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ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

プログラミング教育における面白いゲーム

2014-10-09 11:20:30 | 1
最近,続けて子どもたちにビスケットでゲームを作るワークショップを各地でやってきたので,その感想を少し書きます.

ビスケットは一般的なプログラミング言語から比べると色々な機能がありません.たとえば,数を数えることができません.なので,5匹の敵を倒したら「クリアー」というメッセージを画面に出す,といった普通のプログラミング言語では簡単にできちゃうことが,ビスケットではできません.

もちろん,ビスケットもコンピュータの上で動いていますから,数を数える機能を入れるのは非常に簡単です.1時間くらいのコーディングでできます.というか,実は隠し機能の一つとしてすでに入っています.しかし,あえて見せていません.

一方で「出来ない」ということを売りにするのはすごく難しいのですね.一般的には出来ないより出来た方がいいですから.でも,数を数えるといったことより,面白いゲームを作るということの方が大事な問題だと思うので,あえて入れていません.

面白いゲームとはどういうものか.僕は子どもたちに,「クソゲー」と「ムリゲー」はダメと説明しています.クソゲーというのは,簡単に達成できてしまうもの.逆にムリゲーというのは難しすぎて達成がほぼ無理なもの.その中間が面白いゲームだよ,という説明です.

そこで,バランスをとるとか,コンピュータの外側にルールを作るとかしだすのです.

バランスをとるというのは,ビスケットの場合は簡単で,たとえば弾が飛ぶ速さを速くしたり遅くしたりは,メガネのなかの弾の位置で変えられますが,それだけでちょうど良い難しさのゲームに調整できます.敵の数を増やしたり減らしたり.当ててはいけない障害物を適度に置いたり.この調整の時間がビスケットでのプログラミングの真骨頂ですね.

コンピュータの外側にルールを作るというのは,たとえばトランプのことです.トランプというハードウェアは数字とマークが書かれたカードです.その上で人間が遊ぶルールを決めていろんな遊び方がある.トランプは万能なゲーム装置ですね.ビスケットで作ったゲームも似たような遊びができます.たとえば,ストップウォッチを持って来て,クリアするまでの時間を測るとか,弾を発射した数は自分で数えて一番少ない弾数でクリアした人の勝ちとか.実は,この外側のルールを変えるだけで,クソゲーが面白いゲームになったりします.ルールが外側にあると,自由にハンディをつけられるので,小さい子どもと一緒に遊ぶこともできます.公園で異学年が鬼ごっこをやるときに高学年は片足だけとやるのと同じですね.ルールを全部プログラムで作ってしまったゲームはそうは行きません.

プログラミング教育の題材でゲームを使うという流派の人からすると,プログラミングの重要な概念の一つである数を数えるとか,数の大小の比較とかを教えるために,ゲームのスコアとかハイスコアのプログラムを例にしたくなると思います.そのやり方は否定しませんけど,そんなんで作られたゲームは面白くないでしょう.

そういう「プログラミング直結」な教育はちょっと脇においておいて.まずは,コンピュータで作るゲームの面白さ.プログラムを少し変えるだけでゲームが大きく変わるすごさ.アイデア次第でいくらでも答えてくれる世界の広さ.そんなことを伝えることの方が大事なのではないでしょうか.

あと,ちょっと心配だったのは,昔は放っておいても,子どもたちから面白いゲームが作られました.クソゲー,ムリゲーの説明も不要でした.ゲームに対するリテラシーがあったんだと思います.最近,そういうことが不得意な子どもを少し見かけるようになって来ました.塾で問題を解く勉強ばかりさせられていると,そんな子どもになってしまうかもしれません.時代の変化というより,そういうゲーム禁止の子どもも,プログラミングだから参加するようになってきたということなのかもしれません.そういう子どもたちを前提として,もう少し丁寧に面白いゲームの説明をして行かなきゃならないなと思いました.

ーーーーーーーー 追記
くそげーの定義が間違っているという指摘をいただきました.本文の使い方はヌルゲーと呼ぶべきものだそうです.僕は,子どもたちがそう使っているのを聞いた記憶でてっきり使ってましたが.たしかにクソゲーはもっと広い概念ですね.

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