goo blog サービス終了のお知らせ 

【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
身近な疑問の解説と役立つ情報の提供をさせていただきます。

製造原価を計算する(スタートは製造費用を集計すること)

2012-09-06 17:00:00 | 決算書・試算表
製造原価の計算(原価計算)は製造費用を集計することからスタートします。ここでの製造費用とは製品を製造するための費用です。他者が製造した製品を販売する小売業や卸売業と違って、製造業では様々な製造費用が発生します。

製造費用も費用ですので損益計算書(収益-費用)にその金額が表示されますが、損益計算書とは別に(損益計算書の内訳として)製造原価報告書を作成して各製造費用の金額を明らかにしておくことが通常です。

◆非製造業の損益計算書

売上
仕入(売上原価)
販売管理費(費用は複数に分かれる)
利益

◆製造業の損益計算書と製造原価報告書

(損益計算書)
売上
製造原価【注】
販売管理費(費用は複数に分かれる)
利益

(製造原価報告書)【注】
材料費
労務費
製造経費
製造原価合計→損益計算書の製造原価へ

【注】損益計算書では売上原価の計算過程で製造原価の合計を表示し、その内訳は製造原価報告書で明らかにします。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

★製造原価と製造費用の違い
製造原価は完成品の製造費用であるのに対して、製造費用には完成品と未完成品に関する費用が含まれます。製造原価報告書ではこの計算プロセスが明らかにされます。

★売上原価と製造原価の違い
売上原価は製造原価の内販売された部分の金額であるのに対して、製造原価は完成品(未販売分を含む)の製造費用です。(製造業でも売上原価の計算は必要です。)

★製品という勘定科目(製造業の売上原価)
製造業ではこの勘定科目が登場します。小売業・卸売業の商品と同じく顧客に販売する物です。小売業・卸売業の売上原価は「期首商品+当期商品仕入-期末商品」です。製造業の売上原価は「期首製品+当期製造原価‐期末製品」となります。

★費用と原価の違い
どう違うのでしょうね?
誰かがそのように「訳した」のだと思います(現行の簿記会計は欧米から伝わりました)。慣れるしかありません!

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

●会計ソフトの設定(弥生会計12の場合)
一般的な設定では製造原価に関する勘定科目はなく、改めて設定しなければなりません。これをしないと製造費用の集計ができません。もっとも、設定といっても「製造原価に関する科目を使用する」という設定にすれば、既存の勘定科目が使用できるようになります。なお、一度この設定をすると元へは戻せません。