お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

おじいちゃんは その昔・・・

2009-06-23 | about 英語の絵本

Song and Dance Man

孫たちがおじいちゃんの家に遊びに来ました。

おじいちゃんはねぇ、今は年とってすっかりおじいちゃんになってしまったけれど、若いころにはボードビルで歌って踊っていたんだよ・・・。歌って、踊ってたの? 本当? 親から聞いた話に孫たちは興味津津。ねぇねぇおじいちゃん、昔ダンスしてたことがあるの? 歌手だったの? ねぇねぇおじいちゃん・・・?

おじいちゃんはちょっと困ったような、照れたような表情で天井裏の小さな部屋にに連れて行ってくれました。そこには、大きなツヅラが置いてありました。好奇心いっぱいのぞいてみると、ツヅラの中には、おじいちゃんの昔のコスチュームがいっぱい!

わぁ本当だったんだ! おじいちゃん、ダンスしてたことがあるんだね! 歌手だったんだね! ねぇねぇ踊って見せて! 歌ってきかせて!

おじいちゃんは、いっそう照れた表情になりましたが、ツヅラからシルクハットとステッキを取りだすと、それをゆっくりと身につけて・・・、歌いながら踊り始めました。その瞬間、孫たちは呆気にとられました。タップを踏みながら、踊っているのは、もうさっきまでのおじいちゃんではありません。ボードビルの芸人さんそのものです。

すごい、すごいよ、おじいちゃん!

やがて踊り終わると、おじいちゃんは、また元のちょっと照れた表情のおじいちゃんになりました。さぁさぁ、これで、もうお終いだよ。

もっと観たかったなぁ、もっと踊ってよぉ・・・いやいや、もうお終いだよ。皆でがやがやと階段を降りて居間に戻ります。孫たちを廊下に出すと、おじいちゃんは最後に廊下に出て、静かに振り返って天井裏に通じるドアをそおっとそおっと静かに閉めました。

おじいちゃんもおばあちゃんも、もともと、おじいちゃんやおばあちゃんだったわけではありません。カレン・アッカーマン(Karen Ackerman)の素敵なお話に、まるで往年のおじいちゃんの人生をほうふつとさせるかのような、明るい色づかいの、でも、どこかにほんのりペーソスの漂うステファン・ガメル(Stephen Gammell)のイラストがぴったりマッチした絵本"Song And Dance Man"です。


コメント
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