江利チエミファンのひとりごと

江利チエミという素晴らしい歌手がいた...ということ。
ただただそれを伝えたい...という趣旨のページです。

21) 連続TVドラマ・咲子さんちょっと

2005年05月19日 | 江利チエミ(続編)

現・TBSでの連続ドラマ「咲子さんちょっと」のテーマ
  https://www.youtube.com/watch?v=lXQb90S2Wms
アップされた方は、テレビのオープニング風に「1コーラス」に編集されたのでしょうか?? PCに強い方はすごいな~!!

本放送では女性数名の声で「咲子さ---ん ちょっと!ちょっと----」の掛け声から主題歌が始まったような気がします。

咲子さんちょっと 



平均視聴率37.7%を記録した江利チエミ主演「咲子さんちょっと」...
 歌手が本格的にロングランで主演した画期的なドラマでした。

>若い嫁の咲子とそれを暖かく包む家庭の人間関係を描いたホームドラマ。咲子役、江利チエミの庶民的で明るい性格が好評。作曲家の夫、京太郎に小泉博。ほかに伊志井寛、葦原邦子ら。以後、シリーズ化され1965年まで断続的に制作された。好評につき劇場映画化もなされた。提供・倉敷レイヨン。
                       (テレビドラマ・データベースさんより引用)


39年・表紙を飾った「咲子さんちょっと」です。
映画/サザエさんではコミカルな演技を、そして「ちいさこべ」「ふんどし医者」といった文芸作品映画での好演、舞台での活躍...
誰からも愛される「女優/江利チエミ」..
.その代表作品がこの歌手が連続テレビドラマの主演をする先駆けとなったこの「咲子さんちょっと」と云えるでしょう。

 これは、続/咲子さんちょっと(第二クール) ですね。
咲子さんはママになっています。

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堀江史朗さん著 ぼくの女優交遊録 「江利チエミ」の章から引用します。
 (平成14年1月・主婦の友社発行)

昭和12年からNHKでラジオドラマの放送に携わり、戦後のラジオ全盛期には、制作・脚本で活躍し、東宝映画の文芸部長や、博報堂さんにも居られた時期があったかたです。

『咲子さんちょっと』・・・この話のルーツが書かれてあります。

昭和36年、堀江氏は放送作家協会の内村直也理事長と共に広告代理店「文化社」の要請で大阪・生駒の料亭に向かった。
倉敷レーヨン(クラレ)の宣伝部長などに紹介され夕食に・・・
「江利チエミ主演で30分ドラマ」を企画してほしい・・・というのがその用件であった。
※当時のゴールデンタイムは1社提供の30分番組が主流だった。
そして、堀江氏は協力要請をしたTBSの蟻川茂男ディレクターから「婦人雑誌に掲載されていた読者からの投稿作品・咲子さんちょっと...という手記を見せられた」のです。
東京郊外に住む「漫画家」の一人息子が結婚。二世代同居も姑と嫁のユーモアあふれる機転で和気あいあいに暮らす家族の様子を姑が書いた手記でした。
「明るい家庭の見本になる」「江利チエミは咲子さんそのもの」と、早速原作者に連絡し、息子の職業を「作曲家」に、題名と家族構成をそのまま使う、第一話は原作通りにするが二話以降は自由にドラマ化する・・・といったことを承諾してもらい、台本ができあがって早々、出演交渉に(大阪で公演していた)江利チエミを尋ねる。

チエミさんは・・・
夫は「高島忠夫さんがいい」と主張します。しかし当時「五社協定」で各社のトップ映画スターはテレビドラマへの出演はできなかった。一応のオファーも当然答えはNOでした。

このときのチエミさんの様子を筆者はこう表現しています。

>賢明な彼女は、相手役によって自分の役も生きもするし、死ぬこともあることをよく心得ていた。しかし何とか協力したいという真剣さ、思いやりの深さも感じられ、誰からも愛される彼女の人柄の良さに、私もはじめて接した思いであった。

「小泉さんなら・・・」... チエミさんの言葉に再度映画会社に交渉!OKの返事をもらい、この「咲子さんちょっと」はスタートとなったのだとか。(当初、高島さんと言ったのは小泉博さん=映画サザエさんのマスオさん のイメージが強すぎることを危惧したものと思われます。)

番組スタート・・・
高視聴率を記録し、コンサートでも「咲き子さ---ん!」と声がかかるほど、江利チエミ=咲子さんとしてお茶の間の支持を得た作品になりました。

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☆昭和三十年代中盤からのはなし...

マルチタレントとして幅広い活躍をする江利チエミさんでしたが、歌手としても記念に残る足跡を残しています。
昭和36年2月20日...デルタリズムボーイズとのジョイントコンサートを産経ホールで。
演出・選曲...プロモーションも自身で勤めました。
また、先生・カールジョーンズ氏との原点に立ち返っての「ジャズ」LPもリリースします。
コマ劇場の座長公演、日劇「チエミ大いに歌う」も恒例の行事となります。
東宝ミュージカル/マイフェアレディ、キスミー・ケイトの主演も勤めます。
また、映画でも山本周五郎原作「ちいさこべ」で中村錦之助さんと共演。京都市民映画祭で助演女優賞にも輝きます。
また、日本の芸能史に残る大きな足跡は、キューバン同様に信頼を置いていたバンド・原信夫とシャープス&フラッツとともに日本のジャズミュージシャンの代表として昭和38年6/8のカウント・ベイシー楽団ニッポンサヨナラ公演の舞台にたったことがあげられます。
ベイシーをバックに見事「我が恋はここに」「キャリオカ」を熱唱しました。

庶民的な江利チエミさんは、もうひとつの活動拠点...テレビでの活躍も受像機(テレビジョン)の一般家庭での普及に伴って多くなって行きます。
なんといってもチエミさんのお茶の間人気をより以上に押し上げたものに、TBSドラマ「咲子さんちょっと」があります。
第一クールは、36年10/2~38年12/30まで。好評を博したこのドラマは松竹で映画化もされました。
第二クールは、39年4/6~40年3/29まで... ハワイロケ・香港ロケ...と当時としては画期的な海外ロケもおりまぜて高視聴率を得た番組でした。


このテーマは今回掲示させていただいた...
♪ちょっと ちょっときて ちょっと待って ハ-イハ-イハイハイハイハイハイハイハイハイ 目が回る--- 
  ...といった楽しい曲でしたが、咲子さんにはもう一曲のテーマ曲がありました。
それは、松竹映画「咲子さんちょっと」の中で挿入歌として使われました。
当時の題名は「幸せをもとめて」...作詞/中村メイ子 作曲/神津善之。そう、これが「新妻に捧げる歌」なのです。第二クールの咲子さん...では、確かエンディングテーマとして使われたという記憶があります。39年シングルカットして発売され、オリジナルでの最大のヒット・ロングセラー曲となりました。
TBSドラマの曲...ということできっと遠慮をしたのでしょうか、39年紅白では木曾節を、40年は「芸者音頭」を歌っています。また40年、レコード大賞の歌唱賞にノミネートされるも、この年は司会ではありませんでしたが、(NHKを優先して?)大賞の方には出演を辞退しているそうです。


歌手が連続ホームドラマをやると歌が売れなくなるよ!...と水前寺清子がTBSドラマ「ありがとう」に主演するにあたってスタッフなどから忠告をうけた...というエピソードがあります。
これって...チエミさん?? 他にもコメットさんの九重さん...確かにあてはまります。
家庭的なイメージ・庶民的なイメージ...これがブラウン管から強烈なインパクトを持って日常家庭に映し出される。たしかに歌手にとって、マイナスな部分である...という見方が出来ます。
チエミさんの場合はそのイメージを逆手にとって「新妻に捧げる歌」というヒットが生まれます。
また、縁の無かった歌手としての受賞も、中村八大さんと臨んだ「ブラジル国際音楽祭」で最優秀歌手賞・ベスト歌唱賞を41年に「「私だけのあなた」で受賞しています。


映画で昭和31年から10本シリーズとして大当たりした「サザエさん」も連ドラでスタートします。(昭和40年11月19日~42年9月29日まで)
 
 https://www.youtube.com/watch?v=Sb8HVEImqac
(※UPされたかたはすごい!! なんせ昭和40年にレコーダーを持っておられたのですから... そしてそれを大事に保管されていた...江利チエミファンにはまさに国宝ものです。
LPに収録されたもの=のちにメモリアルシリーズ等でCD化されたものとは「まったく違うテイク」=「TBSさんの主題歌専用テイク」です。
セリフのところ、歌の微妙な節回しが確かに違います。カツオ ワカメ 待て えーーーい の後などが、まったく違いますし、レコード化されたものと比べるとより「コメディエンヌ=サザエさん」としてうたっているのがお分かりになると思います。)



しかし...これ!といったヒット曲を出せない(満足できない)時期を迎えます。
もっとベテラン顔してふんぞり返っていてもよかったのに...などと私は思うのですが、チエミさんは「慢心」ということが嫌いな人...歌手の世代交代...ポリープの手術...と、歌手・江利チエミにとっては受難の時期に入ってしまった...ともいえると思います。

しかし、女優・江利チエミは舞台でも数々の名演技をのこし数々の賞を受賞していきます。
ドラマもひっきりなしに主演を続けます。
単発ものドラマ、ゲスト出演は除いたTBS時代以降のチエミ主演ドラマを列記します。
女優江利チエミは様々な役どころをこなして行きます。
43年8/3~10/26 フジテレビ:あの妓ちゃん
  初出場の紅白で共演した三味線の名手・三味線豊吉の生涯を演じました。
43年12/2~翌44年5/26まで、高校教師に扮した「花子さん」
  生徒役で桃井かおりがデビューします。
バラエティでも44年NHK連想ゲームの紅キャプテンを勤めます。
44年10/5~翌45年3/29まで、歌手志望の娘を演じる「わたしはカモちゃん」
※この時期、チエミさんは火災で自宅全焼、ずっとチエミさんに寄り添ってくれた長兄の死、離婚、そしてあの義姉の横領事件...とさらなる受難に見舞われます。
この一連の事件の前後も舞台、コンサートと積極的な活動を続けていました。歌番組...これもミュージックフェアや夜のヒットスタジオ...と歌手活動もきちんとこなしていました。
事件の影が忍び寄っていた46年「旅立つ朝」は、まずまずのヒットになりました。
 https://youtu.be/fOpWpnoYRx4


義姉の事件や離婚...様々な問題を抱えながらもまた精力的な芸能活動を再開します。

48年今度は10ch(現/テレビ朝日)に局を変えて「黄色いトマト」を好演。5/17~8/30まで。
 --->マイフェアレディの舞台を横浜・山手に置き換えたようなチエミさんらしいドラマでした。
またこの年から、TBS「みんなで歌おう73」の司会+歌をレギュラーで75(昭和50)年まで勤めます。
49年3/28~8/29は黄色いトマトと同様、ナショナルゴールデン劇場・野菜シリーズ「ねぎぼうずの唄」に主演。
この年の終わりに発売した「酒場にて」も好評!久々のヒットとなりました。
50年上半期の有線大賞では最優秀敢闘賞を受賞しました。当時のアイドルらとベスト30歌謡曲...などヒット歌謡番組にもスケジュールをさいて精力的に出演していました。
久々のヒットも飛ばした50年は、ドラマでも古巣のTBSに戻り木曜ゴールデンタイム20:00~「はじめまして」で移動布団洗濯屋さんの未亡人を演じます。(5/1~9/25まで)長男役は、後にもののけ姫のアシタカの声で声優としても大成した松田洋治さんが演じていました。
続いて、同じTBS日曜の夜のドラマ「妻のあした」にも10/5~12/20まで主演をします。
また、52年には日テレで昼の時間帯の毎日放映されるドラマ枠(13:30~55まで)にも挑戦します。「赤帽かあちゃん」(8/29~10/28.まで)戦前--->戦中---->戦後を、山梨・下部温泉の女中さん、平和主義者との結婚、夫の戦死...一人息子をリンタクの運転手・身延線/下部温泉駅の赤帽と働きつづけて育て上げ、最後は交通事故死をしてしまう実在の女性「内海かな江さん」をほとんどノーメイクの体当たりで演技し、好評を得ました。(先にこの作品は、「女赤帽物語」として清川虹子さんの主演によって新宿コマで上演されました。チエミさんが存命だったら舞台にかけてロングランが出来たろうに...と、今でも残念でなりません。原作著書名/女侠曼荼羅 今もあるでしょうか?JR身延線/下部温泉駅にはチエミさんと清川さんのドラマでの2ショット写真が飾ってありました。)

このころ、コマの公演以外の「実演」では、再びブームを迎えた「ジャズコンサート」への歌手としての参加も精力的にこなしています。全国巡業もこなしました。
そうそう!ステージといえば酒場にてが久々にヒットチャートを上昇した50年...雪村いづみさんとのジョイントコンサート「ミュージカル・タイトルマッチ」での全国縦断公演も大成功を収めます...横浜をかわきりに上野、大阪...中野サンプラザではアンコール公演も開かれました。

あのころ...原点に返って「やっぱりジャズが歌いたい!」...チエミさんはやはりそう思いだしていたようにも、私は感じていました。

🎶 新妻に捧げる歌
https://www.youtube.com/watch?v=0sXlFeRA1Uc
 この動画をアップされた方も、素敵な編集をされていますね。

🎶 最後のミュージック・フェアより
https://www.youtube.com/watch?v=4z3_qVt5dBk

 


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2 コメント

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お久しぶりでございます。 (むらペン)
2015-11-27 08:26:25
コミカルなイメージの咲子さん、楽しそうで見てみたいです。最近、殺伐としている世の中で、こういった作品の再放送でもあれば心が和むのでは(少なくとも私は)と思います。いつもきっちり調べていらっしゃるので感心いたします。UPありがとうございます。寒くなりました、お風邪などお引きになられませんように・・・。
むらペンさま (う--でぶ(管理人))
2015-11-29 20:12:23
お久しぶりです...
最近は不定期ですが、なんと10年も続けてしまいました(笑)
松竹に「咲子さんちょっと」のフィルム残ってるはずです。DVDとか...ほかにも「チエミのスター誕生」とか...
発売してくれるといいのですが...

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