松永和紀blog

科学情報の提供、時々私事

食の安全と環境「気分のエコ」にはだまされない

2010-04-22 20:35:01 | Weblog
 新しい本が出た。日本評論社のシリーズ「地球と人間の環境を考える」の第11巻で、『食の安全と環境「気分のエコ」にはだまされない』だ。

 農薬や化学肥料、地産地消や有機農業、遺伝子組換えなど多岐にわたる話を書いているが、次の2つの疑問が、大きな柱になっている。

(1)環境を守る食料生産というと常に、農薬を減らせ、化学肥料を減らせ、となるが、それは本当か? 現在の農薬や化学肥料の真実は?

(2)「食の安全・安心」と「環境を守る」は両立するように語られるが、それはウソではないか? 過剰な安全・安心こそが、環境負荷を大きくし、エネルギー消費を増大させ、「持続可能な食料生産」の大きな妨げとなっているのではないか?
 
 今、環境を守ると称して行われていることは、表面上は効果があっても多くの場合、トレードオフにより別の環境影響が生じている。安全・安心策は、別のリスクを発生させている。そして、安全・安心策が、環境負荷増大をもたらしている。多くの人はそのことに気付かず、「気分のエコ」「気分の安全」が蔓延している。

 食料生産はそれ自体が、環境破壊、環境負荷。気分に惑わされず、科学的な根拠に基づくほどほどの安全と環境負荷減少への努力のバランスを図りたい。そのことを、さまざまな角度から検証する内容にしたつもりだ。

 多くの方にお世話になり、原稿に対する意見をいただいた。御礼申し上げたい。

 ちまたに溢れる「食の安全」本や、環境本とは、かなり大きく違うと思う。ぜひ、書店でお手に取っていただきたい。

目次
序章 地産地消は環境にやさしくない?
1章 農薬は悪なのか?
2章 化学肥料の大きな影響
3章 肉の消費と食品廃棄が招く日本の汚染
4章 食料生産とエネルギー消費
5章 有機農業では解決しない
6章 「食の安全・安心」か「もったいない」か
7章 遺伝子組換えを拒否できるか
8章 消費者が変えるべきこと
あとがき


日本評論社ページ

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2 コメント

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拝見しました (亀山宏)
2010-05-07 19:52:20
本日、農学部生協にて拝見しました。とても興味深いテーマで、いつも疑問に思っている内容でした。率直におかしいといえる
最近、愛媛県の東予で有名な、しゅうちゃん広場という産直での話題です。
1.店長は値付けをスーパーよりも安くしてくれと指導しているのに、なぜか、出荷者は高値をつけようとしている。お客さんもよく周りを見ているはずなので、いつの日か、高いことに気づいて、買わなく日が来ることを店長は心配しているという。
2.さらに産直位置で危ないこと、エコかどうかより、出荷してくる人が軽トラックなもので、ぶつけてもなんとも思わないとのことだ。せっかく安くていいものを買ったと思って、車のところに帰ってみたら。。。。。頻発しているという。やはり産直市は恐ろしい。
冗談のような話でした。
Unknown (みちはた)
2010-04-25 23:56:32
松永さん
頑張ってますね。頼もしい限りです。連休にでも読みます。おからだ気をつけて頑張ってくださいね。