お母さんと読む英語の絵本

読み聞かせにぴったりな英語絵本から、米国の子どもたちの世界をご紹介
子どもをバイリンガルに…とお考えのお母さんに

カン違い・行き違いがおかしい"笑える"絵本

2009-06-04 | about 英語の絵本

Amelia Bedelia

アメリア・ベデリア(Amelia Bedelia)は、20冊以上ものシリーズ絵本のタイトルであり、また主人公の名前です。今日ご紹介するのは、これらのシリーズの最初の絵本で、タイトルもズバリ"Amelia Bedelia"。1963年刊行の、ペギー・パリシュ(Peggy Parish)作、フリッツ・ジーベル(Fritz Siebel)画の作品です。

Amelia Bedeliaは家政婦さん。実に気のいい働き者ですが、英語力がやや不十分なのに思い込みが激しくて、そのためにまったくのカン違いから数々の派手な失敗をします。

シリーズ最初の一冊では、Amelia Bedeliaが(おそらく)はじめて家政婦さんの仕事につきます。雇ったのはロジャーズ夫妻。ロジャーズ夫人はAmelia Bedeliaに仕事のリストを渡して外出しました。

リストには、
putting out the light(灯りを消す),
dusting the furniture(家具の埃をはらう),
drawing the curtain (カーテンを閉める)
などなどのメモが・・・。

ところが、Amelia Bedeliaは一生懸命メモを見て、
電球をはずし、
家具に埃をふりかけ、
カーテンの絵を描いた・・・のです。

帰宅したロジャーズ夫人は、Amelia Bedeliaのやったことに烈火の如く怒りますが・・・留守中にAmelia Bedeliaが焼いたレモンメレンゲパイを一口食べたとたん・・・あまりの美味しさに、怒りを忘れてしまいました!このパイづくりの腕のおかげでAmelia Bedeliaはクビにならずにすみました。

やがて、Amelia Bedeliaはすこしずつ"ロジャーズ夫人の英語"をおぼえ、ロジャーズ夫人はひとつずつ"Amelia Bedeliaの英語"を覚えました。今ではロジャーズ夫人はdust the furniture というかわりにundust furnitureと言い、draw the curtainというかわりにclose the curtainと言ってます・・・というお話。

Amelia Bedeliaは、作者のペギーがカメルーンに住んでいた時代に、ペギーのところに来ていた家政婦さんが実在のモデルだといわれています。共通言語にネイティブでない使用人と雇い主の言葉の行き違いはままあることですが、Amelia Bedeliaはいかにもいかにもの実感あふれるリアルな行き違いの例ばかりで、しかも邪気のない可笑しさ!でも、Amelia Bedeliaの失敗は相当なものばかりですので、読み手は笑ってばかりもいられずに、ハラハラ、ドキドキ。子どもも大人も大いに楽しめます。

底抜けに明るくて邪気がなく、根っからそそっかしくて‥‥皆に愛されているというあたり、Amelia Bedeliaはちょっと日本のサザエさんをほうふつとさせるキャラクターかもしれません。

アメリカでは、特にカリフォルニアでは、居合わせたおとな全員が誰一人英語にネイティブではないという場面もよくあります。私のうちでも、私だけでなく、大家さんも、娘の幼稚園の先生も、お掃除に来てくれるお手伝いさんも、ガードナーさんもみな母国語が別にあり、誰にとっても英語は外国語という関係でしたから、Amelia Bedeliaのお話はどれも他人事ではありませんでした>笑!

言葉の行き違い、カン違いなどの可笑しさがわかる年頃が、まさに読みごろの絵本です。うちの娘は小学校一年生から読み始めて、小学校の間ずっと飽きることなく繰り返し読んでいました。



コメント (1)
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