私の「認識台湾」

個人的な旅行(写真)の記録を主眼としつつも、実態は単なる「電子落書き帳」・・・・

「対日会議」創設で関係強化を模索:KMT馬政権

2008年07月25日 | 台湾

一部期日限定ながら、この時期に華航指定で27,000円(FUK-TPE)というIT航空券が並んでいるのには驚きます。海外旅行全般の需要減は間違いないでしょうが、それでも台湾は「安・近・短」なデスティネーションの一角のはず。台湾の人気後退なのか、華航が嫌われたか、あるいはその両者か・・・・

<台湾、「台日会議」を創設 日本との関係強化策を討議>
  【台北=新居耕治】台湾の馬英九政権は対日問題を扱う「台日関係会議」を31日に創設することを決めた。総統府関係者が明らかにした。総統の諮問機関である国家安全会議を中心に外交部(外務省)、経済部(経済省)などの閣僚が集まり、尖閣諸島沖の漁船沈没事件でぎくしゃくした日本との関係強化策などを討議する。
 同会議は馬総統の腹心とされる国家安全会議の蘇起秘書長が主宰する。討議結果を馬総統に報告し、対日政策として具体化することを目指す。(07:04)
<台湾、31日に対日会議 今後の関係強化を模索>
 【台北23日共同】台湾の馬英九政権が今後の対日関係強化策を検討するため、初めての会議を31日に開くことが23日までに分かった。総統府筋が明らかにした。馬総統は、政権発足直後から対中関係改善に力を入れ、中台週末直行チャーター便などを実現。今後は総統選で訴えてきた対日重視の具体化に本格的に着手する。
  同筋によると、総統諮問機関、国家安全会議の蘇起秘書長が主宰し、主要閣僚らが出席。2カ月に1回、定期的に開き、対日政策を協議。馬総統に提言する。同筋は「陳水扁政権の対日政策は反中カードにすぎなかった。われわれは新たな台日関係づくりを模索したい」と述べている。 同筋によると(1)松山空港(台北)と羽田空港を結ぶチャーター便就航(2)日台間の懸念である漁業権交渉の早期実施(3)日本側に申し入れているワーキングホリデー実施に向けた法整備-なども協議する。 2008/07/23 15:33 【共同通信】

(自称)前評判と違って右肩下がりの一方という点において、野村證券の<日本株戦略ファンド>を彷彿とさせるKMT馬政権ですが、今さらながら就任一月程度足らずであれやこれやと壊しまくったのは相当なものだと思います。(支持率も急落、加権指数もご祝儀相場から20%程度暴落という中で、今度は蘇花高速公路で自然破壊を目論んでいるようですが・・・・)
「日本事務会」はこの前ぶっ壊したばかりではなかったかと思うのですが、スクラップアンドビルド的な動きは台湾ぽい感もあります。「両岸新商機」が思ったほど上手くいってないが故に日本への擦り寄りかと揶揄したい思いもありますが、かつての国府の特務ネットワークは、合衆国よりも先に林彪墜落事件を把握していた程の精度だったようですから、日本側の微妙な〝空気〟を嗅ぎ取る情報収集力は今日でも健在なのかもしれません。
対日関係を協議するワーキンググループの発足は歓迎すべきことですし、共同の記事で記されている三つの課題に関して言えば、(1)→羽田拡張後は可能、(2)→「既に日本側から問題を挙げ、台湾の反応をみている状況」(斉藤正樹交流協会台北事務所長)、(3)→「問題をクリアして早く実現させたい」(同氏)といった塩梅で、(2)以外のハードルはさほど高くないでしょう。

もっとも、私自身は個別案件もさることながら、馬英九の台湾の対日訴求ポイントが何なのかという点に関心を抱きます。この辺の〝骨太な方針〟がなければ、「会議は踊る、されど進まず」状態で早々に形骸化する可能性もあるでしょう。
戦後の日華関係を顧みると、李登輝元総統までのKMT政権は「歴史的繋がり」をキーワードに日本側の歓心を買い(記事)、DPP陳政権も概ねその路線を踏襲してきましたが、「陳水扁政権の対日政策は反中カードにすぎなかった」だけではなく、自由と民主主義を掲げる海洋国家同士の連帯という訴求ポイントが加わったことで、「中国とは違う民主台湾」への支持層が拡大した面もありました。むしろ冷戦期の台湾支持層こそ、独裁政権の暗部には目をつぶり<反共台湾>という対中カードに喝采を送ったクチであり、蒋政権もその観点での呉越同舟が対日政策の要であったはずです。
産経をはじめ、かつて蒋独裁政権に喝采を贈った知識層も、李登輝KMT政権からDPP陳政権への劇的な政権交代劇に概ね順応しましたが、8年ぶりのKMT政権への疑心暗鬼と困惑が広がったのは、「イメージした親日的な台湾とは大きなギャップを感じた」(産経)という斉藤雅樹交流協会台北事務所長の着任の弁からも明らかです。尖閣の事件後、『小林よしのりの漫画やネットを眺めた程度で「親台」に傾く層であれば、「反台」に転じるのにも時間は要しない』(記事)と思いましたが、揉めた相手をネット上で脊髄反射的に叩いていた(であろう)層の真情も、斉藤新所長の一言に収斂される気がいたします。反共転じて<国共合作>路線を採るKMTへの応援材料は乏しい感もありますしね。

朝鮮や満州と違って、日本側の台湾に向ける視線には一種独特なナイーヴさが感じられますが、日韓関係と比べると尖閣の件が地域間交流に影を落とした節はさほどなさそうな感じもします。「良好な日台関係も双方が不断の努力をしなければ、崩れやすいもろい側面もある」(産経)と退任した池田所長が述べていたように、今後の展望は双方の努力次第といったところでしょうか。

   



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