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【産経抄】「メンツ社会」中国 考えた結論が「悪いのは日本」

2013年02月10日 | Weblog

2013.2.10 03:12
 前にも紹介した宇田川敬介氏の『2014年、中国は崩壊する』によれば中国は「メンツ社会」である。メンツと言っても、単なる「面目」や「体裁」とは違う。その人の地位や権利に直結しており、失えば社会からドロップアウトせざるをえない重いものだという。
 しかもこの国は大いなる階級社会だ。上位の者のメンツを守ることは生き延びるための条件だ。例えば温家宝首相が「尖閣諸島は中国の領有である」と発言した以上、首相のメンツにかけて実行しなければならない。そんな世界なのだそうだ。
 東シナ海で中国の艦艇が海上自衛隊の護衛艦に射撃管制用レーダーを照射したのは、軍の独断行為との見方が強まっている。だがそれを「知らなかった」では、共産党や政府指導部のメンツが立たない。といって事実を認めれば国際的批判を浴び、こんどは軍幹部がメンツを失う。
 双方のメンツを立てるため考えた結論が「悪いのは日本」だったようだ。「射撃管制用レーダーは使っていない」と突っぱねた上に「日本は一方的に虚偽の発表をした」である。いかに科学的な証拠を示したところで、聞く耳を持ちそうもない。
 不気味さを増す中国の大気汚染も、当局の環境政策の誤りにあることは明らかだ。だがサイトでは「汚染物質は日本から飛来する」「日系企業の工場排気が汚染源」といった風説が流れている。噴飯ものとはいえ、これも幹部のメンツを守るためかもしれない。
 日本でも党のメンツにこだわり政府の人事案を受け付けない民主党のような例もある。しかしそんな無責任さは次の選挙で厳しい審判を受けるだろう。一党独裁の中国では、それが逆になるというところが厄介である。

あの時代の検察は信頼されすぎていたのかもしれない、

2013年02月10日 | Weblog
春秋
2013/2/10
 大きな事件には時代が染みついている。リクルート事件の名からは、いまも昭和の終わり、バブル絶頂の匂いを嗅ぎとることができる。リクルートを創業した疑獄の主役、江副浩正さんが死去した。執行猶予つきの有罪が確定してちょうど10年、逮捕からはもう24年だ。
▼昭和天皇の容体悪化と歩を合わせるように事件が根の深さを見せていったのを思い出す。平成に入ると竹下内閣が倒れた。元官房長官や中央官庁のトップらが汚職で次々起訴された。リクルートからの新手の賄賂が「譲渡された値上がり確実な未公開株」だった。あやしげなもうけ話に人が踊る。バブル期ならではだろう。
▼この事件には時代の匂いがもう一つ染みついている。「検察黄金期」の匂いである。江副さんは4年前の著書で、検事の取り調べ中に鼻がつくほど壁に近づいて目を開けたまま立たされたり、土下座させられたりしたと書いた。本の中身には自分に都合のいい記述も少なくないと断りつつ、「現代の拷問」とまで批判した。
▼じつは、まったく同じ主張を江副さんは裁判でもしていた。しかし、検事のやりかたが大きな問題になることも、それで検察が描いた構図が崩れることもなく、起訴された12人がみな有罪になった。いま、不祥事にまみれ改革の道半ばにある検察を見つつ考える。あの時代の検察は信頼されすぎていたのかもしれない、と。