あれから 4
時間
時の流れは 人の気持ちを変えてしまふ
気がついてみると 遠い夢となっている
「 東京スタイル は、似合わない」
六本木の あの空間に私は存する処がなかった
私に 六本木で存する時間はなかった
あの空間に流れる時間は 私には 似合わない
異質のものだ
でも 反発するわけでなく 挑むわけでもない
ムキ にもならない
曾てのやうに・・・
・・・昭和56年3月15日 流行の六本木にて
西村博之君の結婚披露宴に参加した
ところが なんと
こんな身近で まさか 『 東京スタイル 』 に 浸からうとは
この空間に私は居る所がない
この空間に流れる時間は私に似合わない
一般的儀礼も、所謂 『 付合い 』 も 投げ出したいほどに
私にとって、
自由はどの空間のどの時間に存在するのか
来たる日、
私はきっと自由となって
東京スタイルもない 世間もない
安心した時間の中に居るだらう
がしかし
私はその場所で果して
吾 轍 を懐かしく眺めることができるだらうか
過ぎた時間と曾ての私
「 消えた空間と過ぎた時間 」
時間の経過は 空間をも変えてしまった
曾 私が存在した空間は 時間の経過と共に存在しない
存在したのは 瞬間に於ける空間であり
瞬間の私であった
過ぎた時間は 限りなく 無い
光の能力をもってしても 曾の私を確認はできない
消えた時間は 光をもってしても 追いつけない
・・・昭和56年 (1981年 ) 3月15日
負け残る
伝統を継承するべくか 社会に委ねるか
順するか 逆するか
・・・・・
私は 正統だった
・・・ あれから 5 『 不孝 』 に 続く