KoniさんがまたまたUPしてくださいました。
https://www.youtube.com/watch?v=0moQzHT5h3E 歌詞つきです。
雪村いづみ/ウシュカ・ダラ
http://www.youtube.com/watch?v=OW0SxkRAhvE
キングレコードと提携のなかったRCAのアーサー・キットのヒット「ウスクダラ」がなぜ、江利チエミ盤でヒットしたのか...
初期の記事を再掲載します。
この歌は黒いミューズ「アーサー・キット」のレコード界へのデビュー曲です。レコード発売は1953年=昭和28年のこと...RCAレコードから。
1967年の貴重なTVショウでの歌唱シーン
http://www.youtube.com/watch?v=bYQLB-fnZT8
キングとRCAは当時提携関係はなかった...
ではなぜ江利チエミがレコーディングを果たしたのか...
この影には キング と ビクター のプロデューサー同士の今では考えられない「友情秘話」が。
雪村いづみさんが「ポスト江利チエミ」として,進駐軍,日劇からビクターへ合格を果たすまでには時間はかかりませんでした。
なぜなら、ビクターは先ず「美空ひばり」を落としています。この時の審査員には中山晋平がいたのだとか...
そしてチエミさんも不採用に... もう2度と同じテツは踏めなかったのです。
ところが、キンキン声の雪村いづみに何を歌わせたら...とビクターサイドが悩んでいたところ、キングのデレクターが、江利チエミがアメリカでレコーディング、公演ツアーを追え、ハワイでボーカルレッスンをすませた後に帰国し、帰朝記念として吹き込む予定(実際チエミ盤も発売されます。28年6月)だった「テレサ・ブリューワー」の Till I waltz again with you. を提案します。
いづみ盤は「想い出のワルツ」としてチエミ盤よりも早く5月に発売になりました。
(チエミ盤は「思い出のワルツ」)
このヒットで雪村いづみは「10年に一度の幸運児」「シンデレラ娘」としてスターの仲間入りを果たしました。
この御礼として、ビクターが「アーサー・キットのムードは黒っぽいチエミにいい!」と提案された曲...
それがウスクダラでした。
アーサーキットはパリやイスタンブールのステージなどにも出演した経験をもつ変り種!
ウスクダラはアーサー自身が持ち帰り、ミュージカル女優としてブロードウエイの舞台で歌ったのが好評をはくしてレコードデビューにこぎつけました。
チエミ盤は「ウスクダラ」はいづみ盤「ウシュカ・ダラ」(昭和29年8月/帰らざる河のB面)が発売された翌月の9月にリリース...江利チエミの代表曲の1つともなりました。
1作目の三人娘映画「ジャンケン娘」の中で替え歌でも歌われました。
さて、このウスクダラとは...
トルコの古い町「ユシュクダル」であると。
ユシュクダル--->文末に「ア」がつけば「ラ」。
ア...はトルコ語の助詞で日本語の ~へ/~に という意味になる後置詞です。
ゆえに台詞の部分では ウスクダは、トルコの西の外れにある...と言い、歌の部分では ウスクダラ と発音する由縁かと...
チエミ盤はアーサー盤の英語読み発音の影響を受け ウスクダ ウスクダラ と発音するのではとも思われます。
トルコは民主化後、文盲をなくす!...というスローガンからトルコ語を表音文字であるアルファベットで表記するようになりました。ユシュクダラ--->ウシュカダラ(本当はこの中間あたりの発音なのでしょうが)と英語文化圏の人間は発音してしまいがちなスペル...なのだと思います。
初回のテイクは、トルコ大使館に通ってみっちり特訓をうけた...というエピソードがあります。
ウスクダラとユシュクダラの中間...といった微妙な発音をしています。
しかしチエミさんは歌いこんでいくうちにどうも「わかりやすく歌う」という傾向があるように私は思っています...これはサービス精神からによるものではないでしょうか?!
30年代半ば以降の録音でも「ウスクダラ」とカタカナ発音をしています。
これは、江利チエミのEPタイトル・ウスクダラがそれだけ浸透したからだ...とも云えるかとも思います。
トルコのルーツは、隋・唐を脅かした「突厥」...これはテュルクの漢字表記です。
アラブ民族というよりむしろ西アジアの民族であり、モンゴロイド・コーカソイド...そのどちらにも似ているといわれます。ゆえに言語的にはアジアの影響が強く、日本語にも似ていると云われます。
ゆえに江利チエミの初回レコーディングのウスクダラ...
これが世界各国でカバーされたウスクダラの中で一番トルコ風...ではないかな?!と思えるのです。
ところで...
ウスクダラ ギデーリーケン オードダビリヤンムール...
原語の部分の意味は、訳詩とまったく違います。
チエミバ盤の訳詩はアラビアンナイト...ハーレム...男がもててもててウハウハ...的な部分が見え隠れします。
しかし、実際は下記の内容なのです。
※引用/江波戸昭「世界の民謡をたずねて」(自由国民社)より
>ウスクダラに行った時は雨だった
キャーティップの着物の裾は長く、跳ね上がっていた。
キャーティップは起きたばかりなのか、目がぼんやりしていた。
キャーティップは私のもの
私はキャーティップのもの
腕を組めるのは...私だけ!!
女性からのラブソング...がもともとの意味なのだそうです。
しかし...
この真面目な本でも ウスクダラ で表記されていますね。これは江利チエミの功績の表れだと思います。
注)キャーティップ:アラビア語で「書記」...転じて「下級役人」「彼氏」「亭主」...の意。
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