つばさ

平和な日々が楽しい

あの時代の検察は信頼されすぎていたのかもしれない、

2013年02月10日 | Weblog
春秋
2013/2/10
 大きな事件には時代が染みついている。リクルート事件の名からは、いまも昭和の終わり、バブル絶頂の匂いを嗅ぎとることができる。リクルートを創業した疑獄の主役、江副浩正さんが死去した。執行猶予つきの有罪が確定してちょうど10年、逮捕からはもう24年だ。
▼昭和天皇の容体悪化と歩を合わせるように事件が根の深さを見せていったのを思い出す。平成に入ると竹下内閣が倒れた。元官房長官や中央官庁のトップらが汚職で次々起訴された。リクルートからの新手の賄賂が「譲渡された値上がり確実な未公開株」だった。あやしげなもうけ話に人が踊る。バブル期ならではだろう。
▼この事件には時代の匂いがもう一つ染みついている。「検察黄金期」の匂いである。江副さんは4年前の著書で、検事の取り調べ中に鼻がつくほど壁に近づいて目を開けたまま立たされたり、土下座させられたりしたと書いた。本の中身には自分に都合のいい記述も少なくないと断りつつ、「現代の拷問」とまで批判した。
▼じつは、まったく同じ主張を江副さんは裁判でもしていた。しかし、検事のやりかたが大きな問題になることも、それで検察が描いた構図が崩れることもなく、起訴された12人がみな有罪になった。いま、不祥事にまみれ改革の道半ばにある検察を見つつ考える。あの時代の検察は信頼されすぎていたのかもしれない、と。

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