お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

21世紀の「若者よ、街へ出よう!」

2009-06-03 | from Silicon Valley

Source: www.flickr.com

グーグルCEOのエリック・シュミットがペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の卒業式で講演しました。

「技術の進歩は素晴らしい」とエリックは親しみのある軽妙な口調で学生に語りかけました。「僕らの世代はニュースは新聞で読んだ。新聞、憶えてるだろ?でも君たちグーグル世代は、TwitterやBlogでニュースを読んでる。僕らはVCR世代で、テープに映像を記録した。でも君たちはYouTubeを使ってる。僕が大学を卒業した当時、…というのはほぼ40年前だけど、僕らは電話ボックスを使ってた。君たち、電話ボックスなんて憶えてるかい?君たちは携帯電話(cell phone)を持ってるよね。それだけじゃない。僕たちは、写真はカメラで撮ったし、どこかに出かけるときには紙の地図を見てたし、音楽はトランジスタラジオで聴いてた。君たちはこれを全部携帯電話でやってるんだ。技術革新ってすごい、よね!」

そう、あの個性の強い若者集団のグーグルを見事に率いて、企業として整えIPOさせたエリック・シュミットは、創業者2人のまさに「親の世代」にあたります。シリコンバレーの底力はこういう「世代のフュージョン」が見事に実現できるところにあります。

さて、若い世代に語るにはユーモアも欠かせません。

「僕らは学生時代の『恥ずかしいこと』はちゃんと隠しといたけど、君たちは、何でも記録して、何でもYouTubeやFace Bookにアップして公開しちゃうんだよね。僕は、30年後の君たちが、いま自分たちが残している記録を見たときに、いったいどう思うのだろうかと、いつも興味があるんだ。ぜひ知りたい。いまから楽しみだよ!」の発言には会場に爆笑がわきました。

聴衆を沸かせたあとは本題。さまざまな先端技術の例を引いて「情報を持つことは力」と強調し、情報技術の発達によって誰もが情報へのアクセスが容易にできるようになり、その結果、あまねく情報が行きわたれば「世の中の格差を縮め、ひとを平等にする」ことができる、と語りました。エリック率いる検索エンジンの雄グーグルがいかに人類社会に貢献しているか、さりげなく宣伝?

ところが意外なことに、エリックは続けて「(人生について真剣に考えるときには)コンピュータを消すべきだ!」と語ったのです。

「君たちは"未来"のために生きるんだ。それは、君たちが本当に、本当に大事だと思うもののために生きることでなくちゃいけない」と語りかけたエリックは、そのためには「言いたくないけど、君たちは、コンピュータを閉じ、携帯電話を切らなくちゃだめだTurn off your computer and turn off your cell phone」と断言したのです・・・会場が一瞬しんとしました。

バーチャルな情報技術で世界をリード、どころか、時に世界を支配しているのではないかとまで思われる巨大企業のトップの意外な発言。

エリックは続けて「電話もPCも切って、君たちの周りにいる人々に実際に会い、その人たちとじかに話して、その人たちを本当に知ることが大切なんだ」と語り、さらに「世界中どこでも人は皆同じ。驚くばかり同じことに悩み、同じことを考えている」と語り、そのことをリアルに理解することが大事だと強調し、そして「自分に孫ができて、その子が生まれて初めて歩き出す、その最初の一歩に手を貸す。そういう(人間同士のふれあいから生まれる)喜びに勝るような喜びはないと思う」と話を結びました。

若者よ、コンピュータを閉じ携帯を切って、街へ出よう!

かつて日本で、若者よ「書を捨てよ、街へ出よう」と言ったのは寺山修司でした。同名の著書の刊行は1967年。

あれから40年余。時代は21世紀に、メディアは紙からコンピュータに変わりましたが、しかし、ひとがひととして生きる意味を学び人生の真理にふれるには、リアルな生身のひととのふれあいが何よりも大切、ということに何ら変わりはないようです。




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