お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

アメリカ版「子ども電話相談室」

2009-06-08 | from Silicon Valley
Source: K. Murphy, Associate Press

ノースキャロライナ州が無料で提供する電話相談のホットラインは、ティーンエイジャーが携帯電話から送ってくるテキスト・メッセージであふれかえっています。

「セックスの前にシャワーを浴びると妊娠しにくくなるって、ホント?」
「男の子のあれって、ふだんはシワシワなものなの?」
「どうして男って、女の子と寝るのがクールだと思って、あちこちに言いふらすのかしら?」

ホットラインに寄せられた質問には、必ず24時間以内にテキストメッセージでの回答が質問者の携帯電話に直接に返信されることになっています。

質問に答えているのはノースカロライナ州ダーラムに本拠を置く「青少年の妊娠予防キャンペーン」the Adolescent Pregnancy Prevention Campaign of North Carolina のボランティアメンバーたち。回答者はもちろん大人ですが、回答も匿名が原則。回答者は、質問に対しては善悪の批判を交えないで淡々と単刀直入に答えること、と決められています。

今やティーンエイジャーにとってもっとも身近で使いやすいツールは携帯電話。だったら性教育にも携帯電話を活用しない手はない、というわけで始められたノースキャロライナ州のこの試みが、いま全米で注目を集めています。

アメリカでは、ティーンエイジャーのセックス、その結果としての望まない妊娠や性病への罹患が長いこと大きな問題になってきました。先の大統領選挙キャンペーン中にも、共和党の副大統領候補サラ・ぺイリンさんの10代の娘さんが妊娠していることがメディアの内外でさまざまに議論を呼び起こしたことは記憶に新しいところです。

問題がもっとも深刻だったのは1990年前後のことで、たとえば1996年のユニセフの統計では、アメリカはいわゆる西欧先進諸国中で10代の妊娠率がもっとも高く、15-19歳の女性の出産・中絶経験者数の年間合計は対象人口1000人に対し86でした。他の国々、たとえばオランダの13、スウェーデンの26、オーストラリアの44、イギリスの51などに比して、アメリカは圧倒的に高い数値だったことがわかります。

以来、連邦政府も州政府も、10代の(望まない)妊娠率を下げるため、官民協力しての性教育に苦心・努力してきました。確かに全米平均の数値は改善しているようですが(参照Guttmacher Institute "U.S. Teenage Pregnancy Statistics : National and State Trends and Trends by Race and Ethnicity"September, 2006
http://www.guttmacher.org/pubs/2006/09/12/USTPstats.pdf)、しかし、ニューヨークタイムス紙によれば(5月3日付Sunday Styles)10代の妊娠率の高さで現在全米では9番目といわれるノースキャロライナ州では、2007年の15-19歳の女子の妊娠件数は全州合計で19.615件、当該年齢の女子1000人に対し63で、依然として「低い」とは言いがたい数値です。

携帯電話相談導入の効果のほどが注目されます。




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