まっすぐに 口元きりりと 頭に頭巾と鉄かぶと 名誉はあるが金はない ダンスの代わりに泥の中を行進 野を越え 山越え 大雪でも 猛暑でも ラッパに合わせて 銃や大砲の大合奏 美しい羽飾りの帽子 長い巻き毛 派手な服 女のようい染まる頬 全部お別れだ
ケルビーノ進め! 軍の勝利と栄光に向かって”

指揮: リッカルド・ムーティ
演奏: ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
バリトン: トマス・アレン
出演: 宮本亜門 (演出家)


 ~ 大作オペラ ~

1786年5月「フィガロの結婚」は当時ミヒャエル広場にあったブルク劇場で幕を開ける。
当時モーツァルトはピアニストとして活躍するかたわら、オペラ作曲への情熱も衰えることなく満を持してこの作品に取り組んだ。

原作はボーマルシェの喜劇だが、しかし貴族社会を痛烈に批判する“過激な”内容のためパリでは上演禁止。ウィーンでも皇帝ヨーゼフ2世が上演を禁止していた。
オペラの題材を探していたモーツァルトは100冊以上の戯曲を読み、この作品に出会った。
モーツァルトは宮廷お抱えの台本作家ダ・ポンテに相談を持ちかける。
皇帝ヨーゼフ2世の信頼も厚かったというダ・ポンテは、皇帝を説得し上演許可をとりつけたという。

ダ・ポンテ “陛下ご自身がご臨席なさる劇場にふさわしくないものはすべて削りました。音楽の方も極めて美しく仕上がってございます” ダ・ポンテ「回想録」より。

ヨーゼフ2世 “よろしい。音楽についてはおまえの趣味を、中身についてはおまえの判断と良識を信用しよう”

モーツァルト30歳。躍動する音楽が人間ドラマを引き立てる傑作オペラが誕生した。

【第120回】ピアノ協奏曲 第23番 イ長調 K.488 第2楽章より

2006年07月21日 | ウィーン
1786年 モーツァルト30歳の作品。
現在最も広く親しまれているピアノ協奏曲のひとつ。
第2楽章にあらわれる陰影に富んだメランコリックな調べは、音楽家として名を馳せるモーツァルトにやがて訪れる人生の翳りを暗示するかのように愁いを秘めて流れ続ける。

ピアノ・指揮: ジャン=ベルナール・ポミエ
管弦楽: ワルシャワ・シンフォニア
出演:  小菅優 (ピアニスト)


 ~ メランコリー ~

1786年3月、モーツァルトは春の予約演奏会に向けて新たなピアノ協奏曲を完成させる。
完成から5ヶ月後、この曲をめぐって思わぬ展開があった。

ドイツ南西部に位置する風光明媚な地ドナウエッシンゲン。1786年夏、新たな収入の道を模索していたモーツァルトはこの曲を遠方のゆかりのある貴族へ提供することを思いつく。
ドナウエッシンゲンの領主で音楽愛好家のフェルステンベルク侯爵は、かつてこの地を訪れたモーツァルト親子と出会い、当時10歳のモーツァルトの才能に驚き、親子を手厚くもてなした。そして別れに際して涙を流して悲しんだという。
モーツァルトはそんな思い出からか、知人を介して侯爵に曲の提供を申し出る。

“もし侯爵様がお好みの曲を注文してくださるお気持ちがあれば、そしてなにがしかの年俸を与えてくださるならば、いっそう早くより本腰を入れてご期待にそえることでしょう” 
(モーツァルトの手紙 1786年8月8日)

侯爵はモーツァルトの申し出を受け入れ、「ピアノ協奏曲第23番」を含む3曲の楽曲を購入する。

【第119回】ピアノ協奏曲 第24番 ハ短調 K.491 第3楽章より

2006年07月20日 | ウィーン
1786年 モーツァルト30歳の作品。
この年の4月に当時のブルク劇場で初演されたと言われる。
規模の大きなオーケストラと独奏ピアノが見事に融合し、密度の高い充実した作品に仕上がっている。
フンメルもこの曲を好み、彼が演奏した即興部分が楽譜として今も残されている。

ピアノ・指揮: ミハイル・プレトニョフ
管弦楽: ドイツ室内フィルハーモニー管弦楽団
出演: 假屋崎省吾 (華道家)


 ~ フンメル ~

1786年はじめ、モーツァルトのもとにある父子が訪れる。
幼いころから音楽の教育を受け、ピアノやヴァイオリンの才能を示すヨハン・ネポムク・フンメルと、その父である。父親はフンメルを弟子にしてほしいとモーツァルトに願い出た。

モーツァルトはフンメルをピアノの前へ座らせ、その7歳の少年が奏でるバッハにじっと耳を傾けた。次にモーツァルトは自分の作品をフンメルの前に置く。フンメルの初見演奏の実力を見極めるためだった。
モーツァルトはその演奏を聴くと喜びで顔を輝かせ、フンメルの父のもとへ駆け寄りこう言った。

“この子をぜひ私のところへ置いていきなさい。私が目を離しません。この子はものになりますよ” (フンメルの父の回想より)

フンメルはモーツァルトの弟子として2年間共に暮らし、音楽家としての才能を開花させていく。

モーツァルトが尊敬した作曲家ヨーゼフ・ハイドンもまた、フンメルの実力を高く評価した。
後年ハイドンはエステルハージ家の楽士長を退くにあたって青年になったフンメルを後任に選んだ。フンメルはピアノ曲や室内楽曲など数々の名曲を残し、ヨーロッパを代表する音楽家として活躍した。

【第118回】音楽劇「劇場支配人」 K.486 第3曲より&第4曲

2006年07月19日 | ウィーン
1786年 モーツァルト30歳の作品。
第3曲は、“プリマ・ドンナ”の座をめぐって競い合うふたりのソプラノ歌手の歌。
 
ヘルツ夫人  “プリマ・ドンナは私よ!”
ジルバークランク嬢  “プリマ・ドンナは私よ!”
ヘルツ夫人&ジルバークランク嬢  “プリマ・ドンナは私よ!”
男性歌手  “なぜふたりはそんなに優劣を決めたがるんだい?”
ヘルツ夫人&ジルバークランク嬢  
  “私の歌声を聴いた人たちはみんな素晴らしいって言ってくれるから”
男性歌手  “みんなにそれぞれ素晴らしさがあるじゃないか”

第4曲では、優劣は自分ではなく聴衆が決めるものだと気づき、驕りを捨てて努力をしなければならないと皆で歌う。

三重唱  “芸術家は自分を輝かせるため、努力しなければならない
       芸術家が驕りを覚えると、その輝きを失ってしまう”
男性歌手  “みんながひとつにまとまることが、私はもっとも美しいものだと思う。
       ただ単なる個人よりも、みんなひとつにまとまってこそ美しい”
ヘルツ夫人  “芸術家が成し遂げたあらゆるもの それは本当に素晴らしいものだわ
        誰が最も賞賛に値するかを聴衆に決めてもらいましょう”

ソプラノ: エッダ・モーザー
ソプラノ: マディ・メスプレ
テノール: ニコライ・ゲッダ
バリトン: クラウス・ヒルテ
指揮: エバーハルト・シェーナー
演奏: バイエルン国立管弦楽団
出演: 里中満智子 (漫画家)


 ~ ソプラノ競演 ~

音楽劇「劇場支配人」は、1786年2月7日にシェーンブルン宮殿オランジュリー(大温室)で初演された。

歌手ヘルツ夫人役は、アロイジア・ランゲ。
そして歌手ジルバークランク嬢役は、カタリーナ・カヴァリエリ。

モーツァルトとサリエリ、ふたりの音楽劇は、ウィーンのケルントナートーア劇場でも上演された。そしてふたりの作品には聴衆から惜しみない拍手が送られた。