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上原正稔日記

ドキュメンタリー作家の上原正稔(しょうねん)が綴る日記です。
この日記はドキュメンタリーでフィクションではありません。

沖縄人とは何か ─米人医師の分析─ 1

2013-05-05 09:34:14 | 沖縄人とは何か ─米人医師の分析─

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5月30日に結審があります。 

徳永弁護士も手弁当で支援して下さっていますが、 

打ち合わせ等をするにも交通費等の出費を無視できません。 

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【名  義】  サンゼンカイ
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【名  義】  サンゼンカイ 


これから始まる物語は2006年11月14日から12月1日に琉球新報で掲載された「戦争を生き残った者の記録」の第10話(全11回)を加筆修正したものです。

 

─ 日本人は好戦的であるがおとなしく、野蛮であるが美を愛し、不遜であるが礼儀正しく、頑固であるが順応性があり、勇敢であるが臆病であり、保守的であるが進歩的であり、従順であるが反抗的である ─

一九四四年民俗学者ルース・ペネディクトは日本に一度も訪れることなく、この日本人の矛盾する性格を「菊と刀」という傑作で見事に解き明かした。だが、この矛盾する性格は明らかに「沖縄人」や「琉球人」にはあてはまらない。

筆者はこれまで戦争を「人間が試される究極の舞台」として「沖縄人」あるいは「琉球人」とは何か、そして「自分は何者か」つまりアイデンティティーを求め続けてきた。だが、自分を語ることも知ることも難しい。というのも、人間は白分を正当化したり、果ては美化したりしがちだからだ。

そんなわけで、筆者はアメリカ人あるいはアメリカ兵に客観的に「沖縄人そして筆者自身」を語らせてきた。筆者が伝えるアメリカの記録は沖縄人そして筆者自身について語っているのだ。

一九四六年七月一日付の「沖縄海軍軍政府の記録」は冒頭で沖縄人の民族性について次のように記している。

「歴史的には、沖縄人は誇り高く、独立した民族である。一千年の歴史文献がそれを裏付け、自らの王朝による東洋の小宇宙を作り上げ、東洋諸国と広く貿易を交わし、外交関係を築き繁栄し、隣国が羨望するほどの独自の文化を開花させてきた。一八七九年日本帝国の一県となっても沖縄はその文化の誇りと香りを失うことはなかった」

 このことは、一八九六年宣教師のウィリアム・ファーネスの祈りの言葉が裏付けている。

─ 日本の文明開化の大波が押し寄せ、世界の競争と紛争の大波がその岸を洗わんとする中、守礼の心がいつまでも生き残るように祈る。そして、守礼の邦の名に価しない旅人は誰であれ、守礼の門をくぐることなかれ ─

「海軍軍政府の記録」とファーネスの言葉は「筆者の思い」を的確に伝えている。だが、これは「沖縄人そして筆者自身」が一体何者か分析をしているわけではない。

今、筆者の目の前に「戦時下の沖縄人の心理分析」というタイトルの二十ページの報告書がある。著者は沖縄戦の中で数多くの沖縄人負傷者を治療した臨床医師のジェイムズ・クラーク・マローニー海軍少佐である。マローニー医師については詳しいことはまだ何もつかんでいないが、その報告害は極めて客観的に実例を挙げて、「沖縄人はいかなる人間か」分析している。「菊と刀」でルース・ベネディクトが「日本人の正体」を解明したように、マロー二ー医師は「沖縄人の正体」を解明している。いや、それ以上かもしれない。ベネディクトは日本を訪れることもなく「日本人」を本や新聞で分析したが、マロー二ー医師は数多くの沖縄人と接し、治療しているからだ。

さあ、これからマローニー医師の報告書の全容を読者に紹介し、「自分自身」を知る旅に出ることにしよう。

つづく


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