宇宙時間 ソラノトキ

風樹晶・かざきしょう

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のんびりしようよ

リーフ 45

2008-10-22 22:45:31 | 小説 リーフ
『封魔陣』
 ぎりぎりで術が間に合う。
 杖と剣、互いにぶつかり合ったところから、青い火花が散った。
 それにしても、何つー危ないことするんだろう、この子は。後ほんの少し、術の完成が遅かったら、今頃、杖ごと真っ二つよ。まったく、心臓に悪いったら。
 ため息をついたレムが二人に視線を移すと、杖と剣の打ち合いが続いていた。
 こうやってじっくり見ていると、その人の動きのパターンがよく分かる。カルは、杖の真ん中と端を持ち円を描くような流れで打ち下ろす、突き上げる動きが多く。一方彼は、鋭く叩きおろす、水平に薙ぐ、突く、というパターンが多い。
 う~ん、ふむふむ、なるほど。・・・・これは、いい勉強になるわ。思わず、観察に力が入ってしまうレムであった。
「こら、カル。もっと突っ込んでいきなさい」
 見ているだけで、何の手出しも出来ない事がこんあにももどかしいなんて。などと、のん気に見物している場合ではないんだった。
 はたと、気づくレムであった。
 とは言うものの、この皿から飛び降りようにも、周りに薄い(かどうかは分からないけど)透明な膜というか壁というか、とにかくそういうものが張り巡らされているので、身動きがとれない。
 確かに見晴らしは良いし、多少の攻撃が流れてきても壁が跳ね返してくれる。身を乗り出しすぎても(頭をぶつけたりはするけど)落ちたりする心配はない。それに、人の動きを上空からこうして見られるなんて、めったに体験できることじゃないわ。本当、最高の特等席よね。だ・け・ど、いつまでもこのままって訳にも・・・・。
 やっぱり、二人のバトルが終わらない限り、どうにもならないだろうか? そう言えば、相手の魔力に自分の魔力をぶつけて相殺させるっていう術があったのよね、確か。あぁ、あたしもあれ習っておけば良かった。
 レムが、上空で考え込んでいる間に・・・。
 彼の剣を視線を低くして避けたカル。次の瞬間、杖が彼の喉元を狙う。
 ざすっ
 お互いに弾き合い、間合いを取る二人。
 彼の息は、かすかに乱れている程度だが、カルの方はかなり乱れまくっていた。
 おいおいカル~、大丈夫?   って、声を掛けたくなるほど、息があがっている。
 なのになのに、何で笑ってるんだ?
 って、あ、そう言えば、カルってプッツン寸前とかどうしようもない精神状態になった時、いきなりハイになったりするんだった。
 レムが、以前のカルの状態を思い出す。
 前に稽古中に疲れてひっくり返った後、急に笑い出した時は、何が起こったかと思ったわよ。
“だって、泣く訳にもいかないし、もう、笑うしかない”なんて言って
 あの時は、一瞬、イっちゃったかと思って心配したんだから、ホント。
コメント
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