フィールドワーク通信

広島を拠点にフィールドワーク。カンボジア、インドネシア、市民まちづくり

JHP学校をつくる会0906

2006-01-22 21:34:00 | カンボジア通信
 実質、残すところあと2日である。この2日はプノンペンの都市調査とNGO訪問が中心になる。NGO訪問は午後からしか予定が入っていないため、午前中は2日間の調査対象地域を選定するため、まちなかを歩いた。ホテルから西あるいは南側の一帯を歩いたが、5層6層の集合住宅が建ち並ぶのは1kmほどの範囲で、それより外は、低層の住宅地となる。2階建てを基本としながら、増築によって3階4階へと建て増しされている例が多く見られる。街区形態も中心部の正方形に近いかたちとは異なり、細長い街区となる。いずれもフランス統治期に計画されたもので、その当時からほとんど変化はない。通りには番号が付され、261番通り、24番通りというように番号で呼ばれる。番号がどういう順番でつけられたのかを考察すると興味深い。必ずしも1筋1筋順番につけられていない。計画の際に認識されていた道のヒエラルキーがわかるし、そのことでフランス統治期の都市計画の詳細に近づけると思う。9時から食事をして、9時半すぎから12時まで歩き回った。調査対象地域を決めるのはなかなか難しいのだが、基準はいくつかある。一つはその地域がその都市における都市居住なり街路形態なりを一般化できるための材料となることである。特異な地域を取り上げてもそれはたまたまその区画がそうであっただけで、その都市全体を語ることはできない。つまり我々はその都市全体を語りたいと思っていて、できれば都市全体をくまなく調査したいのであるが、時間的にも体力的にもそんなことはできないので、どこか一地域を限定して詳細に調査を行い全体を知ろうとするわけである。もう一つの基準は、その地域が魅力的であること。いかに一般化できるための材料が整っていても、魅力的でなければ、調査の意欲が減退する。街路空間の利用状況が魅力的であったり、街路の空間構成が魅力的であったり、住居と街路の関係が魅力的であったり様々であるが、魅力的でないといけない。あと調査のやりやすさというのも基準となる。これはアカデミックにはあまり関係ないといえば関係ないのであるが、危険な地域や地域住民の対応が親和的でない地域では調査をやることは難しい。以上の3点をもとに調査地域を選定するわけであるが、今回は迷った。一般的という意味では今朝歩いた道々がそうであるのだが、2点目の魅力という点では、昨日訪れた中庭をもつ集合住宅のほうが上であった。今回は実質調査期間が1日半しかとれず、次回以降の予備調査と位置づけた。私はNGOヒアリングに赴くため、まちの調査に関しては白石を隊長に任命し、彼に判断を任せることにした。結局、ホテル前の街区を対象に調査を行うことになった。しかし午後は突然の豪雨があり、思うように調査がはかどらなかったようだ。住居平面を5事例採取したと報告をうけた。

 我々ヒアリング班は、JHPの馬さんにお会いした。プノンペン近郊の小学校を視察し、お話を聞いた。突然の豪雨で校庭は水浸しだった。裸足になって歩いた。他のNGOが建設した校舎と比較しながら説明をうけた。主に施工や材料に関する話であったが、廊下と遊具に関して興味深い話を伺えた。廊下を廊下として区切るのではなく、教室と校庭との中間の場所と捉えれば、一般の学校にあるような廊下の壁や廊下脇の花壇は邪魔になるだけなので、ここでは子どもたちが授業が終わってすぐ校庭に飛び出せるように、廊下と校庭の境界に何も設置しないようにしているという。また遊具は、すべて学生?ボランティアによって作られたものだという。木の角材を組み合わせて作成した遊具が置かれていた。話を聞く中で、ボランティアに遊具を作ってもらわないといけないので、プノンペンからあまり離れた地域に学校を建設することが難しいことが語られた。基本的にプノンペン周辺を中心として活動をしているという。中井さんが指摘された校庭の話はなかなか興味深いポイントである。豪雨によって校庭は使えなくなったわけであるが、雨季にはしばしばこういった事態がおこるのではないか。それならば校庭の水はけや排水についての整備も必要とされるのではないかという話である。NGOは学校建設にはかかわるが校庭整備にかかわる例は少なく、また雨季は休みの時期と重なることが多いため、あまり支障をきたさないというのが馬さんの答えだった。最後に馬さんが書かれた『私見~カンボジアでの十三年~』という本を購入しサインをいただいた。帰りの飛行機で読もうと思う。

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2 コメント

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TBありがとうございます。 ()
2006-03-15 19:55:10
はじめまして、TBありがとうございます。

PNHでの調査をされていたとの事、セントラルマーケット(植民地時代の建物)の隣にあるソリア(カンボジアで唯一エスカレーターのある建物)そして、アンコールワットなど、混沌としつつも、歴史を感じさせる建築様式と建築物がカンボジアにあります。まちづくり関連がご専門ですか。広島でまちづくり関連というと、まちづくり計画工房、横川駅のすぐ近く、といえば、恐らくご存知ですね。確か、昨年の在籍されているところからお一人就職されていると思います。これからもよろしくお願いします。リンクさせていただきますね。
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Unknown ()
2006-03-16 11:38:03
となりの研究室から行きました。うちのも面接していただきましたが、コミュニケーション能力不足で、あえなく不採用です。



研究室のURLは、

http://design-s.cc.it-hiroshima.ac.jp/wakita/

です。



よろしくお願いします。
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