8月10日に成立となった子ども・子育て関連法案で、保育の制度が大きく変えられようとしています。
衆議院で政府が提案した「新システム」が一部修正されたものですが、その修正案の中身はどんなものなのか。
ジャーナリストの猪熊弘子さんが、先日のシンポジウムで修正案の巧妙なカラクリを話していました。
今回成立した法案は、政府が提案していた「新システム」で「総合こども園」をつくる代わりに、現存している「認定こども園」を増やすというものです。
しかし、そもそも政府が掲げていた「総合こども園」は、この「認定こども園」をモデルに構想されたもので、
直接契約や保育の認定制など、公的関与が弱くなるという根本部分で同じです。
企業の参入に制限を設けるものの、抜け道も用意されています。
結局、公的な保育を弱め、民間でおこなう流れを加速させるものです。
私たちはこれまで運動をすすめる中で、ふつうの母親として、あらためて気が付いたことがたくさんあります。
そのひとつが、保育を公的に行なうのか、民間で行なうのか、
どちらがいいのか判断するうえで重要な情報がほとんど認知されていないのではないか、ということです。
私たちがとくに重要だと考えている情報は以下のことです。
*2011年に保育中に亡くなったこどもが認可外を中心に全国で14人もいること
(保育所での死亡事故が1961~2000年度の40年間で15件なのに、
こどもの超過定員を認める「弾力化」導入後の2001年度以降の8年間で22件と増えているが、
それに比べても2011年の死亡事故が格段に多いことがわかります。)
*日本が保育にかけている公費は他の先進国と比べても、もともと少ないこと
(保育費用の公費負担が、OECD加盟国の平均で8割なのに対し、日本では私費負担のほうが多く、55%を超えている。
またGDP比でも欧州の先進国では3%以上をこどもの保育と教育に使っているのに対し、日本はGDPの1%程度しか使っていない。)
*OECDが「保育を市場化して成功している例はない」と警告していること
これらのことが大きく取り上げられていないために、保育の民営化のどこが問題なのか、一般のママたちにはわからないことが多いのではないかと感じています。
もちろん、民営でもよい保育をしてくれているところはたくさんあると思います。しかし一方で死亡事故などの重大な事故が格段に増えている。。。
こうした情報が伏せられているままでは、適切な判断ができず、将来に禍根を残すようなことになるのではないかと心配です。
記憶に新しい“高速バスツアー”の事故と同じように、民営化、そして利益をあげやすくするため、規制、基準を緩和していくことが、
こどもの命の危険にかかわってくるのだと思います。公的責任を弱めていくような制度では、どのようにして、
事故を起こす保育園をなくしていけるのかと、大きな疑問があります。
保育の市場化、産業化には、こどもの安全が危うくなることと同時に、もうひとつ大きな問題があります。
平等な社会ではなくなるということです。お金で解決してください、という制度(市場化)では、
たくさんお金を払える家庭のこどもはいい保育を受けられるかもしれないですが、そうではない家庭では質の落ちた保育しか受けられず、
ときには命の危険にさらされるようなことにもなるかもしれません。お金持ちのおうちの子でも、そうではないおうちの子でも命の重さは同じはずです。
私たち今の大人は、そうした機会の平等が守られた社会のなかで生きてきたはすです。
今のこども、これからの日本のこどもにもその仕組みを渡していってあげなくてはいけないのではないかと、親として切に思います。
また、今のこども子育て関連法が保育の市場化につながる、といったことがまだピンとこない方も多いかもしれません。
この点でも詳細な法案の議論がメディアを含めて、国民的に広がっていない状況だからなのではないかと感じます。
直接契約になり、自治体からは保育の必要度が認定されるだけ、という仕組みでは、あきらかに公的責任が大きく後退すると考えています。
今、私たちネットワークのもとには海外メディアからの取材もきています。
それはとりも直さず、日本から保育の公的制度がなくなるのか、そうではないのか、大きな岐路に立たされているからなのだと思います。
他の先進国では、親の就労を保障し、こどもの豊かな成長を保障するものとして、保育を国の重要政策ととらえて、公費をきちんと充てています。
このことを知れば、私たちが認可保育園を増設してください、と求めることは贅沢なことなのではないんだと、実感することができます。
待機児童があふれて、苦しむ家庭が多い日本にとって、保育にきちんと財源を充てて認可保育園を増設していくことでこそ、その解決が図れるのではないかと思います。
このブログをご覧になっていただいた方にぜひお願いします。
多くの人に知っていただけるように、このことを広げてください。
同じ思いで活動をしているのは東京足立区の保護者だけではありません。
震災で被害を受けた東北の保護者のみなさん、
世界でも最低レベルの日本の保育規準をさらに低く切り下げられてしまった大阪市の保護者のみなさん、
保育園での事故でお子さんを亡くされた保護者のネットワークのみなさん、
全国の保護者の方たちと手を取り合って共同の活動もしています。
「子ども・子育て関連法案」は成立してしまいましたが、これから認可保育園を増やしていくのか、それとも認定こども園だけを増やしていくのか、各自治体にも裁量があります。こどもの保育を公的にきちんと行なってもらうためにも、認可保育園の増設を自治体に訴え、自治体から国に訴えていけるように、
運動を広げていくことがいまと未来のこどもたちの笑顔を守ることにつながると考えています。
衆議院で政府が提案した「新システム」が一部修正されたものですが、その修正案の中身はどんなものなのか。
ジャーナリストの猪熊弘子さんが、先日のシンポジウムで修正案の巧妙なカラクリを話していました。
今回成立した法案は、政府が提案していた「新システム」で「総合こども園」をつくる代わりに、現存している「認定こども園」を増やすというものです。
しかし、そもそも政府が掲げていた「総合こども園」は、この「認定こども園」をモデルに構想されたもので、
直接契約や保育の認定制など、公的関与が弱くなるという根本部分で同じです。
企業の参入に制限を設けるものの、抜け道も用意されています。
結局、公的な保育を弱め、民間でおこなう流れを加速させるものです。
私たちはこれまで運動をすすめる中で、ふつうの母親として、あらためて気が付いたことがたくさんあります。
そのひとつが、保育を公的に行なうのか、民間で行なうのか、
どちらがいいのか判断するうえで重要な情報がほとんど認知されていないのではないか、ということです。
私たちがとくに重要だと考えている情報は以下のことです。
*2011年に保育中に亡くなったこどもが認可外を中心に全国で14人もいること
(保育所での死亡事故が1961~2000年度の40年間で15件なのに、
こどもの超過定員を認める「弾力化」導入後の2001年度以降の8年間で22件と増えているが、
それに比べても2011年の死亡事故が格段に多いことがわかります。)
*日本が保育にかけている公費は他の先進国と比べても、もともと少ないこと
(保育費用の公費負担が、OECD加盟国の平均で8割なのに対し、日本では私費負担のほうが多く、55%を超えている。
またGDP比でも欧州の先進国では3%以上をこどもの保育と教育に使っているのに対し、日本はGDPの1%程度しか使っていない。)
*OECDが「保育を市場化して成功している例はない」と警告していること
これらのことが大きく取り上げられていないために、保育の民営化のどこが問題なのか、一般のママたちにはわからないことが多いのではないかと感じています。
もちろん、民営でもよい保育をしてくれているところはたくさんあると思います。しかし一方で死亡事故などの重大な事故が格段に増えている。。。
こうした情報が伏せられているままでは、適切な判断ができず、将来に禍根を残すようなことになるのではないかと心配です。
記憶に新しい“高速バスツアー”の事故と同じように、民営化、そして利益をあげやすくするため、規制、基準を緩和していくことが、
こどもの命の危険にかかわってくるのだと思います。公的責任を弱めていくような制度では、どのようにして、
事故を起こす保育園をなくしていけるのかと、大きな疑問があります。
保育の市場化、産業化には、こどもの安全が危うくなることと同時に、もうひとつ大きな問題があります。
平等な社会ではなくなるということです。お金で解決してください、という制度(市場化)では、
たくさんお金を払える家庭のこどもはいい保育を受けられるかもしれないですが、そうではない家庭では質の落ちた保育しか受けられず、
ときには命の危険にさらされるようなことにもなるかもしれません。お金持ちのおうちの子でも、そうではないおうちの子でも命の重さは同じはずです。
私たち今の大人は、そうした機会の平等が守られた社会のなかで生きてきたはすです。
今のこども、これからの日本のこどもにもその仕組みを渡していってあげなくてはいけないのではないかと、親として切に思います。
また、今のこども子育て関連法が保育の市場化につながる、といったことがまだピンとこない方も多いかもしれません。
この点でも詳細な法案の議論がメディアを含めて、国民的に広がっていない状況だからなのではないかと感じます。
直接契約になり、自治体からは保育の必要度が認定されるだけ、という仕組みでは、あきらかに公的責任が大きく後退すると考えています。
今、私たちネットワークのもとには海外メディアからの取材もきています。
それはとりも直さず、日本から保育の公的制度がなくなるのか、そうではないのか、大きな岐路に立たされているからなのだと思います。
他の先進国では、親の就労を保障し、こどもの豊かな成長を保障するものとして、保育を国の重要政策ととらえて、公費をきちんと充てています。
このことを知れば、私たちが認可保育園を増設してください、と求めることは贅沢なことなのではないんだと、実感することができます。
待機児童があふれて、苦しむ家庭が多い日本にとって、保育にきちんと財源を充てて認可保育園を増設していくことでこそ、その解決が図れるのではないかと思います。
このブログをご覧になっていただいた方にぜひお願いします。
多くの人に知っていただけるように、このことを広げてください。
同じ思いで活動をしているのは東京足立区の保護者だけではありません。
震災で被害を受けた東北の保護者のみなさん、
世界でも最低レベルの日本の保育規準をさらに低く切り下げられてしまった大阪市の保護者のみなさん、
保育園での事故でお子さんを亡くされた保護者のネットワークのみなさん、
全国の保護者の方たちと手を取り合って共同の活動もしています。
「子ども・子育て関連法案」は成立してしまいましたが、これから認可保育園を増やしていくのか、それとも認定こども園だけを増やしていくのか、各自治体にも裁量があります。こどもの保育を公的にきちんと行なってもらうためにも、認可保育園の増設を自治体に訴え、自治体から国に訴えていけるように、
運動を広げていくことがいまと未来のこどもたちの笑顔を守ることにつながると考えています。
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