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検閲で没収された米記者による長崎原爆ルポ原稿、60年ぶり発見 (毎日新聞)

2005-06-17 09:42:01 | on Peace
【ロサンゼルス國枝すみれ】長崎市に原爆が投下された1945年8月9日の翌月、同市に外国人記者として初めて入り取材した米シカゴ・デーリー・ニューズ紙(廃刊)の故ジョージ・ウェラー記者の未公表の原稿と写真が60年ぶりに見つかった。原稿は、長崎市の惨状と原爆症に苦しむ市民の様子を克明に記している。ウェラー記者は原稿を連合国軍総司令部(GHQ)検閲担当部局へ送ったが、新聞に掲載されることはなかった。当時、米政府は原爆の放射線による健康被害を過小評価する姿勢を見せていた。この原稿が公表されていれば米世論に影響を及ぼし、核開発競争への警鐘となった可能性もある。 (毎日新聞のサイトから ウェラー記者のルポその1 その2 その3
ウェラー記者の原文はこちら 関連記事はこちら)

多くの人は「まさか?!」と思うかもしれないが、世界で最も核汚染された国はアメリカだ。ウラン鉱の採掘によって被曝したネイティヴ・アメリカンをはじめ、核実験場や核兵器開発施設、あるいは原発の周辺住民の健康被害は深刻だ。(『ヒバクシャ-世界の終わりに』はこのことに関する秀逸なルポ)
國枝記者が書いているとおり、もし、ジョージ・ウェラー記者の記事が公表されていたら、アメリカのその後の核開発はまったく違ったものになっていた可能性は大きい。核の軍事利用だけでなく、発電などの産業への利用についても、もっともっと多くの市民が厳しい目を持つことが出来たかもしれない。第五福竜丸の乗組員は被害に遭わずにすんでいたかもしれない。スリーマイルの事故を防ぐ事も出来たかもしれないし、湾岸戦争症候群と呼ばれる劣化ウラン兵器による健康被害もなかったかもしれない。チェルノブイリなどのアメリカ以外の地域で起きた事故もあるいは無かったかもしれない。
しかし、記事は半世紀以上日の目を見ることはなく、核兵器の使用や核開発による健康被害を受けた人々は十分な補償を受けられず、核の脅威は増大するばかりだ。
民主主義を標榜する国は、言論の自由を保障しなければならない。しかし、見せかけの民主国家には、うわべだけの言論の自由・報道の自由しかない。情報を隠蔽することは、言論を封殺するための第一歩だ。そうして偽装民主国家の陰の支配者は肥え太ってゆく。


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