【実録】会計事務所(公認会計士・税理士)の経理・税金・経営相談

大阪市北区の築山公認会計士事務所(築山哲税理士事務所)です。
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【融資の申込み】試算表ができていない

2019-07-11 10:30:00 | 決算書・試算表
「金融機関に融資を申し込むので試算表を提出しなければならない。しかし、試算表ができていない。」

◆試算表がまったくできていない!

資金繰りに窮して緊急で融資を申し込むときに限って「試算表がまったくできていない!」ということがあります。しかも、試算表を作っているようでは到底間に合わないという状況です。

〇一部の勘定科目は概算値で作成する

「売上」「仕入」はすでに集計済みだと思います。「給料」「家賃」「支払利息」などは直ちに集計できます。「預金」「売掛金」「買掛金」「借入金」も簡単に残高は出せます。これで試算表の主要部分は完成です。

上記の勘定科目以外は、一から仕訳を入力するのではなく概算で計算し、それを会計ソフトに入力します。

〇月額を一括して会計ソフトに入力する

「売掛金/売上」「仕入/買掛金」「預金/売掛金」「買掛金/預金」「交際費/現金」といった具合に月額を会計ソフトに入力していけば瞬く間に損益計算書は完成します。貸借対照表については貸借対照表科目間で調整します(これは職人の技です!)。

〇月次推移や前期比較で異常点がないことを確かめる

概算値を合理的に計算したつもりでも勘違いやミスをしていることがあります。それを発見するには、会計ソフトで月次推移や前期比較の諸数値を検討してみることです。「こんなはずはない!」という数値は修正しなければなりません。

◆試算表では赤字になる

試算表(年度途中の経過)といえども金融機関に赤字の報告はしたくないというのが経営者の心情です。

試算表では赤字になるけれども、年度では黒字化することはあります。「事業の性質上費用が先行する」「費用が特定月に偏って発生している」などがその原因です。このような場合は、所定の調整をして試算表を作成することもできます。

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★この方法は税務申告には使えない(1回限りの方法です)

この方法は、金融機関に対して年度途中の「概略」を説明するためだけの方法です。年度末の税務申告にはこの数値を使うことはできませんので、会計ソフトのデータ(ファイル)も別途作成して税務申告用のデータとは区別しておかなければなりません。(これは決して事実を仮装隠蔽するための二重帳簿という意味ではありません。)

この方法は経理を本職とする者(会計事務所や経理担当者)にとっては使いたくない方法ですので、やむを得ない場合の「1回限り」「使い捨て」の方法であることを十分理解してください。このやり方を多発すると経理も会社も破綻します。

★融資は決算終了直後に申し込む(そうすれば試算表は不要)

融資の申込みで試算表が必要となるのは、事業年度終了から相当期間(おおむね半年)を経過して、決算書作成時点とは状況が変化し、決算書では実態が把握できない場合です。試算表を提出しなくて済ませるには決算終了後直ちに融資の申し込みをしておくことです。

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