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【岡山大学】がんと免疫の戦歴と戦況を評価する技術が実用化に近づく ~網羅的な自己抗体バイオマーカー測定の定量性を保証するシステムを構築~

2022-06-07 22:17:15 | 医療系

2022(令和4)年 6月 2日
国立大学法人岡山大学
http://www.okayama-u.ac.jp/
 



<発表のポイント>

  • がんと免疫の戦いの履歴と活動レベルを、末梢血中のがん抗原・自己抗体バイオマーカーで定量的に評価する技術を完成させました。
  • 自家製陽性コントロール抗体の整備により、定量性の保証が可能になりました。
  • がん免疫治療が奏功した例では、腫瘍退縮に先立ってがん免疫サイクルが活性化することが確認されました。



◆概 要
 国立大学法人岡山大学(本部:岡山市北区津島中、学長:槇野博史)学術研究院ヘルスシステム統合科学学域(工)の二見淳一郎教授と、同大学院ヘルスシステム統合科学研究科博士後期課程の宮本愛大学院生は、不安定で凝集しやすいがん抗原や自己抗原タンパク質を独自に開発した可逆的S-カチオン化法で可溶化し、末梢血中の自己抗体を網羅的に定量評価するとともに、その測定データを保証するための自家製陽性コントロール抗体を整備する一連のシステムを完成させました。

 測定原理は2015年に開発済みでありましたが、臨床で実用化するためには信頼性を保証するバリデーションキットが必要です。本キットの完成で診断薬としての実用化に近づきました。
 


 さらに、がん免疫治療が奏功した例で血清中の自己検体を評価すると、腫瘍退縮が観察される時期よりもかなり早くがん免疫サイクルが活性化して自己抗体が上昇してくる様子が評価されました。がん免疫治療は個人差が大きいことが問題となっていますが、本診断薬を活用すると、がんと免疫の戦いが再開された狼煙を末梢血で鋭敏に評価できる可能性があります。

 本研究成果は、2022年5月4日に「Frontiers in Oncology」 誌に掲載されました。
 

 



◆宮本愛大学院生と二見淳一郎教授からひとこと
 がん治療において注目されているがん免疫療法ですが、治療効果には個人差が大きいという課題があります。我々が開発中のシステムを用いることで、治療効果を早期に予測できると考えています。このシステムの臨床での実用化を目指し、さらに研究を進めていきたいと思います。

宮本愛大学院生と二見淳一郎教授(右)

宮本愛大学院生と二見淳一郎教授(右)

 

  • 宮本愛大学院生は、令和4年度岡山大学科学技術イノベーション創出フェローシップ(通称:OUフェローシップ)タイプB認定者であり、今後の活躍が期待されています。
    OUフェローシップは、認定者に対し、フェローシップ(研究奨学金)として研究費(年間40万円~110万円)・生活費相当の支援金(年間180万円)を支給するとともに、さまざまな取り組みで研究力向上とキャリアパス確保を支援する制度です。
    詳細は以下のURLを参照してください。
    https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/kenkyusha/ou-fellowship/



◆論文情報
 論 文 名:Engineering cancer/testis antigens with reversible S-cationization to evaluate antigen spreading
 掲 載 紙:Frontiers in Oncology 12:869393 (2022)
 著  者:Ai Miyamoto, Tomoko Honjo, Mirei Masui, Rie Kinoshita, Hiromi Kumon, Kazuhiro Kakimi, Junichiro Futami
 D O I:https://doi.org/10.3389/fonc.2022.869393
 U R L:https://www.frontiersin.org/articles/10.3389/fonc.2022.869393/full


◆研究資金
 本研究は、JST大学発新産業創出プログラム(START)(JPMJST1918)および特別電源所在県科学技術振興事業補助金(岡山県)の支援を受けて実施しました。


◆詳しいプレスリリースについて
 がんと免疫の戦歴と戦況を評価する技術が実用化に近づく~網羅的な自己抗体バイオマーカー測定の定量性を保証するシステムを構築~
 https://www.okayama-u.ac.jp/up_load_files/press_r4/press20220527-4.pdf


◆参 考
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学学域(工学部・化学・生命系)蛋白質医用工学研究室(二見研究室)
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/proteng/
・岡山大学大学院ヘルスシステム統合科学研究科
 https://www.gisehs.okayama-u.ac.jp/
・岡山大学 工学部
 https://www.engr.okayama-u.ac.jp/


◆参考情報
・「岡山大学科学技術イノベーション創出フェローシップ(OUフェローシップ)」
 https://www.orsd.okayama-u.ac.jp/kenkyusha/ou-fellowship/
・【岡山大学】令和4年度「岡山大学科学技術イノベーション創出フェローシップ」(OUフェローシップ)認定証授与式を挙行しました
 https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000654.000072793.html
・国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)「次世代研究者挑戦的研究プログラム」
 https://www.jst.go.jp/pr/info/info1519/index.html
・文部科学省「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」(文部科学省)
 https://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/fellowship/index.htm

 

岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)

岡山大学津島キャンパス(岡山市北区)



本件お問い合わせ先
 岡山大学 学術研究院 ヘルスシステム統合科学学域(工学部 化学・生命系)教授 二見淳一郎
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中3-1-1 岡山大学津島キャンパス 工学部6号館 460室
 TEL:086-251-8217
 https://www.okayama-u.ac.jp/user/proteng/

<岡山大学の産学官連携などに関するお問い合わせ先>
 岡山大学研究推進機構 産学官連携本部
 〒700-8530 岡山県岡山市北区津島中1-1-1 岡山大学津島キャンパス 本部棟1階
 TEL:086-251-8463
 E-mail:sangaku◎okayama-u.ac.jp
     ※ ◎を@に置き換えて下さい
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国立大学法人岡山大学は、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」を支援しています。また、政府の第1回「ジャパンSDGsアワード」特別賞を受賞しています

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https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000700.000072793.html


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