ビスケットのあれこれ

ビジュアル言語ビスケット(Viscuit)に関するあれこれを書いてゆきます.

「情報の科学的な理解」の入門ツール

2011-11-17 02:17:36 | 1
このブログは同じことを言葉を変えて繰り返し言っているだけなのだが,そういうことが他人を説得する上で大事なんだと.

文科省が提唱している「情報活用能力」は「情報活用の実践力」「情報の科学的な理解」「情報社会に参画する態度」の3つの要素に分かれている.どれもちゃんと学校で教えましょうね,ということだ.

「情報活用の実践力」と「情報社会に参画する態度」は,普通にコンピュータが使えて,普通の大人であれば,多分誰でも教えられるし,それを教えることが重要だということも理解できている.で,そういう本も沢山ある.これらに関する教育への取り組みは,順調に行っていると思われる.

ところが残った「情報の科学的な理解」はどうだろうか.たぶん,これが重要なことだとは薄々感じていても,どんなことなのかを言える人は少ないのではないだろうか.もう少し細かく見ていくと,

情報活用の基礎となる情報手段の特性の理解と,情報を適切に扱ったり,自らの情報活用を評価・改善するための基礎的な理論や方法の理解

とある.わかる人にはわかる感じだね.多くの人にとっては,これらが大事だとはわかるけれど,具体的になにかはわからないので,どれくらいの年齢で教えるべきなのか,言える人は少ないだろう.だから,小学校ではいらないんじゃない,と思われても仕方がない.

僕はいつも言っていることだが,物事には,人生を普通に生きることで自然と獲得できるようなことと,特別にその知識に触れないと獲得できないことがある.前者は,あえて教えなくてもいいのだけれど,自分の経験に基づいて,教えようと思えば教えられる.その方が安全だし,効率がいいし.これが,「情報活用の実践力」「情報社会に参画する態度」のことである.問題は後者「情報の科学的な理解」である.これは,特別にその知識に触れないと獲得できないことである.情報社会は,急速に発展し一部の人たちで作ってきたものであるから,社会の中心にいる一般的には博識だとされている人たちでさえも,「情報の科学的な理解」の知識を持たない人の割合が多いのではないだろうか.

社会的なコンセンサスとしては「情報の科学的な理解」は大事であるけれど,それが何かは僕らは知らない,ということだと思う.社会的な地位のある人に,あなたにはこれが足りないですよ,とはなかなか言えない.明らかにその知識がないと思われるような人が情報活用力の旗振り側だったりするので,余計たちが悪い.

高校が情報科の専門の先生を育成して教えるということは大事なことだと思う.しかし,3本柱の2本が小学校からガンガンやられているのに残り一本は中高で選択でやればいいよ,というのが,問題だと感じている.社会として,その重要さがまったく理解されていない証拠なのである.

さて,ビスケットは「情報の科学的な理解」のための入門ツールである.小学校の総合の時間を1コマ使えば,十分子どもたちに興味を持たせることができる.一度わかれば,後は勝手に興味をもってやってくれるようになる.

もちろん,ビスケットを使って他の柱も教えられるけれど,特に創造性を発揮するツールとしても十分であるが,それらは他の方法でも教えられる.しかし,「情報の科学的な理解」を教えることができるのはビスケットだけである.子どもにプログラミングを教えるツールはあるが,それらはビスケットと比べれば狭い科学的な理解であるし,そこまで狭いと,あえて小学校で教えなくても,選択でいいんじゃない,となりかねない.