私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

李登輝氏、危機一髪!

2007年06月11日 | 台湾

「訪日は成功だった」と記者会見で語り、成田から帰国の途につこうとする李氏にペットボトルを二本投げつけた中国籍の男が逮捕されるという衝撃的な事件が起こりましたが、取りあえずは大事に至らず何よりでした。
言論に対するテロ行為というのは論外であり、阪神支局襲撃事件が未解決のまま時効を迎えてしまった朝日新聞はこの件を社説で大々的に非難してくれるものと期待しているのですが、月曜には間に合わなかったようですね。
今回の訪日では、李氏を各地で盛大に歓迎しようという趣旨から「李登輝友の会」がその行程を仔細に公表していましたが、最後に「冷や水を浴びせる」格好となったのは非常に遺憾であり、警護体制のあり方等今後に課題を残す形にもなりました。もっとも、私自身はむしろ九段の方を懸念しており、「個人的な、家庭の事情」であるなら、早朝に人知れずホテルを抜け出して参拝し、「事後報告」する方が得策ではなかろうかと思っていたのですが・・・・

◆Lee pans Beijing's criticism of visit(Taipei Times)
◆Taiwan's Lee defends Tokyo war shrine visit(Reuters)
◆Editorial: Lee Teng-hui's Yasukuni shuffle(Taipei Times)
◆【主張】李氏靖国参拝 日本文化表敬とも映った(産経)

<One certain purpose of Lee's Japan trip this time around is to reaffirm the strength of Taiwan's ties with Japan. Japan's last significant Taiwanese visitor was former Chinese Nationalist Party (KMT) chairman Ma Ying-jeou (馬英九), who last July bumbled through an embarrassing grilling from Japanese Diet members over his involvement in anti-Japanese demonstrations in his youth.>
(今回の李氏訪日の明確な目的の一つは、日本と台湾の絆の強さを再確認することであろう。李氏に先んじて日本を訪問した台湾の要人は、中国国民党前主席の馬英九氏であるが、昨年七月の訪日時、氏は若かりし頃の反日デモ活動への関与について日本の国会議員からつるし上げられてまごつき、失態をさらした)

ある時は「自由」と「民主主義」、またある時は「日本文化」といった塩梅での〝マルチブート〟が巧みな李氏ですが、やはり日本における名声は絶大なものがありますね。馬英九・前KMT主席が「私は刺身も大好きだ」とか「私は日本製のホッチキスを使っている」と言う程度では橋にも棒にもかからず、国会議員やマスコミ各紙から<反日主義者>として冷淡にあしらわれた同氏が、いたたまれず(台風がどうのこうのという理由で)訪日日程を繰り上げて帰国したのはちょうど一年ほど前のことでした。

Taipei Times紙の社説にあるように、李氏自らを媒介として両国の絆の強さを再確認し、日本国民の関心を喚起するのが今回の訪日の目的の一つなのでしょうが、李氏は、今日の台湾そのもののPR(「台湾観光工作小組」とでも言うべきか・・・・)にやってきたわけではなく、氏を迎える日本の側にも、「李登輝氏を歓迎し、親密な関係を中国側に見せつけるのがいい。それは何につけ居丈高な中国に対する貴重な牽制(けんせい)作用も生むはずだ」。(産経客員編集委員 花岡信昭氏)といったような期待や思惑が多分にあったことは否めません。
李氏は流石にその辺の〝ツボ〟を心得たもので、離日前の記者会見での強烈な中韓批判の件などは、歴史問題で煩わしい隣人を不快に思い、<反日>という言葉に過敏になっている日本人(・・・・そうでない人もいるでしょうが)にとっては痛快極まりないな場面に映ったのではないでしょうか。李氏の靖国参拝に関しても町村前外相や麻生外相ら与党幹部が氏の立場を擁護するコメントを出していましたし、産経の社説のような好意的な反応を引き出したのですから、「今回の訪日は成功」と李氏は総括したのでしょう。

今年は日華断交から三十五年目にあたりますが、対日外交に生涯の大半を費やした林金茎氏の著書『梅と桜、戦後の日華関係』(サンケイ出版)を読むと、<以徳報怨>が「二つの中国」に揺れ動く日本の関心を国府に向け、その琴線をくすぐるマジック・ワードだったことがよく判ります。かつて大陸からの引揚者は蒋総統の〝温情〟に感謝し、岸、佐藤両首相や自民党の青嵐会の面々は反共の国府・台湾に惜しみない声援を送っていた(こうした図式は大して変わってないのかも・・・・)のでしょうが、その「神通力」が消えかかったところに首尾よく現れたのが李登輝総統という存在だったのかもしれませんね・・・・

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